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幕間の四 D-5

 そして書き込みとその女性との因果関係も不明のまま、その書き込みがなされていた掲示板は削除されて存在しない。

 だが最近になってその掲示板を運営していた会社からの情報開示を受け、幾つかのサーバーを経由してはいたがその書き込みはどうやら、日本から発信されたもののようだということを突き止めた。

 そこへ私の帰国が重なったわけだが、不審死した作家のPCに残されていた内容から、L.L文書の発信元ではないのかと言う疑念が生まれた。


 調査の結果、その疑念は疑念のまま終わりただ単に都市伝説や、面白い書き込み等を漁っては自作のネタに使っていたのではないかと、結論づけようと方向が定まりかけた時、部下がPC内に幾つか保存されていたウェブサイトのページに隠しリンクがあるのを見つけた。

 ジャンプした先にあったのが、とあるテロ計画のファイル。


 それは一見、クライムサスペンス風の刑事ドラマのように書かれていたが、テロ計画の内容は実に緻密で計画的。物語の中心的存在である7人の人間が、それぞれ独自の行動をしながらも、それがあたかも組織的かつ共通の目的意識のもと、一つの帰結へと向かう。


 そんな内容だった。その時は、ただ単にネット上によくある、素人小説の一つに過ぎないだろうと考えていたが、数日後、その中の【計画】の一つが、現実のものとなった。


【新宿雑居ビル爆破事件】


 とニュース報道されたその事件は、まさに日本を震撼させることになる連続テロ事件、及び戦後日本において初となる、【軍事クーデター】未遂にまで発展することとなる、最初の狼煙だった。

 非公式名称【7人のテロリスト】事件。のちにICPOのL.L文書と絡めて、一連の事件捜査を一括・統合して操作する為の、極秘特捜部が警視庁内に設置された時、そのトップである俺が命名した。


 最初の爆破テロ以後、正直言って警察の捜査はあまりにお粗末だった。特捜部が設置される前、管轄は警察庁警備局・外事情報部、国際テロリズム対策課、警視庁捜査一課と各所轄の刑事達。特に爆弾テロの標的が多い新宿署、湾岸署との軋轢は、正直言ってドラマのようだと、内心笑っていた。

 その時、我々【和泉参事官室】の面々は言ってみれば部外者、一応捜査にこそ駆り出されてはいたが、自ら能動的に動けるような立場になく、せいぜい例の【小説もどき】と、個人的に極秘捜査していたL.L文書との関連性を、捜査本部上層に開示しただけ。


 

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