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第三話。3-10

「似たもの同士。類は友を呼ぶ、ということですね御二方」


 ……言われてしまった。私自身そう思わないこともない、というのが偽らざる本音だ。薬師寺の言葉に和泉はふん、と鼻で笑い、再びコピーを読み始めた。

 私も同じく、いかにも退屈な作業を再開するが、程なく違和感を覚えた。


「……全部、日本語なんだな。闇サイト、ってわりには」


 特に深く考えたわけではない。現代のアンダーグラウンド。簡単には辿り着けないダークウェブ、それは性質上、基本言語は【英語】であるのが普通、なのではないか。


「んん?そこ気になるか、岩永。まあ確かに、このページがダークウェブ上のもの、と言うのはひょっとすると飛躍し過ぎかもしれんが現状、検索で類似のものが見つかっていないからな」


 ありとあらゆる可能性を考えている段階だと、和泉は言う。

 そうかと、私は生返事を返し、取り敢えず最初に渡されていたものの残りに目を通し終え、それを泉の横に置く。


「確かに、コレはつまらん。冒頭の伏線、未回収じゃないか」


 これは小説とはいわんな、小説未満、せいぜい小言だと和泉が先程の私の言葉に同調する。

 そんな和泉の評価を聞き流しながら、次のページの内容を吟味する。


「……これは研究レポート、なのか?」


 いや、研究と呼んで良いものなのか。そう、強いて言うなら観察日記、と言うべきか。その観察対象が昆虫や飼っている動物とかなら、子供の夏休みの宿題。しかもかなりレベルの高い観察記録と言えるだろう。だが……


「人間観察……いや、これは……監視、しているのか?」


 そのレポートは途中からの様で数日分の日付と、その日、観察対象が何をしていたか、時間経過ごとに事細かく書かれている。また、ただ行動記録の羅列ではなく表情や仕草、どこにいて誰と話し、どんな態度で接していたかなど、実に事細かい。

 そこに付け加えるように、観察対象の心象や精神作用などが、著者の分析とも取れる見解として随所に添えられている。


「おい、和泉。このページ、似たようなものは他になかったのか?少なくとも、この【観察対象】が具体的に誰のことを指している部分とか……」


 私はその一枚のコピーを和泉に示す。


「……いや、ざっと見た限りではそれだけだな。持ってきてないデータの中にまだあるかもしれないが……」

 

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