第57話 砂時計
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紙が無くなって身軽になった左手で、風に流された砂塵が付着した髪を一撫でする。気のせいかもしれないが、先ほどから飛んでくる砂の量が増えた気がする。何か遠くの方で工事でもしているのだろうか。分からないが、面倒なだけだからやめてほしい。パラパラと音を立てながら落ちていくそれは、砂時計の僅かな隙間から健気に落ちていくそれをアンに連想させる。そして、ある一定の時間が経てばそれ以上砂が飛んでくることはなかった。
砂時計と言えば。昔、お父さんが仕事で部屋を留守にしているとき、こっそり部屋に侵入しては机の上にあった薄黒いガラスに覆われた砂時計を何度も上下に倒したりしたっけ。あの時はその構造が理解できずに何故、砂が落ちてなくなってしまわないのだろうかと頭を悩ましたものだ。いつの間にか時が経つのも忘れ、辺りが暗くなった時に家に帰ってきたお父さんに見つかっては頭を小突かれる。
これを幾度も繰り返した。しかし、その度にお父さんの顔には怒っている様子は一切なく、やんちゃな子だな、という言葉と共に朗らかな笑顔で怒られたものだ。いくつになるまで続けたかな。きっと、何歳になってもやってるんだろうなって子供ながらにして思ったりもした。
あの幸せな時間が永遠に続くと思ってた。砂時計が向きを変えるだけで永遠に砂が落ちつづけるように。代わり映えのしない幸せが気が遠くなるほど無限に果てなく広がり続けるのだと。しかし、現実の世界に永遠なんて言葉は存在しないんだ。
残酷だけど、存在するわけがない。時の流れなんて砂時計の向きを変えるなんて手間を惜しむ様に、机の上から砂時計を落としてしまえばそれで十分なのだ。それだけで、世界はいとも容易く壊れていく。繰り返される幸せの時間も疑問に思った時間も無に帰すんだ。
つまらないことをふと思い出し知らぬ間に足を止めていたアンだったが、浮上してきたその記憶を頭の深部に鍵をかける様に閉じ込め、二度と浮上しない様強い足取りで帰りのバスに向かって歩き始めた。肌を撫でる風もどこか先ほどと色を変え、人肌恋しい今の心情とは裏腹に乾いた風が辺り一面に吹き付けた。
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