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学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第4章 2次審査は桃色フリルの黒リップ
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第27話 美少女JKモデル、ガチでインタビューを受ける①


 十月になった。

 ウチはガチで凍えてた。


 セーターを着るだけじゃまったく足りず、最近じゃちょっとした毛布みたいに分厚いブランケットも学校に持ち込んでる。

 外が寒いからじゃない。むしろ、毎日穏やかな秋日和でちょーチルい。


 じゃあなんでそんなに防寒してるのかと言ったら、未だに教室ではクーラーがついてたからだった。



 ……バカなの?



 だって、十月って言ったら、秋じゃん。カレンダーの写真ススキとお月見じゃん。

 ちなみに、衣替えは十一月かららしい。



 ……バカなの?

 凍死するわ。



 一次審査を受かった応募者たちの名前は、翌日には広報誌で張り出された。


 エントリー人数は、全部で八十人。

 ひとクラス二、三人は出てるってことだ。多分、落ちたヤツはひとりもいない。


 紗凪の言ってた通り、ミスコンに出ることは、この学校では憧れの的みたいだった。

 

 新聞で全校生徒にお知らせされたことによって、ウチと紗凪がミスコンにエントリーしたという噂は事実になって、ウチらは今まで以上に頻繁に指さされるようになった。

 


「あれっしょ? ミスコンにエントリーしたガリって」


「ヤベェブスじゃん!w」


「あ、唐揚げ爆食ネキ」



 おい、なんだそのあだ名は。

 元いた世界でも注目は集めてたけど、今のは全然キモチくない。


 あ〜、ウザ……

 絶対優勝して全員土下座させてやる……


 

「……の……あのー、りりあさん? 聞いてるっスか?」


「誰が唐揚げ爆食ネキだッ!」


「わっ、そんなこと言ってないっスよ〜」



 理不尽な怒りを向けられて、よしひとがうろたえる。



「あぁ。ごめん、なに」



 ウチらは今、廊下を歩きながら話してた。

 再び二人して職員室に呼び出されたので、そのまま家庭科室へ行くところだ。

 


「二次審査はモデルウォークっスだっていう話っス」


「あぁ、そういや紗凪がそんなこと言ってたね」



 ウチは一次審査前の雑談を思い出す。

 二次を目的に参加する生徒も多いって話だった。



「りりあさん、モデル歩きとかできるっスか?」


 

 よしひとが純粋な眼差しで尋ねてきた。



「はぁ? なめんな、こちとら現役JKモデルだぞ!」


「元っスけどね。まぁ、ならオッケーっス」



 なんか癪に触るな……



「それで、二次はファッションセンスも審査対象なんで、衣装は自前で用意しないといけないんスよ」


「うん」


「問題は、それを誰が用意するかって話ででスね……」



 そこまで言うと、よしひとは顎を指でつまみ、ウチの制服姿を上下にジロジロ眺め始めた。

 失礼な視線に、ウチの不機嫌メーターが上昇してく……



「……まぁ、衣装はあっしが用意しますかね」



 よしひとはまるで「やれやれ仕方ないっスね」という風に肩をすくめて言った。

 久々にブチンと血管が切れる音がした。



「はぁ……⁉︎ それどういう意味⁉︎ ウチがダサいって言いたいワケ⁉︎」


「いやそんなハッキリとは。ただ、ちょっとセンスないかなぁって」


「金の合羽着てるヤツに一番言われたくねぇよ!」



 今日のよしひとのファッションは、金色に塗ったレインコートだった。

 コイツ、光ってないと気が済まないのか?



「よしひとくん、もしかしてさっきからケンカ売ってんのかな? んん?」


「売ってないっスよぉ〜。あっしはマジメに、一番勝てそうな提案をしてるだけっス」


「お前に任せたら敗北一直線だわ」



 ウチは怒った。

 みんなどころか、よしひとまでりりあを舐めやがって……



「……もういい。見せてやる。現役JKモデルがどういう服選ぶのか。りりあ、自分で衣装用意してくるから、よしひとは絶対ついてこないで」


「えぇ⁉︎ でも心配っスよぉ、変な服買ってこないか……」


「お前ホント――いや、もういいわ」



 呆れ果てながら、下駄箱前の廊下を曲がる。

 すると、その角で紗凪と鉢合わせした。

 彼女は、いつにもまして猫背だった。



「あ、紗凪! ねぇマジ聞いてよぉ〜、よしひとがさぁ〜」



 ウチが早速、今起こった出来事を語ろうとしたら、紗凪は今気づいたみたいに目を上げた。



「あぁ、う、うん……おはよう、二人とも」



 彼女の様子に、ウチは眉を寄せる。

 紗凪が、なんか変だ。



「どしたん紗凪。もしかして、またなんかイジメられた?」


「あ、ごめん、心配させて。大丈夫だから」



 紗凪は、蝋燭の火みたいに吹いたら消えそうな笑顔を浮かべて、


 

「家庭科室だよね。わたしもあとで行くから」



 右手をさすっていた。

 その心細そうな動きが、ますます気になった。



「……なんかあったらちゃんと言いなよ」


「うん。ありがと」



 紗凪はウチらの来た道を早足で戻ってく。

 ウチはその背中を見送りながら呟いた。


 

「……生理かな」


「紗凪さん、手になんか持ってましたね。手紙みたいなの」


「ほぉ……?」



 ウチは、よしひとの言葉に首を傾げる。

 ほほぉ……?


 下駄箱?


 手紙?


 あの慌てた様子?


 ……これもしかして、いい感じのヤツか?



「紗凪さんもああ言ってましたし、先行ってましょ」



 なにも気づいてなさそうなよしひとが先を進むのに従いながら、ウチは背後でニヤニヤした。



 おやおや。おやおやおや。

 ちょっと楽しい話出てきたんじゃん……








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