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憎悪するヒト  作者: 茶柱
3/9

報復

彼は、お昼休みなどにも女子を引き連れ、音楽室でピアノの腕を披露していた。

俺は、外から聞こえるピアノの音色を聴きながら、本を読んでいた。

彼の音色は認めたくはないが、確かに美しい。

だが、まだまだだ。

ミスタッチや強弱の付け方などなら、まだ俺のほうが上だ。


しかし、彼はピアノだけではない。

そう思ってしまうと、自分の中の自分が堕落していく。

自分の良い所を必死に考える自分が。


『キーンコーンカーンコーン』


昼休みが終わった。

これから五時間目の授業が始まる。

この五時間目が終われば〝今日〟が終わる。

家に帰っても大してやることはない。

時が経てば、また〝明日〟がやって来る。

なのに、やけに気持ちが高揚する。


「福田君。芯、貸してくれないか」

鈴木が俺のほうを向いて催促してきた。

なぜ、俺なんだ。

お前の好きな女子からればいいだろ。

「だめか?」

ここまで強要されたら貸さない奴はいないだろ。

と、思いながらも無言でシャープペンシルの芯を二本手渡した。

鈴木は申し訳なさそうな顔をして「ありがとう」と言って大切そうに受け取った。


そう考えると良い奴なのかもしれない。

人間として、大切な礼儀がちゃんと身に付いているし、性格も良い。彼を嫌う者はいないだろうと思えてしまうほどだ。

ただ、自分の技術を見せびらかしていることだけが余計なのだ。

いや、これは自分が妬んでいるだけなのかもしれない。

常に苛立っているこの時期に、そのようは言葉は通じなかった―


『キーンコーンカーンコーン』


下校の時間だ。

俺は部活に所属していないため、いつも足早に学校を後にする。

しかし、この日は委員の仕事で掲示板の張替えをしていた。

音楽のポスターを張替えに行くため音楽室に行くことになった。


音楽室に近づいたと同時に、反射的に体が硬直した。

人の声がする。


『・・・・・え・・・・・な・・・・・・・でし・・・』


よく聞こえない。

足音を立てないように恐る恐るドアに踏み寄った。


『私と付き合ってください!』


驚いた。

その声の主は、俺の初恋相手だった。


相手は誰なんだ。


『僕には他に好きな人がいるんだ。君の気持ちは嬉しいが君とは付き合えない。』


鈴木だった。


状況が理解できない。

なぜか体が小刻みに震えだした。

俺があんなにも想っていた人がこんなにも容易く、フラれてしまったのだから。


彼女は、泣きながら音楽室を背に走っていった。

鈴木は彼女を追おうとはせずに、音楽室の中央で、うつむいている。


俺は、驚愕の事実に目を向けることは出来ずに、足早に音楽室を後にした。



次の日。

俺は疲労で言うことを聞かない体を無理矢理動かし、登校した。


教室に入ったなり違和感を感じた。

俺の、前の席の鈴木の机が見当たらない。


なぜか、グランドのほうに目がいった。


グランドの中心には、

彼の席にあるはずの机が、

ポツンと投げ捨ててあった。

展開がなくて面白くないですね。次回は急展開を加えて行きたいと思います。評価、感想どんどんしちゃってください。

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