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第12話 お風呂にご招待

「ここがバスルームと言って体を洗うところだ。そしてそこに湯気を立てたお湯をためてあるのが風呂。あの中に体を浸して、緊張をほぐす。できれば入る前に、そこにあるシャワーを使って体を洗ってからな。」


「これってこの服着てはいるの?ずぶ濡れになると思うけど。」


 あまりこれからのことは言いたくないのだが、風呂に入れて洗わんことには話が進まない。


「当然着てるものは脱いで、裸で体を洗うことになる。」


「それ、いい!賛成!」


 言うと、アンジェラはすぐにシャツを脱いだ。

 さらにジーンズを脱ぎ、俺がいるにもかかわらず、さっさと下着上下も脱いで、散らかしたまま風呂に入ろうとした。


 昼間見たアンジェラの均整の取れた体が、俺の目に飛び込んでくる。


 俺はそのままこの洗面所を出ようとしたが、簡単でも洗い方を教える必要があることを思い出す。


 下半身が大きくなりそうなのを理性総動員で封じ込めた。


 俺は着ているTシャツを脱ぎ、ジーンズを脱いで、下着であるトランクスを下ろす。

 洗面台の下の引き出しにあったタオルを引っ張り出し、とりあえず下半身を隠した。


 そして大きめのバスタオルを持って、すでにアンジェラが入っているバスルームに入る。


 最初に体を洗えと言ったが、やはりそんなことをせずに湯船に浸かっていた。


 大きな双峰が湯に浮かび、俺に向かってこんにちはしていた。


「カズ!これ凄く気持ちいい!入るときは、熱いかなって思ったけど、湯に浸かってたら身体から力が抜けて、凄くゆったりできる。」


 下腹部の栗毛も、わかめのように揺らいでいる。


 自分の下半身に、血が集まるのがわかった。


 俺は大きめのバスタオルを広げて、アンジェラがリラックスしている湯船に被せる。


「ちょっと、何すんの、カズ!」


「いいからそれで胸と下腹部を隠せ。それが混浴時の最低限のマナーだ。」


 俺は自分の中に混浴に入った経験を皆目探すことができなかったが、適当なマナーを作り上げた。


「風呂に男女が入るときには、男はこんな風に腰にタオルを巻く。」


 今にも大きくなりそうなモノを懸命に抑えながら、アンジェラに指し示す。


「そして女性は胸と下腹部を大きめのタオルで隠すんだ。それがマナーだ!」


 俺がすごい剣幕でそう言い切ったためか。

 アンジェラは仕方なさそうに、その体に俺が被せたバスタオルを巻きつけた。


 とりあえずは、あの殺人的なアンジェラのボディを直視しなくて済む。


「さっきも言ったが、湯船に入る前には体を洗え。俺が見本を見せるから、よく見ておけよ。」


 俺はシャワーがついている鏡のある洗い場に腰かけた。

 そこに置いてあるボディーシャンプーをタオルに含ませ、泡立てた。

 俺の一物をアンジェラに見せないようにしながら全身をそのタオルで洗った。


 シャワーで泡を落とすと、今度はシャンプーを手に出し、泡立てて髪の毛を洗った。


 髭も目立ち始めていたので剃りたいところだったが、今は洗い方の説明に集中した。


「こんな感じで身体が綺麗になって、気持ちよくなる。アンジェラもやってみろ。」


「そんなんじゃ全然わかんない!カズが私を洗って。ねえ、お願い。」


 君は栗毛の髪を濡らし、頬が上気している、目鼻立ちがはっきりした美女からこう頼まれたら、断れるかい?

 しかもバスタオルで隠されているはずの大きなお胸様の谷間を見せつけられて。

 こちらに上目遣いで瞳が何やら潤んでたりしたら…。


 俺は断れません。


 と言っても、ここで完全に屈服したら、俺はもうケダモノにしかなれなくなってしまう。

 今日会ったばかりで、その素性も知らない美貌の女性。

 何も知らない女性にそういうことをしてはいけない。

 それくらいの常識はわきまえていた。


 それに、この島と思われるこの場所には二人しかいないと思わせておいて、壮大な美人局という可能性も捨てきれない。

 この建物に、巧妙に隠されたカメラがあり、ライブ映像で俺が女性を襲うところを拡散している可能性もあった。


 今までのこと思えば、そんな可能性は極端に引くとは思うが、そう思う事で自分に中にある獣を抑える必要があったのだ。


「わかったよ。じゃあ、まずその湯船から出てくれ。」


 アンジェラは俺の言う事を聞いて、湯船から立ち上がり、そのまま湯船から出てきた。


 体を隠している筈のバスタオルが水を含み、アンジェラの見事な体のラインを浮き出させていた。


「この椅子に座ってくれ。」


 さっきまで俺が使っていた椅子に俺に背中を向けるように座らせた。

 その先にある鏡で、アンジェラの火照った顔と、大きく突き出たお胸様が自己主張をしていた。


 本来ならシャンプーでこの髪の毛を洗った後、コンディショナーなどで海水で痛んでるはずの髪の毛の補修が必要なのだろうけれども…。

 俺にはそう言った習慣がなかった。


 先ほど俺が使ったシャンプーはリンス入りだったので、そのまま使う事にした。


「アンジェラ!頭からシャワーかけるからじっとしてろよ。」


 すでに俺が温めていたお湯をアンジェラに頭から注いだ。


「うひゃ。」


 変な声が出た。

 アンジェラが頭から降り注ぐ水の飛沫にびっくりしたようだ。


 全体的にアンジェラの髪を湿らせると、シャンプーを少しとって、泡立てた後、アンジェラの綺麗な髪の毛にかけて両手で洗っていく。


 人の体を洗うのは変な気分だ。

 記憶をなくす前もこんなことをしたことはなかったのだろう。

 アンジェラの髪を指で梳くようにシャンプーを馴染ませ、泡立てて行った。


 そのままそのシャンプーを洗い流し、さてどうするか考える。


 まさかこのバスタオル越しに洗うというのは変な話だ。


 俺が使わなかったボディ用スポンジにボディーシャンプーを含ませ、泡立てる。


 これ以上考えてもしょうがない。


「アンジェラ、そのタオルを一度脱いでくれ。」


「それはマナー違反じゃないの、カズ。」


「いいんだよ、こういう時は。でないと洗えない。」


 俺の声にしばし考えた後に、コクリと頷いて、巻き付いていたバスタオルを脱いだ。


 アンジェラの頭上から見ていた俺の視界に二つの白いお山と、その先の色素の薄いぽっちが入ってきた。

 俺は慌てて、視線を逸らす。


 背中からスポンジで洗い始め、目を瞑って背中から手をまわしてお胸様と、腰、足と洗い、最後に股間部を軽く洗った。

 とてもではないが、綺麗に丁寧に洗うことなどできなかった。

 アンジェラは俺の完全に身を任せていたが、くすぐったいのか、たまに変な声をあげていたが、俺の下半身にダイレクトに響くので止めて欲しいと、心の中で呟いた。


 何とか全身を洗って、シャワーで泡を洗い流した後、もう一度バスタオルで体を隠してもらった。


 ホッと一息ついたところでアンジェラが俺にお願いをしてきた。


「湯船に一緒に入って欲しい。」


 疲れていた俺は先に湯船につかり、その後から俺に背中を向けるようにしてアンジェラが入ってきた。

 そのまま俺にもたれかかってきた。


「なんだか落ち着くの、こうしてカズと接してると。それにカズの心臓の音がいいテンポで体の力が抜ける感じ。」


「俺もなんだかアンジェラの温もりと重みが、いやじゃない。」


 しばし、少しの幸福感に、俺は満たされていた。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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またいい点、悪い点を感じたところがあれば、是非是非感想をお願いします。

この作品が、少しでも皆様の心に残ることを、切に希望していおります。

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