表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/31

SCPと財団の重大任務⑫ 原点と繋がるもの

お久しぶりです

 「なるほど、なるほど」


 一面ねこが広がる世界で、ひとの形をしたねこが何かに納得をしていた。


 「さあ、そろそろお時間です」


 それまで木の切り株のような形をしたねこに座っていたねこは、その腰を上げ、自分の真正面に向き直った。

 そして、自らの側頭部の少し上を指でさし、次にぐいっと引っ張るような動作をした。

 そうすると、ねこの前に一人の獣人が現れた。

 どことなく興奮状態にある獣人は、素早く周りを見回す。そして最終的にねこを見た所で顔を止めると、ねこに飛びかかった。


 「お前――」

 「おはようございます」


 ねこの胸倉を掴もうとした瞬間に、ねこの世界がはじけた。




 「ハッ!!」


 かつてないぐらいに大きな呼吸音と共に、獣人、ジャックは起きた。


 「クソが!」


 ジャックは自分が寝ていた瓦礫の山ですぐに上半身を起こすと、左手で自分の額を抑えるようにした。


 「……!!」


 何とも表現できない激しい感情が、ジャックの体に込み上げ、そしてそれは知らなかったはずの感情だっただけに、それを発散できないでいた。


 「クソっ! 博士、博士!」


 土砂降りの紅い雨すら気にせず、もうこの世に存在しない恩師を呼ぶジャック。

 その場には博士どころが、ジャック以外には生物が存在しないというのに、ジャックは走り出した。


 「どこだ! ねこ!!」


 特別強い体を限界までエンジンを回し、紅き空の下を駆けるジャック。

 紅い水たまりを踏むと、そこにあった水は衝撃ですべてはじけ飛んだ。

 ねこは、自分を吹き飛ばした時には洞窟の近くの所にいたはずだ。

 ああ、でも、ポータルは先ほど自分が開けてしまったか。

 ていうか、今何時だ。俺は何時間寝た。


 「ねこです」


 すぐ後ろから発生した声をもかき消すように、秒速100メートルまで達した足の勢いを利用して、回し蹴りを放った。

 しかし思ったような成果は得られず、蹴りの勢いによってジャックはその場で数回転した。


 「今は午後10時30分です。数時間以上寝られています。ポータルはまだ開いた状態ですので、ご安心を」


 ジャックの考えている事を見透かすように、自分の2メートル程後方にいたねこが話し始めた。

 それを見て、ジャックは先ほどの強い感情がまた込み上げてくるのを感じた。

 そして、その感情を少しでも発散するためにか、ジャックはねこに向かって大声で叫びかけた。


 「ねこ!! お前は、どういうつもりだ!?」


 空気が揺れるような錯覚を覚えるほど(もしかしたら本当に揺れたのかもしれないが)、ジャックの叫びは凄まじかった。

 ねこはそれを少しも気にせず、表情を微動だにせずに、ジャックの問いかけに答えた。


 「思い出させてあげたのですよ、ジャックさん。どうやら、忘れていたようでしたので」

 「一体、なぜ、何が、何が楽しくて、何が面白くて、俺にあんなものを見せた!?」


 激高しすぎて、最早逆に言葉に詰まる。

 そんなジャックとは正反対であることを、最早誇示するかのように、ねこが真顔で答えた。


 「何も楽しくありません。何も面白くありません。大切な人を失う場面を見るなど、一体だれが楽しむでしょうか」

 「ふざけているのか!?」


 そのジャックに対して、ねこはため息をついたり、目を伏せたりするような行為は全くしなかった。

 なぜならば、ジャックの激高は、仕方のないものだったからである。

 固く固く封じ込めていた辛き悲しき記憶を、これ見よがしに完璧に掘り起こされるなど、誰もが負の感情を抱くであろう。

 だから、それを知った上で、ねこは言った。


 「……今まで、あなたの仲間は、何人死にましたか?」

 「は?」


 いきなりの質問だったからか、ジャックは激高するでもなく、小さな問い返しをしただけだった。

 説明するように、ねこがまた口を開く。


 「憶えているでしょう? あなたならば」

 「聞いて何になる」


 先程とは打って変わり、固く拳を握りしめ、射殺さんとばかりに睨みつけるジャック。


 「では、一度でも、頬から涙をつたわせなかった日はありましたか?」

 「お前は何を言っている」


 ねこが今質問をしたことは、ジャックにとっては全く的外れで、何を聞いているのか理解できない質問であった。

 ねこはそれを知っていた。だから、ジャックの代わりに答えるように言った。


 「そうですよね。憶えていないですよね」

 「お前は一体何が訊きたい!?」


 堪忍袋の緒が切れたのか、再び感情が爆発したのか、ついにジャックが地を蹴った。

 体の動くままに右手を突き出し、ねこの顔を地にたたきつけようとした。

 だが、ジャックの手はねこに届くことはなく、ビュッと風切り音を立てて空を切っただけだった。

 ねこは、またジャックの背後にいた。

 そしてジャックがまた襲い掛かる暇も入れず、言った。


 「憶えていますよね。でも、憶えていないですよね」

 「何を……」

 「死んだ、財団に殺された仲間の数も、そのために流した涙も、財団へ抱いた感情も、全て、あなたは憶えている。でも、それは本来、知らなかったものでしたよね」

 「お前は一体何を」

 「受け入れがたいものですよね」


 ジャックの言葉を遮って言ったねこは、今までジャックから外さなかった視線を初めて、地面に落とした。

 ねこが言った言葉の意味を、ジャックは理解できない。だが、なぜか、その言葉に意識が引かれた。それ故に、ジャックは動かなかった。

 ねこはつづけた。


 「絶望なんて、知らなかったでしょう。知りたくもなかったでしょう。悲しみなんて、恨みなんて。無きものに憂うなんて、他人を殺したいほどの感情なんて、欠片も欲しくなかったでしょう」


 ねこの言葉に、ジャックの先程までの感情はかき消えていた。


 「"なぜ?"と問いたくなったでしょう。なぜ、この世にそんなものが存在するのか、と」


 感情を剝き出しにする代わりに、ジャックは自分の目元に手を当てた。ジャック自身もなぜだか分からないが、反射的にそうしたくなったのだ。


 「忘れたかったでしょう。覚えたく、憶えたくなど、なかったのですよね」


 雨だったので、地面には多くの水が落ちていた。

 ねこはそれを気にする節もなく、瞬き一つしなかった。


 「でも残酷なことに、あなたは完璧だった」


 それを聞いた途端、ジャックは目をこすっていた手を離し、叫ぶようにして訴えた。


 「残酷などではない! 完璧それは博士が俺にくれた宝物だ!!」


 それを聞いたねこは、自らも初めてする表情を浮かべた。

 それは、慈しむような、哀しむような、とても悲しい表情だった。


 「宝物すら残酷になってしまうほどに、この世界は、残酷です」


 紅い雨に降られた事で、ねこはまるで、頭から血を流している様に見えた。

 ねこは、まるで自分が残酷それを経験しているかのように、知っているかのように、悲しいほどに同情するいつくしむ目で、ジャックを見た。


 「泣きたくも、なりますよね」


 顔を上げたジャックの目からは、紅い雨と混じり、透明の水が地に落ちていた。

 彼は泣いていた。


 ×


 つかないタバコを気休めにくわえ、息を吸う。湿った草の匂いが口に蔓延し、次に肺と鼻腔を満たした。

 ねこのミームにより眠気が限界になったエージェント千代巳は、自分が生きているのか死んでいるのかも分からない意識の狭間で、人生で数えるほどしか経験していない濡れタバコを楽しんでいた。

 千代巳は洞窟の入り口に座ってもたれかかり、その状態を何時間もキープしていた。

 混濁した意識の中で見えた記憶は、偶然にも今日起きた事の振り返りだった。多分、真っ先に今日の事が思い出されるという事は、それほど強く印象に残ったという事だろう。Aクラスの記憶処理をすれば、綺麗に今日の記憶が消えるかもしれない。

 ずっとまどろみに逆らっているものかと思いきや、本当に寝てしまった時もあったようだ。それが原因で何時間もその場に居たらしい。

 ポータルは既に開いていたが、彼女含め、■■と、合流したユイレ、同じく合流したセル達はポータルをくぐる事はなかった。

 当人たちが口をそろえて言うには、ねこを待っているらしかったが、何時間も待っているところを見ると『ねこを置いて行くわけにはいかない』と言うような仲間意識が芽生えているらしかった。

 その間彼らはスマホをいじるか財団と連絡を取るか雑談をするかで(千代巳除く)暇をつぶしていた。

 千代巳が「なぜ起こしてくれんかったんや……」と悪態をつきながらびしょ濡れの状態で洞窟に入ってきた時には、洞窟内に財団の機動部隊が到着していた。

 千代巳がセルは今までどうしていたのかと聞くと、セルは今までねこに遠隔で指示されながら、ユイレを捜していたと言った。ところが、探している途中に連絡が付かなくなり、最終的にユイレを見つける事も出来ず、今に至るといきさつを話した。

 千代巳達の一連の話が終わると、今度は機動部隊の一人が手を上げた。

 彼はこの機動部隊の隊長で、この世界とこれまでの詳細ないきさつについての回答を求めてきた。礼を上げれば、なぜ小型インカムの通信が途切れたのか、この一件に協力していると見られるねこは一体何なのか、なぜ紅い雨が降っているのか、人や獣人がなぜ現実世界のポータルや関係のないドアから出てきたのか、など。

 千代巳が起きる前にもユイレ達に聞いたようだが、インカムについての事を知っている者においてはセルより千代巳に聞いた方が正確に答えが返ってくるし、ねこや雨などについては他の者の見解も聞いておく必要があったという判断だったらしい。千代巳は特に質問を拒むこともなくすべて答え、機動部隊の面々はそれを各自メモ帳か何かにメモをして、その後情報共有か意見の討論かのために小会議を開いた。

 十分近くの会議が終わった後、隊長が無線で司令部に連絡を取り、状況と情報を報告していた。

 それが終わると、隊長が他の面々に一言言って、それからユイレ達にこう言った。

 「我々機動部隊はこれからこの世界の探査へ向かいます。司令官からは皆さんはポータルから外に出て財団支部へ行くか、この世界に待機するか、どちらの選択をしてもいい、と言われました。もしポータルから外に出るならば、外には我々機動部隊の待機チームが残っていますので、我々の帰還まではそこで待機してもらう事になります。この世界に待機する場合も、我々が戻らない場合は、恐らくポータルが閉じる時間が迫るにつれてまた帰還の命令等の連絡が入ると思われますので、その際は待機チームから皆さんに連絡するようになっていると思います。いや、そうなっているはずです。では、これで」

 出発していった機動部隊の面々の背中を見て、その場にいた者達は黙って待機を選んだ。

 どうせ戻ると言っても、事が終わるまでは外で待たされるだけだ。ならば、ここでみんなと話をしていた方がいい。何より、ねこだけを置いて外に出る事などはできない。

 と、各々は、このような事を、おおむね共通して思った。

 皆、大切なものを失う恐怖を知る者達である。置いて行く、と言う選択肢のボタンがあるとすれば、それは固いガラスで閉ざされていた。例え見えたとしても、選択する事は決してない。


 ×


 ねこは傘をさして、数時間の間一度も弱まる事すらなかった紅い雨をしのいでいた。

 寒くなったのか、時折体を震わせて、スーツの袖で水を拭いていた。

 びしょびしょになってしまった靴の中を気にしていたが、特にどうする事も出来ず、ぐしょぐしょの靴下の不快感を耐えるしかなかったようだ。

 あたりに響き渡る轟音を除けば、ねこはただの雨宿りに失敗したねこに見える。

 その轟音は、災害時のサイレンの様に連続的なものではなく、短い周期で音が大小に変動するものだった。

 音が大きくなるたびに、ねこは少しだけ顔をしかめていたが、耳を塞ぐようなことはしなかった。

 傘を持っているから、もしくは耳と呼べるものが四つあるから会えて塞がなかったのかもしれないが、悲しみに泣く人の涙する声に対して露骨に耳をふさぐという表現をする人間は、あまりいないのではないだろうか。

 少なくともねこは、「死」と言う絶望に獣の声で嘆くジャックに、そんな態度はとらなかった。

 今現代においてこの世は絶望に溢れていると言っても過言では無いが、果たしておよそどれくらいの人間が、初めて味わった絶望を覚えているだろうか。仲のいい人と罵り合いの喧嘩をしたり、気に入っていたおもちゃが壊れたりと言うものでもいい。それはきっと、二度と味わいたくないものではないだろうか。絶望や悲しみと言う感情は今や物語における感動に結び付けられるが、はじめから悲しみや絶望、怒りと言った感情が無ければいいと考えたことはないだろうか。

 今や当たり前すぎて、そんな事をはっきりと意識して考える人は多数派と言えないかもしれないが、よくよく思い浮かべてみれば、そうなのではなかろうか。

 おおむねそのような事を、ねこも考えていた。

 しかし、もし絶望と言う感情がはじめからなかった方が良い、と言う結論に至ったとしても絶望や悲しみを消したりすることはできないので、この思考は自己満足の物でしかなかった。

 地にひれ伏して泣き、天を仰いで絶望し、拳を壁に叩きつけて泣くジャックを前に、ねこはただ、立ち尽くすだけだった。

 ねこは時々千代巳達の目を通して洞窟近くの状況を見ているが、それで機動部隊が洞窟に到着し、出発したのを見た。

 「そろそろ、時間切れですね」

 ポータルの閉鎖まで、あと一時間強。

 ねこは、ジャックへと歩を進めた。

 そっと足を踏み出すと、そこには水たまりがあったが、不思議な事にその水たまりが波打つことはなかった。ねこが水たまりの水面の上に、立っていた。

 ねこの体重がなくなったのか、足音すらたたなかった。しかし、確実に地面は踏んでいる。

 ジャックは、目を左手で覆って、右肘を壁にたてて、声を殺して泣いていた。

 もう泣きたくないと懇願するように上下するジャックの背中に、ねこはその質量のほとんどない手を置いた。

 嘆くジャックの背中は筋肉質で、とても逞しいものだった。しかし、彼の心はそうではなかった。

 ねこには、その背中は、今にも崩れそうな弱弱しいものの様に感じられた。

 ねこの頭の中にはずっと、嘆くジャックの記憶が流れ込んでいた。ねこはその記憶を一切拒むことなく、全て認識していた。

 今現在、ジャックは敬愛するニコラス博士の死に際を見たときの事を、思い出していた。

 首の骨を折った博士をベッドへ運び、すでに意識を失った博士を見て、その場にいる誰もが顔を青ざめて立ち尽くす中、ジャックだけが部屋を飛び出し、資料室へ行き、医療の本を流し読みし、一目で記憶し、倉庫から医療用具を持って部屋に帰ってきたころには、すでに10分が経ち、博士が最後に『ジャック』と呼び、ジャックが駆け寄り、『ありがとう』と最後に博士が言い、ジャックが急いで医療処置を施そうとした時、ジャックの鼓膜は誰かの心臓の鼓動が止まるのを捕えた。

 ジャックは一体誰の心臓が止まったのかと驚いたが、まずは急いでニコラスの治療をしてから確認をしようと思い、処置をしたが、さて誰の心臓が止まったのかと耳を澄ました瞬間に、彼は動揺し、5秒後に青ざめた。

 まるでスマホのバッテリー停止予告が出た時に慌てて充電器を探しに行くような、そんなぎりぎりの感覚が、ジャックが初めて味わった負の感情であった。

 彼はそれを、二度と味わいたくない、みじめな感情とした。

 自分のみじめさが思い出させられる最悪の記憶だった。

 彼はそれを思い出したくないと強く思っていたが、記憶は次々に溢れ出て来ていた。

 全ての封じ込めていた記憶が、次々に繰り返し彼の脳にうつる。

 ねこも同時に、それを見ている。

 最早泣く事すらできない、本当に哀れで、惨めな、悲しいものだった。

 崩れて消えそうなジャックの背中を、ねこは最悪を見た憐れむ顔で持って、優しく撫でた。

 「どうか、これ以上悲しまないように……」

 祈るように、ねこは囁いた。


 終末の日、ジャックは泣いていた。


 ねこ


 いやな記憶は、誰もが思い出したくないものだ。でも、人間は嫌な記憶を元に失敗を回避できるし、成長をする事だってできる。

 でも、思い出すか思い出さないかは、それぞれの人の自由だ。

 人間ならば、忘れたかった嫌な記憶が急に思い起こされることもある。ならば、そうでない時ぐらいは本人の勝手にしてもいい。

 でも、彼は(ジャック)は、完璧に記憶を捨てていた。もし記憶を思い起こすことがあれば、その度にその事実すら忘れていた。耐え難い記憶を何度も何度も思い出し、そして何度も何度も忘れた。

 彼の表の記憶と精神はそれで持ちこたえられているように見えるが、ジャックは確実に神経を消耗していた。

 思い出すたびに、今まで忘れてきた筈の記憶まで流れ出てきてしまう。何かのはずみでそうなってしまうのだから、彼は無意識のうちに神経質になったのだろう。

 記憶を見て分かった。なにせ、ジャック自身が生まれて博士が死ぬまでの彼と、今の彼は違いすぎるのだ。目に希望を宿らせていた頃の面影がないと言ってもよかった。

 彼の変わりように、彼自身は気づかなかったかもしれないが、仲間たちはそうではなかった。仲間の獣人達は博士の死に一番ショックを受けていたのはジャックだったと知っているし、だからこそ、彼の『この世界に人間を連れて来る』と言う彼の思いを聞き、命をとしてでも動いていた。事実、何十名もの獣人達がジャックの野望を胸に、命を落としている。

 ジャックはその仲間の死すらも嘆いていた。

 これでは、ジャックは心を失う道を下るばかりだった。

 今や、人間に手を下すことは何のことでもないようになっている。

 彼は、悲しい過去を閉じ込めるだけでなく、自分自身の心すら閉じ込めようとしている。

 しかし、彼の震える心の奥底は、確かにそれを拒絶していた。

 だから私は、引き出した。

 彼の今まで閉じ込めてきた全てを。

 そして背負うのはジャックだけではない。

 私も共に、悲しき記憶を背負う。

 仲間の獣人だって、それを望んでいる。

 だから私は、ジャックと彼の仲間を、私を通じて繋げた。

 百を超える思いと記憶が流れ込んでくる。それらすべては、すべての獣人で共有される。

 敬愛する博士を失った悲しみだけではない。悲しむジャックを心配する気持ち。心を削る彼のために全力を尽くす気持ち。ジャックに初めてあった時の記憶。ジャックに賞賛の言葉をかけられた時の嬉しい記憶。彼に会えたこと自体を喜ぶ気持ち。

 仲間のうちの全て、一人たりともジャックを思わない者はいなかった。

 そしてジャックも、仲間を思わない日はなかった。

 彼らの思い合う気持ちが交差し重なり合い、一つの大きな思いを形作るようにして、また一人一人の心に戻っていく。

 彼らの思いは、ここに一つになった。

 一人で抱え込んでいた悲しみや憂いは、今やみんなが知っている。喜びや嬉しさは、みんなの希望の源となるだろう。

 ジャックはもはや、孤高の獣ではなかった。

 情熱と希望を帯びた目が、彼の紅い目に戻ってきていた。


 始まりの日、彼らは満ち足りていた。

元ネタ ねこのSCPレストラン のYou Tubeチャンネル

https://youtube.com/channel/UCsUE9GXFRsb1ISA2PE0q96A


元ネタの元ネタ ねこですよろしくおねがいします

作者: Ikr_4185

作品名: SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします

リンク: http://scp-jp.wikidot.com/scp-040-jp

CC BY-SA 3.0


恐界

作者:Mandrej

作品名:SCP-130-DE - 恐界

リンク:http://scp-jp.wikidot.com/scp-130-de

CC BY-SA 3.0


この作品はCC BY-SA 3.0に準拠しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ