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第二話。2-10

 随分と、二人は打ち解けているように思えた。それもまた和泉にしては珍しいことだった。もしかすると、薬師寺という女性、なかなかのやり手かもしれん……。

 やがて注文していた食材類が運ばれてきた。焼き飯用の食材、調理器具を受け取った和泉は手慣れた様子でテキパキ準備を始める。

 それは隣の薬師寺も同様に。


「……ふうん、見事なもんだな。随分と作り慣れてる、みたいだなぁ和泉」


「ああ、まあな。滅多に家で飯は食わないんだが、たまの休み、家では適当に鉄板で飯作って食ってるからな」


 具材の焼きから始まり、その横で丼に配分のご飯を、文字通り焼き始める。カシャカシャと、2枚の鉄ベラを使い、小気味良い音を立ててご飯を攪拌させている。


「へえ、部長って一応、自炊とかってするんですね、意外です」


 彼女もまた、隣でもんじゃを慣れた手つきで焼いていた。その様子をモツを食べながら、眺めていた。いつのまにか、焼きそばもたこ焼きも無くなっている。

 手持ち無沙汰である。和泉が注いでくれたビールも半ばなくなり、手持ちの瓶からグラスに注ぐ。


「……で、どうだった?その【営業先】とやらは」


 一瞬、場に緊張感が走った。特に薬師寺の手が止まり、ビールを飲んでいた私に先ほどまでの打ち解けた様子から一転、鋭い視線を向けてきた。


「ああ、上々だ。詳しいことはまだ分かってないがな。じき連絡が来る事になっている」


 特に作業の手を止める事なく、和泉は私に合わせて話しを続ける。その様子に驚いたような彼女は、視線を和泉に向けた。


「大丈夫、この程度はなんともない。第一、情報提供者はコイツだからな。言っている、意味わかるな?」


 それは勿論、私が和泉の捜査に協力していると言う意味である。しかも、単なる情報提供者にとどまらない……


「あとなぁ、もうちょっと話しとくと……いいか?」


 和泉は私に目配せする。私は無言で頷いた。


「岩永は俺の大学時代の同期でな、今はフリーライターなんぞやってるが……」


 おいおい、そんなとこから話すのか、私はつい茶々を入れたくなったが、別にわざわざ盛り上げる必要もあるまいかと、口をつぐんだ。

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