第三話。3-5
「見つかったのは、メモリーカードだったよ。PCとかデジカメとかに使う奴」
現場では中身を見るための端末がなく、一度本庁に戻って中身を確認したらしい。その内容はと言うと、
「大体は画像データ、だったな。とあるウェブサイトのページを、何故かご丁寧にデジカメで撮影したもののようだ」
「……どう言うことだ?ウェブサイトならわざわざカメラで撮らなくても……」
「ああ、そこなんだが……どうも変なんだそのサイトってのが」
変、とは一体どう言うことだろうか。その疑問の疑問を口にしようとした瞬間、車が動き出した。なかなかに荒い急発進で上体が軽くのけぞり、言葉が止まってしまった。
「首都高環状線に乗ればいいんですよね、警視」
「ああ、そうだ。しばらく首都高ドライブを楽しんでくれ。……あんまりスピード出すなよ?あと、他の車煽らんようにな」
「そんなことしませんよ。むしろ、煽られるのはこの車でしょうが」
確かに。首都高をこんなデカい黒塗りベンツが延々、環状線を一般人、それも女性の運転でぬるぬる走っているのを見かけたら、煽りたくなる衝動に駆られるものも、中にはいるかも知れないなと。
「で、何が変なんだ?」
「んん、ざっと目についた情報だけだったがな、一応検索かけてみたが見つからなかったんだよ、そのサイト」
いわゆる、普通の検索エンジンからは見つけられない、ダークウェブという奴だろうと、和泉は言う。が、それは予想できたことだ。元々、都市伝説にも【草薙の文章】は、とある闇サイトにあるとされていたのだから。
私は詳しく知らないが、匿名性が高いことから、ダークウェブでは犯罪行為に関わる、違法性の高い情報や、物品が多く扱われていると言われている。
そのダークウェブに対し、通常のWebサイトを表層ウェブと呼び、さらに【ディープウェブ(深層Web)】と呼ばれるものがある。
一般的に、闇サイトと認識されているのは、こちらのディープウェブの方だろう。
検索を回避するように設定されているため、ごく一般的な検索エンジンでは見つけることができないのは、ダークウェブと同様だが、PC・タブレット端末などで広く用いられているWebブラウザーで、閲覧自体は可能なようでまあ見れないことはない、という程度の知識しか、私は持ち合わせていない。




