SCPと財団の重大任務⑨ ねこミーム
「……?」
ジャックが地に伏したねこを見て、疑問を持った。
なぜならば、ねこの体が少しずつ薄くなっていっているからである。
「……奇妙だな」
それはそのままの意味。
ジャックはてっきり、と言うか当たり前にこのねこが『生物』だと思っていた。
体が薄くなって消えていくのだろうから、霊的存在だったのかもしれない。だとしたら、骨が折れたのは何だったのだろうか。
ジャックは少し不安に思い、倒れているねこを暫く監視する事にした。
だが、特に変化はない。薄くなっていくのみである。
そのまま、注意してみなければ気が付かないであろう程の薄さになった。
「……杞憂だったか」
ジャックは踵を返し、洞窟に戻る事にした。
歩きながら操作盤を取りだし、まず紅い雨のスイッチを押そうとしたところで、ジャックは手を止めた。
「……まだ虫がいたか」
ジャックは自らの100メートル後方にいる、生物の気配に気が付いた。
「……財団の手先……には見えないが……たまたま外の世界に戻れなかっただけか?」
推理しても、答えは出そうになかった。その理由には、先ほどまでの戦いで高ぶっていたと言う事もある。
「……一度も顔を見ていない。何も事件を起こしていない……ただのお客か?」
そうであって欲しい、とジャックは思い、振り返った。
これ以上、もう戦いはしたくない。
振り向いたジャックに気づいたその人間は、ビクッと体を震わせ驚いた。
その容姿からして、女性、それも十代後半の少女の様である。
「おーい、君は?」
少し声を張り、遠方に聞こえるように言った。
その少女は、また驚いた。
「怖がらなくていい。俺は、このパークのリーダー、ジャックだ」
ジャックは歩を進め、少女に近づいた。
少女は逃げるようなことはしなかったが、ひどく怯えているように見える。
その少女は、魔女のような仮装をし、ほうきとバッグを所持している。
ジャックは少女と60メートルの距離まで接近した。
「大丈夫かい?」
ジャックが比較的優しい声音で言った。
少女は怯えた顔で、沈黙を保っている。
ジャックは20メートルの距離まで接近した。
「不安だったか? もう大丈夫だ」
ジャックは2メートルの距離まで接近した所で、少女に手を差し伸べた。
「……あなたが、ジャック……?」
少女が言った。
「ああ、そうだ」
「あなたは、さっき、人を、ねこちゃんを、ころ、し――」
そこまで行ったところで、少女は声が出なくなった。その代わりに、ぽろぽろと涙を流した。
「……あのねこと知り合いなのか?」
ジャックの声が、少し冷たくなった。
「なんで、ねこちゃんを、なんで、えぇぇっ……!」
泣く少女は、それに答える代わりに、ジャックにとって確信に値する言葉を発した。
「……そうか」
ジャックは、泣く少女を前に、暫く黙った。
「……お前も、そうか」
紅い雨が降る中で、ジャックは紅い空を見上げた。
哀しみと、複雑な感情が入り混じった目で、暫く目に雨を入れ続けた。
「はあ……」
そして、前を、少女を見た。そして、右腕を振り上げた……所で、止めて、腕を下ろした。
「……お嬢さん」
ジャックは少女に言った。
「……」
だが、言おうとした事をやめて、また黙った。
ジャックは黙って、それまで手に持っていた操作盤のボタンの一つを押した。
「ポータルを開けた。あの洞窟に行けば、帰れるぞ」
まだショックで動けないのか、それとも雨の音で聞こえないのか、少女は動こうとはしなかった。
「……?」
ジャックは突然、何かの気配が現れたのを感じた。とてもよくない気配である。
ジャックは振り返り、100メートル視線の先にある気配の正体を見た。
「……なぜだ」
そこには、まるで何もなかったかのように、その場に立つねこがいた。
「……いつも俺の邪魔をするな」
脚に力を込め、ねこに向けて地面を蹴る。
「あのまま終わってしまえばよかったものを……」
独り言のようにつぶやくジャック。
それは、彼の本心である。
向かってくるジャックに対して、互いの距離10メートルの所。
ねこが、指を銃の形にして、前に突き出した。
「ばん」
ねこがそれを言う前に、ジャックは既にその手を通り越していた。
ねこの体の横で、拳を握っている。
「消え――」
それを言い終わる前。
ねこが、ぐるんと顔を横に向けた。
その目は、大きく開かれている。
――そして、その必殺のミームの名を、唱えた。
「ねこビ――――――――――――――――ム」
紅い世界に、一筋の白線が引かれた。
世界の端から端まで。
それが放たれたのは、ほんの一瞬。
だが、ビームが通った軌跡に存在していたものは、全て貫かれた。そしてその貫かれた部分はぽっかりと、穴が開いている。
凄まじい熱によって蒸発した、と言うよりかは。その物質自体が、『ビーム』の情報量に耐え切れなかったと言う方が、感覚的には正しいかもしれない。
それを諸に喰らったジャック。彼には情報処理をする脳があったので、顔に悲惨な風穴が空くようなことはなかった。
が、もしかすれば、消滅した方が楽だったかもしれない。
この世界の中心にある、あの爆破された円形の建物の瓦礫の上。
ジャックはそこで、脳に充満する『ねこ』を見ていた。
また、遅刻しました。約束通りに登校でず、悔やむばかりです。
次回はできるだけ早く出したいと思います。(明日とはもう言わない)
元ネタ ねこのSCPレストラン のYou Tubeチャンネル
https://youtube.com/channel/UCsUE9GXFRsb1ISA2PE0q96A
元ネタの元ネタ ねこですよろしくおねがいします
作者: Ikr_4185
作品名: SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします
リンク: http://scp-jp.wikidot.com/scp-040-jp
CC BY-SA 3.0
恐界
作者:Mandrej
作品名:SCP-130-DE - 恐界
リンク:http://scp-jp.wikidot.com/scp-130-de
CC BY-SA 3.0
この作品はCC BY-SA 3.0に準拠しています。
ねこはいました。ありがとうございました。




