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第五話。前編 last-7

 これはいよいよ、責任重大。岩永が機上の人となるまでの数時間。それまでに彼を落とさなくてはならない。

 具体的な証拠もなく、状況証拠・推理とも言えない憶測を交えた、俺の言葉で。

 だがおそらく、この唯一と言っていい証拠は必ず、岩永落とせると俺はにらんでいる。もしそれでも落ちず、彼からの告白もないまま、旅立たせてしまえばそれはもちろん、俺たちの負けであり、俺は親友を完全に失うことになるのだ。


 それ以降、俺は消えた人外の怪物を追い詰め、息の根を止めることを生涯の目的として生きることになるだろう。


「ああ、構わんよ。うちの近くにコンビニがある。そこで落ち合おう」


「ああ、了解。十分もあれば着く。待っていてくれ」


「……ずいぶん早いじゃないか。さては今、車か?」


 その声の向こう、岩永の表情は笑っているように俺には思えた。見透かされてるような感覚にとらわれ、俺の背筋が震えた。



…………………………



 予想は裏切られた。和泉は既に到着していた。近くと言っても歩いて行けばまぁどっちが早いか、正直甲乙つけがたいところではあったが。


「お前、そんなに私に会いたかったのか?」


 1人、エンジンをかけたまま車の横に立ち、佇む泉に向かって少し皮肉めいた意味を向けながら声をかける。どうやらパートナーは今日は来ていないようだが……


「たまたま道が空いていただけだ。……コンビニに何か用があるのか?なければ……」


「そう慌てるなよ。朝の缶コーヒーぐらい買ってもいいだろう?」


 今日、日本を発ってしまえば当分の間、飲む事はできないだろう?そう言いながら、まずはコンビニ入り口近くにある郵便ポストに手紙と書類を投函する。そしてそのままコンビニの中へ。


「んん?なんだ手紙か?さっきのは」


 缶コーヒーを片手に出てきた私に和泉が問う。


「ん、ああそれと書類だ。婚姻届」


「ふ〜ん、婚姻届か……って、婚姻届!?お前、け、結婚するのか?」


 ……こんなにも驚き方に、面白みのない男だったんだろうか?正直言って失望を禁じえないが、先手を取ることには、どうやら成功したようだ。


「相手は?相手は誰なんだ。教えろよ……っと、サンキュー」


 そういうことを聞きたがるだろうと察していたから、缶コーヒーを投げ渡して話しを中断させる。

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