明白
目を瞑りながら。
ただ、カメラの前を通り過ぎていった。
なぜ俺がここに?
「これ、お前だよな福田」
「は、はい…」
「なぜこんなことを?」
まるで記憶にない。
「なにかしたんですか…?」
「決まってるだろ。いじめだ。」
え。
「僕はやってません。」
「こんな証拠があるんだぞ。まだ吐かないつもりか。」
本当に記憶にない。
というより、やってない。
少し、沈黙が続くと、
「吐いた方が楽になるぞ。」
と、もう一押し。
「本当に僕はやってないんです。」
「やっぱりそうか…」
やっぱり。とは何を表しているのあろうか。
「お前はそんなことやるように思えない。」
そうですか。
「この映像を見てくれ。」
その映像は、さっき見た映像だ。
「お前、目を瞑ってるだろ。おかしいと思って、インターネットで調べてみたんだ。ここに行ってみろ」
と、手渡されたのは、隣の県の病院の名前だった。
「え、あ、はい。」
「夢遊病かもしれない。と言っておけ。」
後日、病院に行ってみた。
精神科だ。
初老の男性が診察した。
診察では異常なし。
次は、アンケートだ。
書き終わった。
「起床時にかなりの疲労があるんだね。いつ頃からかな?」
「中学に入ってからです。」
「それが原因かもしれないね。」
「どういう意味ですか?」
「君は睡眠時遊行症の可能性がある。」
「よく分からないのですが」
「世間では夢遊病といわれている病気だよ。」
「夜に無意識に行動するって奴ですか?」
「そうだよ。」
「何が原因なんですか?」
「ストレスだね。思春期には時々、あるんだよ。」
俺が鈴木をいじめていた…。
心に突き刺さった。
先生には薬を処方してもらった。
帰り道、考えた。
俺が殺した。
そうだったのか。
思い返せば、俺は決していい人生ではなかった。
それを理由にして、全て鈴木に当たっていた。
いじめて。
翌日、警察署に呼ばれた。
「鈴木君の家から日記が出てきたよ。」
「…。」
「最後のページ読むよ。今日、福田君が僕をいじめていたという事実を知った。とだけ書いてあったよ。前のページにも君を良いように書いてあるからきっと、親しい友達だと思っていたんだと思うよ。裏切られた事実を知って、勢いで自殺してしまったんだと思うよ。」
「…。」
「君は鈴木君の命を償わなくてはいけない。そうだろ?」
「…。」
「福田君?福田君?」
今日、私は知りました。
事実を。
鈴木。
いま、
僕も、
逝くよ。
君の元へ。