表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校1ブスの山崎さんが「ウチは美少女だ!」って暴れ始めた……  作者: 伊矢祖レナ
第3章 ミスコン1次審査は唐揚げの夢を見るか
24/76

第24話 美少女JKモデル、ガチで一次審査にケンカ売る①


 一次審査会場になってる保健室前は、太い囁き声に満ちてた。



「え待って……すごいブスがいんだけど……!w」


「例の人たちだよ……ウワサの、ほら……」



 行列を作ってウチらの噂話をするのは、この学校でもとりわけ図体のデカい女たち。

 全員、ミスコンにエントリーするような図々しさを持つカースト上位者どもだ。


 ウチはそんなデブどもに挟まれながら、陰口を大人しくきいてた。

 暴れてブラになんかあったら困るからだ。


 

 ――絶対ケンカとかしちゃダメっスよ……! 磁石でも留めてるっスけど、普通に壊れるんで!


 

 家庭科室でよしひとから受けた忠告が頭に響く。



 それにしても……


 

 ウチは、肩に食い込むブラ紐をさすってため息をついた。

 今、ウチの両肩には、人生で感じたことのない重量がのしかかってる。

 鉄板ブラの重量は、片乳一キロずつ。

 つまり、今のウチは実質巨乳ってワケ。


 最初こそ「これが"乳"……」って感動したけど、今はその重さにウンザリしてた。

 たしかにこんなダル重なの毎日ひっさげてたら、肩凝るわ……

 今までマウント扱いしてたの、ほんのすこーし反省……


 審査開始後、保健室は列に並ぶデブ女子を呑みこんでは、サクサク吐き出す。

 それでも、まだ前に三十人くらいはいた。



「つかさぁ、思ったよりエントリーするヤツ多いのな。全員自意識過剰じゃね?」



 ウチが鼻で笑うと、前に立つ紗凪がシーっと唇に指を当てて振り返った。



「山崎さん声落として……! あの、二次審査のために出るって人が結構いるんだよ。二次はモデルウォークだから、みんな憧れてて……」


「あぁ、だからか。たま〜にマシな顔のやつもいるもんな」



 重い肩を叩きながら言う。

 いい加減、並ぶのも飽き飽きしてきた。欠伸を連発する。

 その後も紗凪と時間を潰しながら、あー早く審査終わんねぇかなー、なんて再び大欠伸をかましたとき、前に並ぶ人間たちが急にざわついたのに気づいた。


 保健室から、千代田節子が出てきたのだ。

 審査が終わり、いつものように鼻につく優雅さを振り撒きながら、列の横を歩いてく。



「アイツウザ……」



 ウチの言葉じゃない。

 列に並ぶ誰かが、呟いてた。



「優勝はまた千代田さんで決まりでしょ」


「プロが出てくるのって、なんかズルくない……?」



 ひそひそ声が、列のどこからともなく上がってくる。舌打ちまできこえる。


 悪意のなかを高貴に去っていく節子を眺めながら、ウチは首を傾げた。

 別にミスコンにプロもクソもないと思うけど、とはいえ遠慮しろよと言うヤツが出るのもわかる。


 んなもんウチでも予想つくのに、なんで出んだろな、アイツ。

 やっぱ、性格悪いんだな。



   ◇



 そのあとさらに待って、ようやくウチが保健室に入る番が来た。


 部屋の真ん中には、古い金属感満載の体重計がでんと置かれてて、それに生徒たちが流れ作業のようにのせられてた。

 保健室の見た目が変わってないように、体重計が古めかしいのも、元の世界と一緒だ。


 体重計の反対側には、保健室の先生と、実行委員の腕章をつけた生徒が一人いた。

 メガネの女で、ペンとボードを持ってなにかしらを書き込んでる。

 委員長っぽかったので、ウチはそいつを心のなかで委員長と名付けた。知らんけど。


 ウチの前に、紗凪が審査に挑む。ガチャンガチャンと派手な音を立てて、体重計の踏み台が沈む。



「五十一・三キロ」



 保険の先生が呟くと、委員長がすぐボードに書き記した。

 合格したと言うのに、紗凪が肩を落として去っていった。

 

 いよいよ、ウチの番だ。


 委員たちの視線を受けながら、体重計の上に立ったそのとき――胸に、違和感を覚えた。


 ひんやりした硬いものが、ズルズル下に移動してる感覚。

 ブチブチッというなにかが裂ける音。


 ウチは慌てて両腕で押さえ、体重計から飛び降りた。



「……? どうしたの?」



 保険の先生が尋ね、実行委員が不審そうに紙から目を上げる。

 冷や汗が脇を伝ってく。



「ちょ、は、腹痛くて……あの、すいません、ちょっとトイレ……!」



 ウチはぎこちなく微笑み返して、保健室を飛び出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ