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学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第4章 2次審査は桃色フリルの黒リップ
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第30話 美少女JKモデル、ガチで炎上する②


「なにって、自撮りあげただけだけど」


「な、な、なにやってるんスか! 大変なことになるっス!」



 スマホに飛びつく。

 そして、意味わからんことを言い始めた。



「うわ、わ……一瞬で炎上したっス! フォロワーがみるみる減ってく……!」


「はぁ……?」



 ウチもスマホを覗き込む。

 んなバカな。増えることはあるだろうけどさぁ、と見てると、たしかに三桁いたフォロワーが、どんどんその数を減らしてた。



「やっぱ加工アプリ使ったほうがよかったんか……」


「そういう問題じゃないっスよ! 自撮りなんてあげたら燃えるに決まってるじゃないっスか!」


「なに言ってんの? ウチ、これだけで数万フォロワーついたんだけど」


「なんていうか、美人は人生イージーってホントなんスね……」



 よしひとが、ラピュタは本当にあったんだ、みたいな顔でウチを眺めてきた。

 なんかふつーにムカつくんだけど……



「とりあえずこの炎上を止めないとっス! ど、どうしよう……りりあさんは役に立たないし……」


「あん?」


「紗凪さん、どうしましょう⁉︎」



 よしひとが紗凪に助けを求める。

 でも、紗凪はどこか遠くを見たまま、動かなかった。



「あれ、紗凪さん?」


「……ん? あ、うん。いいと思う」


「なにがっスか……?」



 ワンテンポ遅れてから、紗凪は間違いに気づいたように口を開く。



「あ、ごめん……ぼうっとしてた……」



 ウチはその姿に違和感を覚える。

 下駄箱で手紙を持って現れてからというもの、紗凪はよく物思いに耽るようになってた。

 ウチらの話を上の空できいてると思ったら、窓の外を物憂げに眺めてたり。


 ウチは知ってる……間違いなく、こりゃ恋だね。

 


「りりあさんのアカウントが炎上してるんスよ! どうしましょう!」


「あぁ……あの、とりあえず、消火しようか……ごめんね、少し貸してくれる……?」



 差し出された紗凪の手に、よしひとのスマホが渡る。


 紗凪はアカウントの燃え具合をチラッと確認すると、ウチに「ごめんね……」と呟いてから、迷いなくウチの激カワ自撮りを削除した。



「あーあ、せっかくリポストもされてたのに」


「飛び火してるだけっスよそれ……痛ッ!」



 よしひとがウチに殴られた肩をさする。



「あとは、謝罪をして……」



 紗凪は両手で文字をパパッと打つと、次々に文章を投稿。

 飛んできた苦情リプも真摯に返していくと、フォロワーの減少はすぐに収まった。

 素早い手際だった。



「炎上対応が手慣れてるっスね……」



 よしひとが隣で感心する。



「頭のなかで何度もシミュレーションしてたからね……顔バレしたとき用に……」



 紗凪が火が消えたアカウントをよしひとに返す。

 でも、よしひとは腕を組んだまま受け取らなかった。



「よしひとちゃん? あの、終わったよ……?」


「……今日から紗凪さんはSNS担当大臣っス」


「え、SNS大臣」


「管理は全部任せるっス。運営方針決めも。考えてみれば、最初からそうしたら良かったんス。なんてったって、既にネットでバズってる人なんスから」


「えぇっと……」


「いいっスよね、りりあさん?」



 よしひとがきいてくるので、ウチは頷く。

 反対するワケがない。

 よしひとより数億倍マシだ。



「それとも管理は嫌っスか……? あ、人気Vのコンサルは有料とか」


「う、ううん……こんなスキルで良ければいくらでも……役に立てて嬉しいよ……」


「そうっスか! 良かったっス!」



 よしひとは喜ぶ。



「なら今度、紗凪さんのアカウントでりりあさんのアカ拡散してくれないっスか?」


「あ、それだけは……身バレしたらお祭りになっちゃうので……」



 おずおずと断る紗凪の横顔を眺める。

 綺麗な顔。でも、野暮ったい雰囲気も同時に漂ってる。

 ウチは、電源タップから充電器を抜きながら言った。



「紗凪、明日暇?」


「え……? う、うん、暇だけど……」


「やっぴ〜! んじゃ、服買い行こ」


「ふ、服ですか……」



 紗凪がビビった感じできき返す。



「うん。二次審査用の衣装。そろそろ用意しなきゃっしょ。あ、よしひとは来ちゃダメだかんね! この前言ったこと、ウチちゃんと覚えてっからな!」



 あっしも行くっス! って言われる前に、牽制。

 予想通り、ぶーたれる女が目の前に生まれる。



「あの、わたし、ファッションとかわからないですけど、それでよければ……」



 紗凪は申し訳なさそうに上目遣いした。



「関係ねぇよ、ウチが全部コーディネートすっから。明日のアンタはマネキン」


「マネキン……」


「あ〜楽しみ〜、顔のいいマネキンと渋谷デート」


「顔はよくな――え、し、渋谷⁉︎」



 紗凪は小さい汗を飛ばして焦る。

 最近どこか遠くばっか見てる紗凪が慌ててんのを見るのは久しぶりだった。


 それだけで、提案した甲斐があったってもんだ。


 明日、ちょ〜楽しみだ。




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