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たわし


 なぁ、泣かんで。

 なぁ、もう泣かんで。

 わしが痛かったりつらかったり苦しかったりすると

 お前、よう泣くけん、わし、いつでも元気でおらんと

 いけんような気がしてしまうん。

 それが嫌、ゆうんじゃねんよ。

 ただな、わしな、お前、泣いとると元気でんの。

 じゃけど、お前、わしが元気ねぇと泣くじゃろ。

 もともとはわしのせいなんじゃけど、これって

 堂々巡りゆう気ぃせんか?

 どっかで、ええ方にもってったら、二人とも

 楽しいしとれるがな。

 わしも楽しい。

 お前も楽しい。

 わしが楽しいけん、お前も楽しい。

 お前が楽しいけん、わしも楽しい。

 な、二人とも幸せな気持ちになれるじゃろ。

 じゃから、な。

 もうええんよ。

 もう泣かんでもええんよ。

 そんなに泣きよったら、たわしになってしまうで?

 わし、たわし抱きしめるん?

 そんなん痛いがな。

 痛いけん、しかめ面になってしまうがな。

 じゃから、もう泣かんで。

 泣かんでもええけんな。

  

 

 

 でもな。

 わし、お前がたわしでも抱きしめるで。



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