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第五話。後編 last-10

 つい出来心だった。余計なことだった、こいつは語りきかせて回りくどく、私を泣き落としにでもしようと考えているのか。


「……そう、確かにそうだよな。事の最初から全てを、全ての事件を1人で行うことなど、どだい不可能なことだったんだ」


 俺たちは結局のところ、そこを最初から間違えていた。レディLにせよ、殺人鬼【クサナギケイイチ】にせよ。

 それが1つのコアによって繋がれ、動機ある者達よって引き起こされた連鎖的、複合的に重なり合った犯罪だった。和泉はそう、結論付けたようだ。


「そして、そのコアすらおそらくは1つと限ったことではない。だがしかし、お前の母親、岩永浩子が確実にそのコアの1つであったことは間違いない。死人に口無し、彼女からの供述はもう得られないが……」


「私からなら、それを引き出せると考えたわけか?」


 もちろん、そんなことで私が落ちるはずもなく、自分の母の犯罪を立証することに、私が協力するとでも思っているのか?

 言葉にはせず、視線だけを和泉に向けた。目は口ほどにものを言うものだから。


「もちろん、それができれば万々歳だ。だがそいつを引き出すにはまだ鍵が嵌まってないと思っている」


「確かにな。と言うよりもどこにその鍵とやらを差し込む鍵穴があるのか、私自身知りたいものだが……」


 もちろん、そこに至るまでのヒントは一応すでに出している。そこをきちんと詰めてくるか、それとも的外れな一手で私を失望させてくれるのか、お前はどっちなんだ?和泉。


「……先日、坂下シンジ元死刑囚。通称、殺人鬼Aが執行当日、俺宛にメッセージを残していた」


「ほう。興味深いな、どういうメッセージだったんだ?」


 なるほど、Aは結局最後の最後まで、殺人鬼を演じきったんだな。沈黙を守って死んだあの男とは正反対に。


「その内容は、別に大した事はなかったよ。がそのメッセージを聞かせる前に、少し聞きたいことがあるんだ」


「ずいぶんもったいぶるじゃないか、なんだ聞きたいことって」


「お前、Aに何度かあの店の焼きそばとたこ焼きを届けていたそうじゃないか、差し入れとして」


 これも確かにヒントの1つだった。確か最初のメッセージを忍ばせたものを含めて計3回。面会こそ実現しなかったが、メモを忍ばせたのは最初の1回だけ。





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