表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第4章 2次審査は桃色フリルの黒リップ
38/76

第38話 美少女JKモデル、ガチで二次審査にケンカ売る②


 二次審査。

 その舞台となる体育館には、既に物見客が集まっていた。


 体育館の内部には大きなセットが立てられてて、候補者たちは観客に姿が見えないように、後ろのドアからその裏に詰められていく。


 なかに入ったウチは、少しだけこのミスコンを見直す。

 モデルウォークときいたときは、どうせペラペラなシートをランウェイに見立てて歩くだけだろって思ってたけど、そんなことはなかった。


 今、ウチの目の前にそびえ立ってたのは、巨大なステージだった。

 その大きさは、テレビのセットかなと勘違いするくらいだ。


 こんなところで歩けるなら、たしかに記念受験勢も現れるはずだ。

 ウチでさえ、ちょっとテンションあがっちゃったし。


「みなさん、お名前を呼びますので、その順に並んでください」


 ボードを持った運営生徒が、着飾った候補者たちの名前を読み上げ始める。

 順番を待つ間、ウチは節子が近くにいるのに気づいた。


 認めるのは悔しいけど、正直、凡人と違うオーラはあった。


 太ってるのに、だらしなさがない。

 あんなに丸いのに、凛々しさがある。

 計算され、管理され尽くした肥満ボディって感じだ。


 不摂生デブというよりは、相撲取りに近いのかもしれない。


 ウチは隣で「ぜってーコイツを潰す」って闘志を燃やしてた。

 ……そのとき。



「二次も出てきたよ、あのブスたち……」



 声が聞こえてきた。



「絶対今回で落ちるっしょ……つかなにあのリップ」


「ヤバいよねぇ……イキリすぎ……」



 右から左から、クスクスと笑われる。

 わざと、ウチらに分かるようなトーンで。


 紗凪は、自分の黒い口を隠すみたいに俯いてた。

 ウチは、前を向いたまま言った。



「堂々としてな、紗凪。あんなの芋なんだから」


「……芋?」


「そ。じゃがいも。ウチらの美人さに比べたら、アイツらなんか畑に転がってるじゃがいもっしょ。例えば、道歩いててじゃがいもがブスって言ってきても、この芋喋れんのすげぇなぁ、くらいにしか思んでしょ? そゆこと」



 紗凪が「じゃがいも……」と感心したように繰り返す。


 セットの上では、司会者が二次審査の流れの説明をしているところだった。

 会場のざわめきは、観客の多さを物語ってる。


 ウチは、硬くなる紗凪を突っついた。



「それにね、紗凪がビビる必要ないんだよ。だってアンタ、ウチがコーディネートした服しか着てないんだから。モデルが笑われたら、それはウチのファッションセンスが笑われたってこと」


「……」


「だから、堂々と歩いてきてよ。んで、全員にウチのセンスの良さを見せつけてきて」


「……うん!」



 その返事に、ウチは安心する。

 紗凪の顔から、怯えの色が消えた気がした。



   ◇ 



 すべての候補者が一列に並び終わる。

 すると、司会がマイク越しに叫んだ。



「すべての準備が整ったようです! それでは、二次審査スタート!」



 司会の号令が響いた瞬間、体育館の照明が一斉に落ちた。

 驚いているうちに、いい感じの音楽がスピーカーから流れ始めて、ランウェイだけにスポットライトが当たる。


 本格的なショーの雰囲気のなか、列の先頭から、徐々に候補者たちがステージへ上げられ始めた。

 順番が来たモデルたちは、舞台裏から客の前へ消えていき、数十秒後に、再び戻ってくる。


 ウチは、その流れを見ながら、少しずつ緊張し始めた。


 別にウチだって、いつも百パー強気なワケじゃない。

 評価してくる人間たちの前に自分を晒すのは、やっぱり不安だ。


 でも……


 ウチは息を吐く。


 でも、負けたくない。

 だって……ウチは美人なんだから。


 ウチの真後ろに並ぶ紗凪は、頬をロウソクのように白くして、



 「じゃがいも……じゃがいも……」



 と何度も呟いてる。


 節子がランウェイに姿を見せると、客席からギャッと黄色い悲鳴が上がった。

 大半が女子だ。

 直接目にはできなくても、彼女が歩くだけで、ファンがバタバタ倒れていくのが簡単に想像できた。


 会場は、バチバチに盛り上がってる。

 このなかを、ウチらは進まなきゃならない。


 舞台袖の階段を上がる。

 ウチの前に並ぶ人間の数が、どんどん減っていく。


 いよいよ次がウチの番だった。

 順番を待つ間、ウチは紗凪に拳を当てた。



「自信持って行けよ」


「うん」



 ランウェイに出ていた候補者が舞台袖に戻ってくる。

 対岸にいる運営スタッフが合図を出すのが見える。


 ウチは、短く息を吐くと、眩しいステージへ一歩を踏み出した。


 途端に聞こえてきたのは……ブーイングの嵐だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ