自決
唖然とした。
一体誰が死んだんだ?
何があったんだ。
とりあえず学校に行こう。
俺はいつもより、足早に自宅を後にした。
登校し、教室に入った。
誰もいない。
刻々と時間は過ぎてゆく。
また一人また一人、登校してくる生徒が見える。
しかし、その中に鈴木の姿は一向に見えない。
その時だった。
『連絡をします。今日、緊急朝会があります。筆記用具を持って体育館に速やかに移動しなさい。繰り返します…』
きっと、自殺した奴の話か。
俺は誰よりも早く体育館へ向かった。
ようやく、全校生徒が着席したようだ。
『これから、緊急朝会を始めます。』
校長がステージに上がって挨拶をした。
『新聞等で知っている生徒もいるかもしれませんが、昨日、1年1組の鈴木君が亡くなりました。』
え…?
鈴木が?
『皆さんには、これからアンケートをしてもらいます。』
先頭からアンケート用紙が回ってくる。
内容は実に簡単なものだった。
〝鈴木君の悩んでいたことなどを知っていることを書いてください〟
勿論何も書くわけがない。
白紙のまま提出した。
最初は少し悲しんだ。
しかし、まるでもう一人の自分がいるかのように、喜びが湧き上がった。
教室では、半分以上の人が泣いていた。
その中で俺は一人嘘泣きをしていた。
一年一組だけは今日一日休みになるらしい。
担任、入沢の長話も終わり、帰宅しようとした。
「福田、ちょっと来い」
呼び止められた。
そして、生徒指導室へ。
「これ、見てくれ」
それは、監視カメラの映像のようなものだった。
あまり画質はよくないが、
夜の学校だ。
日付は昨日の深夜。
次の瞬間、深夜にいる不審者のような生徒がカメラに近づいてきた。
見覚えのある顔だった。
その顔は、俺だった。