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憎悪するヒト  作者: 茶柱
9/9

明白

目を瞑りながら。


ただ、カメラの前を通り過ぎていった。


なぜ俺がここに?


「これ、お前だよな福田」


「は、はい…」


「なぜこんなことを?」


まるで記憶にない。


「なにかしたんですか…?」


「決まってるだろ。いじめだ。」


え。


「僕はやってません。」


「こんな証拠があるんだぞ。まだ吐かないつもりか。」


本当に記憶にない。

というより、やってない。


少し、沈黙が続くと、


「吐いた方が楽になるぞ。」


と、もう一押し。


「本当に僕はやってないんです。」


「やっぱりそうか…」


やっぱり。とは何を表しているのあろうか。


「お前はそんなことやるように思えない。」


そうですか。


「この映像を見てくれ。」


その映像は、さっき見た映像だ。


「お前、目を瞑ってるだろ。おかしいと思って、インターネットで調べてみたんだ。ここに行ってみろ」


と、手渡されたのは、隣の県の病院の名前だった。


「え、あ、はい。」


「夢遊病かもしれない。と言っておけ。」



後日、病院に行ってみた。

精神科だ。


初老の男性が診察した。


診察では異常なし。


次は、アンケートだ。


書き終わった。


「起床時にかなりの疲労があるんだね。いつ頃からかな?」


「中学に入ってからです。」


「それが原因かもしれないね。」


「どういう意味ですか?」


「君は睡眠時遊行症の可能性がある。」


「よく分からないのですが」


「世間では夢遊病といわれている病気だよ。」


「夜に無意識に行動するって奴ですか?」


「そうだよ。」


「何が原因なんですか?」


「ストレスだね。思春期には時々、あるんだよ。」


俺が鈴木をいじめていた…。


心に突き刺さった。


先生には薬を処方してもらった。



帰り道、考えた。



俺が殺した。


そうだったのか。



思い返せば、俺は決していい人生ではなかった。


それを理由にして、全て鈴木に当たっていた。


いじめて。



翌日、警察署に呼ばれた。


「鈴木君の家から日記が出てきたよ。」


「…。」


「最後のページ読むよ。今日、福田君が僕をいじめていたという事実を知った。とだけ書いてあったよ。前のページにも君を良いように書いてあるからきっと、親しい友達だと思っていたんだと思うよ。裏切られた事実を知って、勢いで自殺してしまったんだと思うよ。」


「…。」


「君は鈴木君の命を償わなくてはいけない。そうだろ?」


「…。」


「福田君?福田君?」



今日、私は知りました。


事実を。



鈴木。


いま、


僕も、


逝くよ。


君の元へ。



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