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魔力欠乏

はい。ずっと更新さぼってました。今日不意にポイントを見たら凄いこの物語を応援してくださる方がいて、再開した次第です。完結まで遠い道のりですが改めて頑張りたいと思います。感謝。

 ――四日目になった。いつものように朝日で目覚めて立ち上がろうとすると視界が眩む。脚の筋肉全体がじんわりと痛んで、こむら返りする寸前みたいな状態だった。アレルギーの腫れこそ引いたが体力を持っていかれた気がする。


 正直雨の一つでも降ってほしいくらいだが天気は今日も快晴。青々とした空が水平線の境界すらも曖昧にしていた。穏やかな風。波音。少しぐらい


「んぁ……起きたっすか?」


 声のするほうを見るとノーチェがヤシの木に寄り掛かって座っていた。ここ数日で初めて彼女が先に起きていたかもしれない。けど、体調はいままでで最悪に見えた。褐色の肌すら黒く染める濃いクマに力のない声。気怠そうに手足を伸ばして脱力していた。


「調子悪いのか?」


 慌てて駆け寄った。すぐに彼女の額に手を当てて熱を確かめる。幸い、特別熱くも冷たくもなかった。初日のような異常はない。


「ふっふっふ……。そんな慌てなくても、ちょっと慣れないことしただけっすから……」


 ノーチェは小さく笑うと俺の手を払って立ち上がる。ぼたりと、彼女の蒼い瞳から血の涙が数滴、砂の上に落ちた。


「っ……!」


(まさか病気? 湖沼に行った時なにか貰ったか? でも無人島でどうすれば? ノーチェは死ぬ? 彼女は俺に優しく接してくれて、いや、そんなことは関係なくて、どうにかして彼女を、彼女を……)


 思わず声が零れる。……ノーチェの症状は素人目に見たって疲労じゃない。目から血が流れるなんて、でも外傷はない。まさか毒? サボテンそのものを食べるのはまずかったのか? 彼女はまるまる一枚食べて俺はすぐに食べるのをやめたから差が出たのか?


「サボテン以外に変なもの摘まみ食いはしてないよな?」


 俺が尋ねると彼女は大丈夫だと言わんばかりにニヤリと口角を上げた。だらだらと冷や汗を流して、ふらつく。倒れそうになったから咄嗟にノーチェの身体を支えた。


「失礼っすね。……毒じゃないっすよ。魔力欠乏っす。こんな心配されると思わなかったから、人間に。それに言いたくなかったんすよ」


「一体どこで使っ…………俺にか?」


 聞こうと思って理解してしまう。昨日、腫れにも関わらず全く痛みがないと思ったが……そういうことなのか?


「わかっちゃったっすか? ……初日からっすよ。感覚を鈍くして眠れるようにしたっす。私の魔法は詠唱はいらない。言葉に魔力を込めるだけっすからね……気づかなかったっすよね。へへ」


 だから彼女の声を聞いてると眠くなれたのか? でもなぜ? 初めて会った人に、魔力補充だってろくにできないことは分かり切ってるのに。


「(なんでそんなことまでしたんだ)」


 思った言葉がそのまま口に出た。ありがとう、と言うべきだったかもしれない。けどこんな状態になるまで頑張って欲しくはなかった。余計なお世話だ。


「一人じゃ、生きていけないからっすよ。陸でも、船でも。それに心配だったんすよぉ? ヨースケだって、だれかが弱ってたら不安になるじゃないっすか。……たかだか四日一緒にいただけの、魔族が相手でも」


「俺が助けたのはそういう教育が整ってたからだ」


(魔族だとかなんだのは関係ない。見捨てたり見ないフリをするのがつらいからだ。無視すると、知らないフリをしてもずっとトゲになって心を刺し続けるからだ)


「えへへ……。いい世界っすねぇ」


 かすれた声で笑う。明らかに衰弱している。俺が魔力欠乏になったときより症状は重かった。


「とにかくそこでジッとしてろ」


 急いで椰子に穴を穿いて手渡す。胃が空っぽだろうし、寝てる間に水分を取られてるはずだ。ノーチェはごくごくと飲んで笑ってみせた。初日より明らかにやつれている。


「ありがとうっす。もう平気……っ」


 立ち上がってよろける。どう見たって平気じゃない。褐色肌は今は土気色だ。呼吸もわずかに荒い。


「今日は大人しくしてろ」


(俺が火をつけよう。彼女もなにかもっとたんぱく質を取れれば元気になってくれるはずだ)


「そんな言い方しなくてもいいじゃないっすかぁ……!」


 蒼く凛々しい双眸が血ではない涙に潤む。ぜぇはぁと息を果てさせて、結局彼女は座り込んでしまった。汗を沢山掻いている。苦しそうだった。


「寝とけ。喉乾いたら椰子の実切ってやるから」


 働こうとする彼女を帆とヤシの葉で作った寝床にまで引っ張った。より木陰に、海から距離を取ると砂の反射熱が届かなくなって、潮風が心地いい。ざざぁん、ざざぁんと今日も快晴で波は穏やかだ。


 俺はさらにいくつか椰子の実をくり抜いてから、火をつけるための修行を今日も再開した。

大ミミズ 爬虫綱有鱗目ワーム亜目に属するドラゴン類の総称。地中生活に適応して四肢が退化し、ミミズのような外観を持つ。ミミズと名称があり、一般的にも巨大なミミズとして認識されているがミミズとは全く異なる生物であり、きちんとした骨格を有したドラゴンの類である。


 地中生活のため、前述の四肢の退化の他に、掘削のための頭部の特殊化、体表環節の発達、視覚の退化、外耳・鼓膜の退化、体表色素の欠如傾向などの適応が見られる。


 地中掘削に使用する頭部は、他の有鱗目に比べて非常に頑健になっている。トカゲ類で発達させた前頭骨と頭頂骨間の関節などは、可動性を失い結合している。頚部の筋肉も掘削のために強靱になっている。掘削方法に併せて、竜骨状構造が発達したり、鋤状になったりすることがある。吻部先端を掘削に使用することから、口唇部先端は吻端より少し後方に位置する。


 移動はヘビのような蛇行ではなく、体表の皮膚が折りたたまれて形成された環節状の体節を用いて行う。すなわち、まさにミミズのように、環節を伸張・緊縮させることによって体側を外壁に押しつけた蠕動運動で前進するのである。この運動は可逆であるので、前進と全く同じようにして後進が可能である。


 全長は1m~10mにも及ぶことがあるが、巨大な個体は天敵がいない場合でしか確認できない。優れた聴覚。振動感知で餌となる鹿などの哺乳類やワニなどの爬虫類を地中から強襲し、丸呑みにしてしまう。天敵としてあげられるのはポーラーワーム、サンドワーム、アースイーターなどのより大型のワーム類や冒険者、ワイバーンなどがあげられる。


 交尾、産卵は地上で行う。交わる時間が確認された最長の時間で6日にも及ぶ個体があった。卵は巨大な樹木の根に産んだ後、土や泥によって巧妙に隠される。



 人間とのかかわり。基本的に水辺に生息しており、ときに家畜や人間そのものを襲うため冒険者によって討伐対象となることが多い。聴覚が優れていることを利用され、巣に爆弾などを投げ込まれてしまうとたちどころに鎮圧されてしまう。他のワーム類と違い、ブレスを吐かないなどもあってドラゴンだと知らないまま狩られていることが多いが、その骨は堅く軽く、良質な素材となる。


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