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幕間の四 D-3

 のちに発覚したテロや過去の事件にも同様の人物が撮影されており、その共通項からレディ・Lの名がつけられた。

 それら複数の映像を科学的分析した結果、背丈・骨格等からほぼ間違いなく同一人物であり、性別も女性であると結論づけられたが未だ、レディ・L本人を特定できずにいた。

 そんな中、偶然からある人物の名前が、捜査線上に挙げられる。 


 それが日本人女優【岩永浩子】である。


 この時、俺は不覚にも彼女が岩永の母であることを失念していた。元々、学生時代にそれほど深い交流があったわけではない。

 学生時代、大女優の隠し子疑惑がゴシップ雑誌に取り上げられ、それについて友人であった彼自身の口から、その【隠し子】が自分であると言う、告白を受けただけだった。

 それについて俺は、まあ人間色々あるよなと、特に関心無く残りの学生時代を過ごしその後、俺は警察キャリアの道へ。岩永自身は目立った就職活動もせず、作家志望のまま卒業しそこで一時、交流は完全に途絶えた。

 岩永はよくよく考えれば、実に奇妙な学生ではあった。


 昭和世代、最期の大女優と言われた女性の隠し子である。そのことだけで十分に記憶に残りそうなものだか、捜査線上に彼女の名前が出ても、岩永のことを思い出すことがなかったのである。

 が彼女の名前が出た、と言ってもそれは背格好がよく似ている、と言うだけでそのレベルの人物なら数十人挙げられており、判明している事件とのアリバイや出国履歴等の精査が進むにつれ、早々にレディ・L候補から外された。


 元々俺は、レディ・L案件の専従と言うわけではないので、ICPOでの任期終えて帰国するまでに、そのまるで都市伝説のような案件はすっかり記憶の隅に追いやられ、忘れかかっていた。

 帰国後、すぐに私のポジションが確定する、と言うこともなぜか無く、とりあえず取ってつけたように参事官と言うポストを当てがわれ、恐らくは上層部に対するコネの乏しい俺は、【官僚的】椅子取りゲームの蚊帳の外に置かれ、しばらく飼い殺しにされるだろう事を予感させた。

 そんな心躍らない帰国の当日、俺はICPOから非公式の捜査依頼を受けていた。それが日本国内における【レディ・L】案件の調査、である。

 

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