第31話 突如轟く衝撃音
評価、ブックマークを熱望している今日この頃です、ぜひよろしくお願いしたいです!!
毎日投稿での更新を目安に執筆していきますがズレることもありますのでよろしくお願いいたします。
数分、いやもしかしたらもう少し短い時間だったかもしれない。テスト終了と再び小さな声で告げられた後、聞こえてくる閉ざされていた扉から鍵が開けられる音。それが微かに鼓膜を震わせたと思うと、扉がゆっくり自ずと開いていた。
「うわ、眩しい!」
暗闇に慣れていた目に急に飛び込んでくる陽光。反射的に手で光を覆いかくし、数秒間目を細めてしまう。思わず出たその言葉は、相変わらず賑やかにテストが進行しているグラウンドに虚しくかき消されたが。
まぁ、誰かに向けていったセリフでもない。意図せずして出た言葉だけに少々恥じらいを覚えたシルだったが、表情はポーカーフェイスを装い、何事もなかったのように努めた。
次第に外の明るさに目が慣れてきて、はっきりと他の新入生がどのようなテストを受けているかなどの、詳細な情報が視覚を通じて伝播される。軽く外の様子を一望して見ても、試験室に入る前と変わらない世界が依然としてそこには広がっていた。
「ウォォ!!!」
「もうちょっと!!!」
シルの零した言葉を掻き消した他の新入生の咆哮。シル以外の新入生は、少しでも良い成績を残そうと必死だ。持っている力以上の記録を出そうとして、悉《《ことごと》》く空ぶっていく姿がグラウンド中で繰り広げられていた。
「シル・バーン兵士。記録シートの方を返還いたします。これにて全ての体力試験の項目を終了しました。なので、この後の行動、または指示の方をここまで誘導してきたデンジュさんから伺ってください。お疲れ様でした」
全ての試験結果と名前が記された記録シートを、先程の人当たりが悪い女性の記録員から受け取る。シルの手元に再び戻ったのを確認すると、踵を返し颯爽と再び所定の席に彼女は座ってしまう。その態度から、どこかさっさと行けと言わんばかり追い払われるような気がしなくもない。
「相変わらずの態度だな」
心の中で訝しんでみたが、これ以上相手にすることもない。そう思い改めて、シルはデンジュの姿を目で探す。
次の試験者が、先ほどまでシルがいた試験室のなかに姿を消していく。その時、シルの横を通り過ぎて行ったのだが、言葉を交わすことはなかった。どこか険悪なオーラを彼からは感じた。
「もしかして・・・朝の件で怒っているのかな・・・?」
しかし、もしそうだとしても、それを確認し、謝罪を入れるのも変な話だ。そう思い、彼に向けていた視線を正面に戻す。すると、後方から再び外側から鍵をかける音と共に、
「始めますよ」
という小さな声。そして、実行委員の彼女は、何の躊躇いもなしに瘴気を流し込むスイッチを押した。
ふしゅ〜。煙が注がれ、部屋の中に瘴気が充満していく。中から見る景色と、外から見るそれでは、このような違いがあるのかと少し思いを馳せてしまう。なぜなら、外から見ている分では、到底今テストが行われていることを知る手立てがないからだ。現段階で、どれほどの濃度の瘴気が注がれているのか、それすら見当もつかない。
「もう終わったのかい?」
視界の側面から尋ねてきたのはデンジュだった。視線で軽く探したときには見つからなかったが、相変わらずの笑顔を顔に浮かべてながらシルの元に歩み寄る。来たとき以上に彼のテンションが高いのは、恐らく気のせいではない。
大方既に何人かの試験修了者が現れているところから察すると、試験が全て終わり緊張から解放された新入生達と話しでもしたのだろう。そこで、持ち上げられ少し気分をよくしたとか、そういった光景が容易に目に浮かぶ。
デンジュの奥にいる完全に打ち解けあった新入生同士が、たわいもない話を繰り広げているのが視界に入る。そこで話している新入生は3人。シルを除くと、あと2人の新入生が試験を受けていることが分かる。
ちなみに、楽しそうに談笑している新入生の中には、マシュの姿は見当たらない。辺りを見渡すと、先程入っていった新入生の瘴気保有限界テストが終わるのを待っているようであった。
つま先を支えるものがなくなったかのように、忙しなく動かして、自分のテストが始まるのを心待ちにしている。依然としてその顔には緊張が見て取れるが、それ以上に気疲れなのだろうか。朝会話した時よりも疲れているように見えた。
これから学力テストもあるっていうのに。そんな調子で大丈夫なのか、と声をかけてやりたくなる。だが、彼の集中の妨げになってはいけないと思い踏みとどまった。
「はい、全て終わりました。こいつは、デンジュさんに手渡しすればよろしかったですよね」
見渡していた視線を正面のデンジュに向け、そう言いながら、シルは記録シートの端っこを両手で掴む。そして、壇上で表彰状を手渡しする校長先生のように——お辞儀はしてないが——デンジュに差し出す。
「それで合ってるよ。お! 凄いね、シル君。殆どのスコアがSじゃないか。それに、瘴気保有限界に至っては測定不能ってスコアが出てるよ。君もしかしてとんでもない才能を秘めているんじゃない?」
「それは機材トラブルじゃないでしょうか? そんなに大した能力は持ち合わせていませんよ。それより、今日の朝は迷惑をかけました」
話したくない話題をされた時のように無理やり話題を変え、シルは朝の出発が遅れる原因を作った件のことでデンジュに頭を下げた。今さっきまでの笑顔から一変して、戸惑いを浮かべるデンジュ。すぐに頭をあげるよう言葉とジェスチャーで促してきた。
「良いから良いから。顔をあげて! 全然気にしてないよ、あのえぇと、君に近寄った彼女とのあの距離感はちょっと羨ましいなとは思ったけどね。あの時はどうかしたのかい? 立ちくらみ?」
ゆっくりと頭を元の位置に戻したシルは、デンジュの顔をじっと見ながら答える。
「えぇ。昨日色々ありまして、寝不足なもので。体調管理もまともにできないことはお恥ずかしい限りです」
「ほぉ、そりゃ昨晩はお楽しみだったってことか〜。若いって良いね〜ほんと」
卑猥な妄想を膨らませる目の前にいる兵士を、すぐさま色々な根拠から否定しようと大きく息を吸い込み、その言葉を並べようとしたまさにその瞬間。
ドゴォォォォォォ!!!!!!!!!!
シルの後ろから大きな轟音が突如鳴り響き、楽しい会話もろとも周りの騒音をかき消し、緩んだ緊張感の雰囲気を破壊したのだった。
いかがだったでしょうか? 気に入ってもらえたのなら、嬉しく思います!
繰り返しになりますが、コメント、評価、ブックマークは私のモチベーションにもつながりますので、ぜひしていただくと幸いです。よろしくお願いいたします。




