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第四話。4-11

「マッドピエロ、かね? 一応、そう言う符牒があるらしい、とは聞かされているよ、和泉刑事からね」


 私はそう、適当に選んだネームドを口にした。自身、自分がピエロのようだと思わないでもない。警察内ではテロリスト達の呼び名、コードネームくらいにしか考えていないようだが。


「へえ、そうなんだ。俺はてっきりパラディンかと。あんた、周りはどうあれ自分の正義、信念だけは曲げそうにない、そんな雰囲気あったんだけどね。ピエロって言うなら、あの刑事の方がよっぽど、滑稽なピエロに見えるけどね、なんせ……」


 そこからはこれは言葉に、声に出して発することはなかったが、私には想像がついた。自分のすぐ近くに犯罪者がいるのに気がつきもせず、手をこまねいて全然、的外れな捜査を続けている、哀れな道化師だと。

 ……さて、私の想像は何処まで的を射ているか。


「彼は、非常に優秀な刑事だよ。友人として誇りに思う」


「いや、俺は別にあいつが無能だなんて言ってやしないよ。頭はいいんだろうけどさ。色々しがらみ、制約に縛られてて自由に動けないんだろうなって、その滑稽さを哀れに思ってるだけさ」


 Aの口元に再び皮肉めいた笑みが浮かぶ。


「だから、つい手を貸したくなる。だから言ってやったんだよ、この間話した時」


「…………」


「あんたの相棒?の記者、さっさと捕まえて牢にぶち込んだ方が身のためだぜって」


 背中から刺されても知らねえよ?と。なかなか、こいつはどうして、思っていた以上に賢しい奴だ。それで実際に和泉が行動を起こすことはないだろうが……


「って言ってやったら、あいつ。なんて言ったと思う?」


 想像はついている、恐らく、和泉ならこう言うだろう。


「それを待っているんだ、と言っていなかったか?彼は。昔から、そう言うところがあるからな。自ら矢面に立ち、時には囮にして藪に潜む猛獣を誘い出す、そんな危うさが」


 私の言葉にAは驚いたように目を丸くして、半開きの口から言葉が漏れ出た。


「っこわ、やっぱやべえわ、あんたら。友人だとか何とか言いながら、銃をつけつけあってるみたいだな、弾は一発だけの」


「ライバルだからな。友人でもあるが、互いにどちらが優れているか、常に競い合っているつもりだよ、私は」

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