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第77話 先祖から受け継ぐ名前を背負って

評価、ブックマークを熱望している今日この頃です、ぜひよろしくお願いしたいです!!


毎日投稿での更新を目安に執筆していきますがズレることもありますのでよろしくお願いいたします。

「流石って言ったところかしら・・・。あの必殺の一撃をも回避するなんて、最早人間技じゃないわ」


 半ば諦めたかのような枯れた笑い声と共に、彼女はその言葉をこの凄惨なグラウンドに落とす。生存者数は依然として多い。だが、そのほとんどが戦闘に躍り出ることができないほどの怪我を負っていた。


左手をあらぬ方向に曲げるアンも、その内の一人に含まれるだろう。その他にも、うめき声しかあげることのできない者や、意識を失っている者。この場では、そういった学生が大多数を占めているのが現状だ。目の前の悪魔に、目にものを見せるには、圧倒的に戦力が足りない。


「誰でも避けれるわよ〜。闇の一族ならね。あんなただ眩しいだけの攻撃なんて、こちら側の世界じゃあ、5歳の子供でも扱ってみせる。だって、出来なきゃ死ぬだけだもん。例え、どんなに泣き叫ぼうがね!!!」


 さっきまで、遠くからこちら側に歩み寄ってきていたはずの悪魔は、気がつけばバスと目と鼻の距離に立っていた。その佇まいは、今すぐにでも、強力な攻撃が繰り出されてもおかしくないことを物語っている。それを表すかのように、悪魔の強靭な尻尾は、一直線状になり後方に伸び、いつでもこのバスを貫くだけの準備をしているようであった。


「ふん! なるほど・・・そう理由ね。今、納得がいったわ」


 短剣を悪魔に向けながら、彼女は不敵な笑みを浮かべながら悪魔を睨みつける。その行動に、悪魔はごく短時間ではあるが、警戒心を強めた。


「——何が、納得いったのか。聞かせて欲しいものね」


 だが、悪魔にとって、目の前の学生は有象無象の一人に過ぎない。警戒心など、本来抱く必要のない相手だ。だが、戦場を家とし、幼い頃から死闘に身を置いてきた悪魔は一度抱いたそれを払拭させることはなかった。それを、彼女が気づく由もない。しかし、確かに彼女は、圧倒的実力を誇る悪魔を警戒させるだけの威圧を放っていたのだ。


「あなた達悪魔の顔の話よ。昔からね、親に悪魔について話を聞かされる度に思ってたわ。なんで、あなた達ってそんなにブサイクなんだろうかってね! それが分かったのよ。そんなクソみたいな場所で育ってるから、性格だけじゃなくて、顔までブサイクになるのよ!! 今に見てなさい・・・。いずれ、あなた達が生活するその場所を!私が!!ぶっ壊してやるんだから!!!」


 ヒュウゥゥゥゥ! ビシィィィィ!!!!


「汚い口を閉じなさい——! これ以上、人間という下等な生き物を増やしてはいけないわね。あなたの言葉を借りれば、そんな考えしかできないクソみたいな環境で!  これから生まれ来る子供達が!! 可愛そうで仕方ないわ!!!」


 悪魔は伸ばしていた尻尾を、瞬時に鞭のようにしならせ、地面を一度激しく打ち鳴らす。その衝撃だけで、ビリビリと震える上がる横たわるバス。まるで、これから怒る恐怖に先立って怯えているかのように。


そして、一線となり、視線で捉えらないほどの速度で、悪魔の尻尾はバスに向かって放たれた。狙いはバスか、それとも特定の人物か。それは、攻撃が着弾するまで誰も分かるものはいなかった。


「ガッ!!アァァァ・・・!!」


 悪魔の攻撃は、バス本体に衝突する直前で、その軌道を物理法則を無視するように、突如として曲げた。そして、そのまま、バスに空いた穴から身体を起こしていた、短剣を持つ彼女に向かって直進。彼女の首に触れると同時に、一気に蛇のような強かさで締め上げてみせた。


「あなたは——すでにこの場の空気を吸う権利すらない。あそこまでの大口を叩いて見せたんだもの。当然よね。弱者は強者に飲まれてただ、見窄みすぼらしく死ねばいい!」


 言い終わるや否や、悪魔は締め付ける威力を徐々に強めていく。より呼吸が困難になり、彼女の口からは呼吸と共に声が漏れている。だが、それも弱々しくなってくる。


「私は・・死ねないの・・・こんなところで・・・。我が一族の名において・・・この世界を正すまで!!」


「大層な十字架を背負わされたのね。ただ、それには力がいるのよ。世界を変えるほどの力が、あなたにはあるのかしら」


「力の有無は関係ない・・・。大事なのは・・その信念を背負い・・・やり遂げる覚悟を持てるか。それが、()()()()()()()()()()()()()()()使()()なのよ!!」


 カラン・・・


 このグラウンドに今日一番高らかに響いた咆哮。その言葉を放ち終わると、彼女の手から静かに握られていた短剣が、するりと落ちていく。地面とそれが触れ合った時に、溢れた音に込められるは侘しさと誇りだ。


それは、誰かの耳に届かせるために鳴り響いたのではなく、意図せず戦場に浸透していった。だが、少なくとも、アンの心には、しっかりとそれが届き、震える身体に溶け込んでいった。





いかがだったでしょうか? 気に入ってもらえたのなら、嬉しく思います!


繰り返しになりますが、コメント、評価、ブックマークは私のモチベーションにもつながりますので、ぜひしていただくと幸いです。よろしくお願いいたします。



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