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学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第5章 夕暮れと下剋上、そしてサッカーボール
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第43話 美少女JKモデル、ガチでケンカ売られる②


 千代田節子だった。



「……んだよ、お前もケンカ売りに来たの?」



 ウチがメンチを切ると、彼女は軽く鼻で笑う。



「開口一番、威嚇しちゃうのね。あなた、お猿さんなの?」


「あぁ?」



 プッチーン。

 頭のなかで血管の切れる音がする。


 コイツ、いつもたった一言で、ウチを怒らせやがる。

 ウチをキレさせる天才か、おい?



「どういう意味だよ……」


「言葉以上の意味はないけど。あ、お猿さんにはもっとわかりやすく言わないとかしら」


「口開くたび猿猿言うな! なんの用だよ!」


「別に。通りかかったから声かけてみただけ」


「じゃあどっか行っちまえ、ヴァ〜〜〜カブ〜〜〜ス!」



 ウチはプンプンしながら彼女の横を歩き去ろうとする。


 なにアイツ……わざわざウチをイラつかせるために話しかけたワケ……?

 性格歪んでんだろ……



「……気をつけなさいよ」



 通り過ぎ様に、声をかけられた。

 ウチは横目で睨みつける。



「なにをだよ」


「今のあなたは目立ちすぎてる」


「……で? いっぺんに言えよ」


「たくさんの人間の恨みを買ってる。綱渡り状態だわ」


「……はぁ、綱渡り? イミフなんだけど。つか、別に買いたくて買ってるわけじゃないし。向こうが勝手に売りつけてくるだけじゃん」


「山崎さん、あなたは相変わらず容姿の力を舐め過ぎてる」



 彼女がウチに向けた視線は、鋭かった。



「今、この学校には、あなたを中心にあらゆる感情が渦巻いてる。注目を利用してるつもりで、いつの間にか制御ができなくなることだってあるわ」


「……なにが言いてぇの? 猿にもわかるように言ってもらえます?」


「ミスコンはできるなら、出ないほうがいい。必ず痛い目に遭うもの。私なら辞退するわね」


「はぁ〜??」



 ウチは首を前に突き出して、節子の両目を覗き込んだ。

 正気か、コイツ?



「ここまで来てウチがやめるわけないじゃん⁉︎……あ、なに? もしかして、ウチに負けるのが怖くなったとか? だから戦う前に降ろそうとしてるワケ?」


「その体型でどうしてそんなに自信があるのか、未だに理解できないけど……」



 節子は救えないとばかりに目を上に向けてから、



「私にもプライドがあるからあえて言うけど、負けるなんて夢にも思ったことないわ。あなたは優勝できない。私がいるからね」


「なら、正々堂々かかってこいよ。くだらねぇこと考えてねぇでよ」


「……やっぱり時間の無駄だったわね、わかってたことだけど。私、忠告はしたからね」


「はいはい、ありがとさん」



 彼女は勝手になんかを諦めると、ウチに背を向けて去ってく。

 ウチはそんな相手の気持ちを想像した。


 平気なフリしてっけど、どうせ心の中は恐怖でいっぱいなんだろな。

 思いがけないとこから人気者が出てきたもんだから、怯えてんだ。

 カースト上位の女ほど、自分の地位が揺らがされそうになったら、姑息な行動をするもんだから。


 ウチはひとつ舌打ちする。


 イライラが湧き上がってくる。



 さっきのヤツらといい、不良どもといい、節子といい……



 これだからブスは嫌いなんだ。

 見てるだけで、イライラしてくる。

 見た目も悪けりゃ、性格も悪い。なんの価値も与えない。



 やっぱ、ブスに生きてる価値なんかねぇよ。



「へくちっ……!」



 校舎の先の生垣から、愛らしいクシャミが聞こえた。




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