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第三話。模倣者〜動機あるものたち〜② 3-1

 走行する車の中というのは、ミステリー小説の中に出てくる【完全なる密室】一つとして、よく取り上げられる。無論、今の様に携帯端末による通信機器が発展している現在においては、その限りではないが、出来るだけ安全に『内緒話』をするにはうってつけと言える。

 基本、彼と私との【会合】は決まって、飯食った後の首都高ドライブと決まっているが、今回は二人きりではなく、ドライバーが一人と、車中には車の消臭芳香剤以外の香りが漂っている。

 持ち帰り用に頼んだ、たこ焼きと焼きそばのソースの香りである。

 と、ここに至るまで間、一悶着があった。


「えっ?持ち帰りってやってないの?ここ」


 鉄板焼き屋を出る時、和泉が夜食用にと注文したのだが店員の返答は、


「すみません、うちは基本お持ち帰りはやってないんですよ〜」


 との事だった。一応、お酒を提供している事。昼間はともかく、夜にそういった場所に子供が出入りするのはどうかと言う、先代からの決まりという事で、この店の経営を引き継いで以降も、それを守り続けているのだと言う。

 ん〜それは困ったなと。が、なら何故Aは私にこの店のことを教え、差し入れとして要求したのだろうか。彼がここに頻繁に出入りしていたと言うなら、そのルールを知らぬはずはあるまいに……。


「いや〜ちょっと困ったなと。私の知り合いに、今度会う時の差し入れにと、ここの焼きそばとたこ焼きとを頼まれてたんだが……あっ、領収書お願いします」


 私は会計をしながら、女性店員に話しかける。


「あ、ひょっとしてそのお知り合いさんって、この近所に住んでらした方ですか?」


「あ、いやその辺はよく知らなくてね……」


 領収書に書く名前を聞かれ一応、取材記事を掲載してもらう予定の出版社宛てにしてもらいながら、女性店員の話を聞く。……これくらいは何とか、取材費ということで落としてくれるだろう。


「うち、営業は昼からなんですけどね、夕方くらいまではご近所さんには一応持ち帰り、オッケーにはしてるんです。但し子供だけじゃなく、保護者同伴に容器を持参で」


 ……なるほどね。そういうことか、と少し納得しそうになったが、いや違う。Aはそもそもこの近辺に住んでいたのか?繋がっている様で繋がらない、どうしてAは……




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