第61話 違和感の正体
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目を介して伝えられる情報の世界の中でも、じっくりと覗き込まないと見分けられない程遥か遠く。横に吹く風に誘われて靡く髪の毛がわずかに視線を遮り、その世界をより複雑なものにへと変化させていく。だがそれでも、遠く離れた場所からこちらをじっと静かに見つめてきているツインテールの女の子を、彼女の目はしっかりと捉えた。彼女は、口元に両手を押し当て、口から出てきそうになる感情を、何とかして飲み込もうとしているように見える。
違和感の正体はこの子の視線だと言うのは言うまでもないだろう。それを違和感だと言いたらしめるのは、彼女がこちらをただ意味もなく、無気力で見つめてきているのでは無かったからだ。不思議なことに、その目線の焦点は彼女の顔で交わっていない。明らかにその後方を見据えているように見えた。
はっとした瞬間、彼女の心はざわつきと共に焦りを覚える。彼女は躊躇うことなく勢いよく後ろを振り返り、視線の先にあった物を特定した。彼女が見つめたもの。それは、見た途端に人ならざるものだと認識できるものが、堂々とそこに君臨していた。漆黒に染まり、左右対称に棘を生やし、今まで幾人もの命を薙ぎ払ってきた私の尻尾。地面に線を引きながら、彼女のあとを遅れることなく付いてきていたのだ!
同時に瞬時にして悟った、
「見られた・・・! 正体が——バレた!!」
そして、女の子がその正体を知らせるべく声を上げようと、息を大きく吸い込んだ瞬間。彼女は既に人間の姿をしていなかった。地面を大きく抉ると、一気に脚に力を込め解き放つ。そこに迷いはない。例え自分の正体が明るみになるのが、早くなるか、遅くなるかの僅かな時間の差であったとしてもだ。自分の失態から正体がバレた、という自尊心を傷つくような事態は避けなければならない。彼女のその咄嗟の行動が、緻密に作られた作戦の歯車を大きく歪ませてしまう。その影響は今後の戦いにおいて、しっかりと響いてくるのであったが、それは・・・。まだ、先の話だ。
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