8.菓子
ーーーーー15時頃
予定通り大和銀行の原田さん(推定50代)が来たので、
課長に言われた通りお菓子とお茶を出した
原田『このお菓子って有名なやつだよね?』
ギクッ
私「はい、藤村という和菓子屋さんで、1日限定50食の和菓子なんです。」
万が一聞かれた時のために調べておいて良かったぁ…
原田『50食なんだ!並ぶの大変だったでしょう〜』
私「いえ、とんでもございません。藤堂がぜひ原田様に召し上がっていただきたいとのことでしたので…」
藤堂課長が買ってきたものかどうか定かではなかったが、課長を立てなければいけないと思い、なんとか話を繋いだ
原田『そうか〜、藤堂さんにはお世話になりっぱなしだなぁ……あ、そういえば早川さんって初めて見たけど、異動してきたんですか?』
私「あ、はい、そうですね…」
異動というのか、出向というのか、、
ここは異動で良いのかな?
原田『若いのにしっかりしてて、しかも可愛いなんて、藤堂さんが羨ましいな〜』
私「あはは、そんな、恐れ多いお言葉…ありがとうございます…」
原田『もし良かったら今度…』
ーーーーーコン、コン
ーーーーーーーーガチャ、
課長『原田さん、お待たせして申し訳ございません!』
課長が会議から戻ってきた
原田『あぁ、藤堂さん、お世話になってます。
早川さんとお話していたので楽しく待ってましたよ』
課長『すみません、、』
急いできてくれたからか、課長の前髪が無造作にハネている。
走ったんだうな…
課長『なーに笑ってんだよ?』
私「へっ!?」
私、笑ってた!?
課長『すみません、原田さん。改めてご紹介いたします。こちら私のアシスタントの早川です。』
私「早川と申します。改めてよろしくお願いします。」
原田『改めまして大和銀行の原田です。どうぞ緊張せずにね…(ニッコリ)』
挨拶も早々に、打ち合わせが始まった
ーーーーー
原田『今日は本当にありがとうございました』
課長『こちらこそ、ご足労いただきありがとうございました。引き続きプロジェクトの件、よろしくお願いします。』
原田『えぇ、こちらこそよろしくお願いします。
また近いうちに打ち合わせしましょう。』
課長『そうですね、ではまたメールでご連絡いたします。』
原田『承知しました。では、早川さんも、今日はありがとうございました。またお話しましょうね』
私「はい!よろしくお願いします!」
原田さんをお見送りし、課長室へ戻った。
課長『ごめんな、急いだんだけど15時は間に合わなかった』
私「いえ!原田さんとお話できて楽しかったです」
課長『あの人にめっちゃ気に入られてたもんな、笑』
私「……課長のお菓子のおかげですかね…笑」
課長『物で釣ったのか、やるなぁ。』
私「え!?」
だって課長が言ったんじゃーん
と思っていたら
課長『嘘だよ、ありがとな!店のことも調べてたとはビックリしたよ。やるじゃん』
原田さんがお菓子のお礼を課長にする時に、私が話したことがバレてしまった…
勝手に課長が買ってきたことにしたけど…
合ってたみたいで良かった、、
それにしても、、
やるじゃん
課長のその一言が、すごく嬉しかった。
私「私、頑張ります!」
課長『え?うん、頑張って……笑』
私「あははっ笑」
話しずらそう〜と思ったのが嘘のように、
課長はとても気さくな人柄だった
そう考えると、平沢さんに対するちょっとキツめの態度はなんだったんだろう…