表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/111

ED-7

 「っ!ええ!?そんな、まさか?」


 ……どうやら、俺には姉だか妹だかがいるらしい、そう皮肉気味に呟いていた岩永の顔が浮かぶ。


 薬師寺は驚きの表情を浮かべていた。自身が担当した事件、そこで接触していた関係者。それが事件の黒幕であったという、論理の飛躍にまだついて来れていないようだった。


「観察対象はその近くで見守るもの、だろう?色々な【実験】を行いながら……」


 ある意味では、この騒動が大きく動き始める、最初の事件と言っていいそれが起こった時から、彼らのゲームは始まっていた。【後継者は誰か】と言う、二人っきりの兄妹、或いは姉弟の間で。


そして今……


「あとを頼む、とはこの事だったのか……岩永」


……結局のところ、我々は先行したベンツに追いつくとは、できなかった。


「これから、どうするんですか?潤一郎」


 結局、俺達はそのままベイブリッチに向かい、そこで一服、何時ものようにタバコに火をつけた。


「分からん。この後一体どうなっていくのか。正直、見当もつかない……」


 そうですか、と不安気味の視線を向ける薬師寺を眺める。そして、こう告げた。


「事件は元の木阿弥、振り出しに戻るのかも知れない。だが無力だった頃の俺たちじゃない。少なくとも、黒幕の目処は付いている。そして……」


 俺は懐から小さな小箱を取り出し、彼女の元へと歩み寄る。


「何があろうと、お前は俺が守る」


 そう言って俺は彼女の前に跪き、右手で小箱を差し出す。


「俺と、結婚してくれ……いや、結婚、してください」


 そう言って俺は少し俯いた。照れ隠しでもあり、覚悟を決める為の祈りでもあった。

 しばらく、気まずい沈黙が続いたのち、俺の手を取った彼女もまたしゃがみ込み、耳元ではっきりと


「はい」


 とだけ言った。



 エピローグ、了。




…………………………




「……まあ、しばらくは大人しく、観察するだけにとどめておきましょうか。その方がボクとしても楽しめそうだし」


「……宜しいのですか?お嬢様……いいえ、レディL。あいつらに好き勝手させておくのは些か……」


「何か不味いとでも?出来損ないの弟と、老いて朽ち果てていった老害が残していった遺物など、綺麗さっぱりなくなってしまった方が心地よいわ。……むしろ残党の摘発に協力しようかしら?」


「しかし、それでは余りにも……」


「無情すぎるとでも?」


「そうは言いませんが、せっかくマダムLが生み出し、育て上げていった組織です。このまま手をこまねいて、壊滅するに任せていては、今後の活動資金にも影響が出るかと……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ