第三話。3-16
「ベイブリッジ方面ですね!いいですよ〜この際です、ミニパトで鍛え上げた私の本気のドラテク、見せてあげます岩永さん!」
照れ隠しなのか、図星をついてしまったのか。どうやら私は押してはいけないスイッチを押してしまった様だ。
後部座席に押しつけられる様なGを全身で感じながら、窓の外に見える都会のネオンがまるで無数の流星群の様に見えたが、それは美しくもあり、何処となく訳もなく物悲しく儚く思えたりと、感傷に浸れる余裕をこの爆走するベンツは与えてはくれなかった。
…………………………
私と和泉の習慣になっていた、ベイブリッジを眺めながらの一服。吸い込む紫煙の香りに混じって、少しのアルコール臭と酸味が混じっていた。
「自分の命を預けられるパートナー。よく考えて選んだほうがいいぞ、岩永……」
私の横でそう、小声で呟く和泉。
「……おめでとう。冷やかしではなく、な」
私の言葉に、和泉は声に出しては何も答えなかったが結局のところ、それが答えだった。
第3話、了。
第三話終了でございます。
あとがき豊富なわけですが、メインの掲載サイト、エブリスタでは完結しているので、多少のネタバレをして良いと言う前提になりますが。まあ、あまり気にしないですよね?
一応、あとがきはなろうオリジナル書き下ろしと言うことで、読み方についてこう言う読み方がありますよとあちらはあちらで、例を一つ公開していますが、こちらではこちらの読み方を。
「斯く語っているのは殺人鬼ですよ?」
さて、語りはどこでしょう。と言うことで次の幕間をお楽しみください。




