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幕間の三 C-6

「多重人格、なんてことは無いだろうがな。俺の知る学生時代のあいつと今とでは、あまりにも違いすぎる。正直言って中身が別人にすり替わったんじゃ無いかと、真剣に疑ったくらいだからな」


「……私はその学生時代を知らないので、何とも言えないんですけどね」


「さっき少し口にしかけたが、あいつの特異性。特殊性はその家庭環境にあったことは間違いない。色々事情があったにせよ、岩永の母親は自身の血を分けた子供の存在を終生、少なくとも公の場で口にすることはなかった」


「随分前に一度、隠し子の存在が週刊誌にすっぱ抜かれてましたね。私はまだ高校生になったばかりだったんですけど」


「ああ、ちょうどその頃だな。俺達は同じ大学の同期だったし、その事実を直接、岩永の口から聞いたよ」


「でも週刊誌では確か隠し子は女性だって、書いてましたよね?」


「そうらしいな。記事そのものを俺は読んでいないから知らなかったんだが、岩永も言っていた。どうやら自分には姉だか妹だかがいるらしい、とな。おかげでマスコミに追いかけ回されずに済むと笑ってもいた」


「……で実際、大学にはマスコミとか押しかけてこなかったんですか?」


「ああ、俺の知る限りそういうことはなかったな。が、あいつが言うには、記事の内容は殆どがデマカセ。ほんの一部事実を混ぜただけの、ゴシップ記事だとさ」


「そう、何ですか?テレビのワイドショーなんかが、結構追っかけてましたけど。子供が預けられていた親戚の家とか孤児院とか……」


「その辺りは事実に近いらしい。実際預けられていた場所は全然違っていたらしいがね。大筋話の流れは事実に即していた、と」


「……いや、幾らマスコミの取材力がゴミだとしても、そんなことってあり得るんですかね?そこまで馬鹿だとは流石に……」


「話題作り、だったそうだ。自分が出演するドラマをPRする為の」


「そう言えば、殆ど舞台がメインだった彼女が十数年ぶりにテレビドラマに出演するって、しばらく経ってから話題になってましたね」


「ああ、それも自分が昔、主役を演じたドラマのな。で、もちろん知ってると思うが、そのドラマは実際に彼女が体験した、とある事件を元にしていて……」





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