ぼくだけノート 3
胸中
ここのところ、さんまを食べた翌日に限って
かならずあの子と喧嘩する。
さんまの呪いかも知れない。
でも、ボクはさんまに悪いことをしたという
覚えはない。
しかし。
胸に手をあてて考えてみろ、と言われると
ちょっと
こわい。
無言
わけはわかっているのに
なにがなんだかわからなくなってた時
きみはひょいとあらわれて
ぼくの手をひっぱってくれたね。
苦境
キミのことを好きになりすぎたから
ボクは少しだけ襟元をゆるめなくちゃ。
どっちの方角に
あいつのコト? うん、好きじゃないよ。
キミのこと? うん、嫌いじゃないよ。
万事その調子
きみは一部でぼくを好き。
ぼくは全部できみを好き。
きみの一部はぼくのもの。
ぼくの全部がきみのもの。
逃げ道
もうぼくのことを嫌いになってもいいんだよ。
誰からも責められやしないんだから。
途切れた手紙
高い高い空に吹く
原っぱを駆け抜ける
風がいたい
おいてゆかないで
ルートの傘の下
さがしてるのは誰
間違いようもなく
ぼくはさみしいです。
撹拌
ぼくは自分勝手だし
きみはわがままが過ぎるし
時間もなくなるわけだよね。
中古機
ぼくはぼくなりに
傷つきもするよ。
かけ算
きみのことを考えると
いつもあの香がぼくを満たし
まるできみの部屋に一人いるみたいで
ひどくさみしくなってしまうのに
きみを想わずにもいられないなんてね。
二重に淋しいよ。
たしなみ
人間をやっているのが嫌になる。
が。
やり続けるのだ
人間としてここに在る限りは。
失意
切り放しが効くのなら
気持ちの上では楽なのだ。
末尾
相手にとってどうでもいいことが
自分にとってはむしろ一番大事だったりして、
それがとても悲しかったりするよね。
草原
心がさびれてゆくよ。
そう。
もう人っ子1人いない。
いいさ。
また。
独りでゆくから。
さみしがり
一分一秒でも多く一緒にいられる人と
ぼくは恋をしよう。
少しばかり窮屈なほうがまだましだと
思えるくらい、には
ぼくは独りは嫌いなんだもの。
代え難いことは。
そんなに強かぁないさ、それでも。
きみがいてくれれば
絶対安堵の至福の一瞬
ぼくの手よ
優しい手の人が好きだときみが言うから
ぼくは念じる。
隅々の心まで、全部の心で
念じる。
ぼくの手よ
どうか
どうかきみに
優しく、あれ。
無差別
ぼくはぼく以外の何者にもなれないと
そう
何度もきみには言ったよね。
予告
明日、キミに会ったらまず下唇をね、
つまんでやろうと思ってる。
右眉でもいいんだけど。