第28話 感動の瞬間?
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体力テストは順調に経過していった。緊張は最後まで解れることはなかったが、持久走から始まったこれも、そろそろ終わりの兆しが見えてきている。最初の、全員がスタートを切って始まった持久走では、各々が出せる力を振り絞り、誰一人欠けることなく、皆がゴールテープを切った。
序盤、シルは周りの動きを測る為に、あえて後方に構えて様子を見るという戦法を取った。先頭集団と近すぎず、それでいて離れすぎない距離を一定の間保つ。そうすることで、許容量を超過するスピードを出さないように努めることができ、最後まである程度の体力を温存しながら走る。加えて、今回はそこに周りの新入生の様子を伺うという目的も付随していた。まぁ、特に何か得られた訳ではないが。
一方で、マシュはというと、最初こそ猛スピードを誇り先頭に躍り出ていたが、半分を回った辺りから一変して様子が変わった。一人、また一人とマシュの隣を駆け抜けていくのだ。他の者の走るスピードが上がったのだろうか。いや、真相は全くの逆だ。
前半に飛ばしすぎたツケが回り、気がつけばスピードは減速。今まで大差をつけていた後方集団との距離を縮めてしまうと、そこからは一瞬だった。瞬く間に自分の身が後方集団に飲み込まれ、やがてマシュの姿は前方から後方へと移動していた。
かくいう、シルは疲れがピークに達する18周目くらいから徐々にスピードを上げていき、最終順位が6人中2位という中々の好成績でゴールラインを駆け抜けた。記録したタイムは、11分と34秒。シルと1位の人のタイムは20秒ほどしか変わりなかったので、今年も大佐の人間離れした持久走の記録を更新することは叶わなかった。
だが、走り抜けた新入生の顔にはそんなことに一喜一憂する余裕はない。目に見えて分かるほどの疲れで、ゴールテープを駆け抜けた直後に倒れ込む生徒も現れるほどだ。これほどまでに疲れた身体で、まだいくつもの残っているテストをこなさなければいけないのか。そう思うと、シルの身体は絶望という重い鎧に包まれるようであった。
「はぁはぁはぁ。中々息が戻らないな・・」
上がった息を通常の呼吸に落ち着けるまで、ゴールラインから少し離れたところをぐるぐると歩き回る。だが、一向に呼吸が戻る気配はない。シル自身も、自分が想像した以上に疲れるんだな、とある意味驚嘆を覚えていた。昔なら、もっと走ることができていたのに、と若いにも関わらず少し老いを感じる。
「マシュは・・・。まだ、死んでいるな」
ゴールテープからわずかに離れたところに、大の文字を作って寝転ぶマシュの姿があった。よほどの疲れがあるように見える。それもそのはずだ、シルが走り終わった後、遅れて走るマシュの方に視線を送っていたのだが、最後の方は天を見上げながら走っていた。その姿を見るだけで、ひしひしと伝わってくるこのテストに賭けている気持ち。思わず、胸の奥が熱くなるものすら覚える。
また、それに固執し、突き動かされているだけにも関わらず、どんなに疲れてもその足を途中で止めることは一度もなかった。そして、そのままゴールテープを切った親友に心からの尊敬を覚える。
やる気マックスで挑んだマシュは、やる気がありすぎて逆に空回りしてしまったのか。それとも元から持久走が得意ではなかったのかは不明だ。だが、一番最後にゴールテープを切ることになってしまうが、走り切ったその顔はどこか清々しいものだった。
それは、あとすこしでゴールというところで、走り終えた新入生や実行委員の人達から大量の声援を貰っていたからだろう。走っている時からも、本人からはわりかし上機嫌な様子がうかがえた。
最後ゴールテープを切り、雪崩れるようにしてマシュは倒れ込む。それを全員が介抱しに走り出していく姿は、さながら駅伝競走のようで無意識のうちに人を突き動かしてしまう心の衝動。だが、シルはそんな感動的な場面でもこれだけは忘れることはできない。この中に侵入者がいるかもしれないということを。そして、シルはこの時気づきもしなかった。そう、すでに侵入者の準備が整ってしまったことに。
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