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勇者の誕生
———勇者は、目の前で勇者が誕生するのを見てしまった。
同い年の勇者と女剣士。
入れ替わった心と体。
仲間と、勇者に期待する世界の王たちによって“心”を追放された。
そして、誰も触れられない台座に刺さった勇者の剣に、触れはしたものの抜けなかった日々……不安と責任感と、解消できない罪悪感に押し潰れそうになった日々を送りながら、必死に剣を抜く夢を見た日々が…………今、無意味と化した。
「ああ………」
女剣士の心が宿った自分が、勇者の剣を抜いた。
それすなわち自身の心の否定。
彼の運命は彼の心を裏切った。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
元勇者は叫ぶしかなかった。
追放された彼の心に味方はいない。誰も、何も———