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幕間の三 C-7

「知ってます。彼女が新人女優時代、担当マネージャーに付き纏われた挙句、彼女に対して暴行殺害未遂を起こした事件。その時、長年秘密の交際をしていた男性が事件に巻き込まれて殺害され、その加害者も事件を担当していた刑事に射殺されたって言う……」


「……射殺の部分は後日、舞台化された際に脚色された部分だな。実際は凶器となったサバイバルナイフを担当刑事との揉み合いの中、自ら刺してしまい、その傷が元に死亡した、と言うのが真相だ。報道ではちゃんとそうなってるはずだがな」


「のちのドラマや小説、舞台なんかではよりドラマチックに脚色されて、それが事実かのような印象で定着したと言ったところですか」


「そんなところだろうな。で、その【ドラマ】の前日譚、とも言えるのが例の【回想】と言うわけだ。時系列は随分と遡るが……」


「それなんですけどね、本当に彼女の話なんですかね?とある美術教師の回想、でしたっけ?」


「ああ、間違いない。彼女の家族構成、生い立ちやその他、関係者の証言がそれを裏付けている。【彼女】の秘密の恋人が女性、自身はまるで男のように描かれてはいるが、ほぼ彼女の自叙伝と言っていい」


「その関係者の中に、【草薙啓一】はいるのですか?」


「いや、いない。両親は既に亡くなってはいたが、彼女の兄と姉、それから例の岩永が預けられていたという親戚筋の人間、その他ご近所付き合いの幾人か、と言ったところか。口を揃えてこう言っていたよ、あの子はとても変わっていた、とね」


「……どんなふうに変わっていたんですかね。いえ、回想の中の主人公が彼女だと言うなら、相当変わっていると言うのはみて分かるんですけど」


「実際はそれ以上、だったらしいな。絵を描くだけじゃ無い。観察対象に感じた変化、印象を文章にもしていたようだ。それこそもう一つのほう、マン・ウォッチングのように」


「それも彼女が書いたレポートだと、そう言うことですか?」


「いや、これに関しては良子、君が指摘したように別の人間による模倣だろうよ。それこそあのメモリーカードに記録されていた、スナッフムービーのように、な」


「あれは確かに、岩永……草薙啓一には見せれませんね……まあ私も見たくはありませんでしたけど」

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