第46話 思い出しそうで思い出せないこと
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「二人ともよーく思い出してほしい。今回の体力テストを通じて怪しい人物とか挙動がおかしいなって感じた人はいるかい? ちなみに僕が見ている限りでは新入生にはそのような奇行に走っている人は見られなかったよ。皆んな真剣に今回の体力テストに取り組んでいた」
デンジュが自分の考えを端的に述べる。その意見に反対するものはいなかった。なぜなら、シルも侵入者の行方を探すべく、テスト中幾度も他の新入生に疑惑の目を向けていたが不審な人物はついぞ発見することはできなかった。
「ということは・・・この闇の一族のウニウニした奴に取り込まれたのは実行委員で携わってくれてた人。ってことになりますよね」
「マシュ。君はどう思う? 何か気になる人がいたり、そのような前兆を感じたりしたか?」
マシュは少し考える素振りを見せたがやがてゆっくりと首を横に振った。
「いんや。全く気づかなかったよ。皆んな愛想いいしさ、僕たちみたいな新参者にも絶対話しかけてくれたし。テストの結果で一喜一憂する前に記録してくれた人とかがアドバイスであったり、励ましの言葉とかかけてくれたしな〜」
そう言われデンジュはどこか誇らしげな顔を浮かべ、笑みを溢す。マシュの褒め言葉がまるで自分のことを言われたかのような嬉しさを隠しきれないまま全身からそれが溢れ出ていた。
「そうだろう! 僕が今回実行委員の中でも指揮を取る立場を任させた時、そこだけは徹底しようって決め事をしていたのさ! いやぁ、新入生の口からそんな言葉をいただけるくらいに皆んないい仕事してくれたんだな〜!
女子の方でテストを運営している実行委員はどんな調子なんだろうか。今更だけど気になってきたよ。何せ、僕がその場にいないからね」
全員がアドバイスをくれ、愛想が良かった。この言葉がシルの頭に強く違和感として覚えた。確かに大半の記録委員ないしは実行委員の人はデンジュを筆頭にとてもよくしてくれたし、しつこいと思うほど色々話をしたりもした。
だが、一人いたはずだ。それとは全く逆の印象を感じ取った人物が。激しい戦闘のフラッシュバックする記憶で上手く体力テストの時の記憶に戻れない。
彼女の手を震える自分の手で覆い隠した時の温もりと柔らかな感触。違う、これは記憶を戻し過ぎだ。この時はデンジュ以外の実行委員の人と話してすらいない。ならば、持久走のウォーミングアップの時か。いや、もう少し先だ。
頭の中がまるで電子レンジのように考えれば考えるほど次第に熱を篭らせる。クルクルと頭を回転させるが、シルが思い描く記憶にどうしてもアクセスできない。何か、何かないのか。きっかけとなる何かが。
「ところでシルさ。なんでさっきから黙ってるんだ? 僕たちの話を聞いていたか?」
マシュに話しかけられ、考えすぎで言葉が耳に入っていなかったという事実が今になって思い知らされる。自分の悪い癖だ、と胸の中で戒めながら後頭部を強く掻きむしる。
「すまん、もう少しで大事なことを思い出せそうな気がしてな。そのことばっか考えてて話が聞こえてなかったよ。何の話をしていたんだ?」
「あー、あるよね。喉元まで出てきかけてきているのに全然その少しが思い出せない感じ。僕も嫌いなんだよね〜。ちょっとイライラしてくるしね、全然それが分からなかったら」
「ダメですよデンジュさん、こいつを甘やかしたら。話を聞いていないのは致命的ですよ。ここが命を懸けた戦場だったらこいつは作戦を聞き逃して死んでます。ちゃんと聞いとけよな」
真剣に怒りをぶつけてくるマシュにシルは再び謝罪の言葉を口にする。しかし、彼の怒りは長く続くことはなくシルが二度目の詫びの態度を見た途端に、口元を歪ませ溢れる微笑みを見せてきた。
「まぁ。気をつけてくれたらいいけどよ。あぁ、そういえば何の話をしていたのかって聞いたよな。あれだよ、何でシルがオークと戦っている最中に人工瘴気製造機を遠くに蹴り飛ばしたのかなって疑問に思ってさ。その真意を聞こうとしたんだけど——」
人工瘴気製造機——? 瘴気、テスト、瘴気保有限界テスト・・・?
「それだ!!!!!」
電撃が走り出しそうなほどの衝撃と、心のモヤモヤが霧払いされた興奮からシルは今日一番の大声をここで出すことになった。
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