鍛冶屋と狂人
村に来た今宮達。今宮は弾薬の補給に困っていた。
ー朝ー
俺は朝早くから森に狩りに行った。
これは俺の週間で朝に罠の確認をするためだ。
しかし、昨日の夜に作っていたから掛かっているかわからない。
罠は三ヶ所ほど仕掛けた。1つ1つ見ていこう。
まず1ヶ所目を見てみたら掛かって居なかった...
だが2ヶ所目にはウサギが掛かって居た。
3ヶ所目はイノシシが掛かって居た。
「おお...大きいイノシシだ」
明らかに少し大きい。牙も大きい親イノシシだろう。
とりあえず、このイノシシとウサギを使って料理をしよう。
今回、イノシシ肉は干し肉にしよう。
干し肉よりジャーキーと言った方が分かりやすい。
ジャーキーはただ干すだけでは無く塩や香辛料を揉みこむことで腐るのを防ぐ。
ちなみにスルメも海外ではイカのジャーキーと扱われ、ジャーキーの一種だ。
ちなみにジャーキーはベトナム戦争の時に兵士の携帯食料として広まったらしい。大学の先輩もアメリカに行って買ってきてくれた定番のお土産だったが
例のBSE問題(簡単に説明すると狂牛病と一連の社会問題)で今でも持ち込めなくなっている。
次にウサギ肉だが...照り焼きにするにも醤油があるのか...?たぶん、無いな。
ということでフライドチキン風にしよう。油はイノシシから取ろう。これほど大きいんだ、中々の量が取れるだろう。
あと、ネツァクが行商人という事もあり塩も手に入っていた。
とにかく初めはイノシシを解体した。
まず、放血し、毛皮の泥を洗い流し、内臓を取り出し、腹腔に溜まった血を洗い流す。
次に冷水を使い冷却をした。死後硬直が解けるまでの間、イノシシの脂身を水と一緒に煮出して冷やし、上に集まった白い固まりをすくい取って使う。
これは中々の量が望めそうだ。
そして、俺はさっと煮て水分を飛ばし完成させた。
半日ほど置くことになるので、イノシシの方は今の所終わり。
恐らくあともう少しで日の出だ。
「...イノシシの様子を見るか、鍛冶屋の所に行くか...」
昨日、お客さんから聞いた話でこの村にはとても優秀な鍛冶職人が居るらしい。
...銃弾はなんとかなるかもしれない、だが...
この世界ではオーバーテクノロジーだ。もし悪用されたら...
良い鍛冶職人ならいいけど...
ー鍛冶屋ー
鍛冶屋は割と近くにあった。
中からは鉄を打つ音が聞こえる。
「....」
女性のようだ。
とても力強く鉄を叩いている。
「...おはようございます」
挨拶をしてみた。
「....」
....集中しているようだ
「....」ジュ―...
打ち終わった鉄を水に入れた。
「...いらっしゃい」
落ち着いた声だ。
「...あたしに何の用だい?」
強いというオーラを感じる。
「...あんたにこれを作って貰いたくてな」
薬莢を見せる。
「これは...鉛だね。鉛の小さい筒...これを何に使うんだい?」
流石は職人。一目で材質が分かるとは...
だが、ここで本当の事を言っていいのだろうか?...本当の事を言って信頼を得ることも必要だ。
俺は嘘偽りなく話した。
「...火薬というものを入れて鉛を撃ちだす...?興味深いな」
彼女は立ち上がった。
「あたしはホド。見ての通り鍛冶屋さ」
姉貴肌のホド。
「俺は今宮だ」
「イマミヤ...珍しい名前だな」
そんな会話をしていたら...
バンッ!
「はっ!?」
「!?」
外から銃撃音が聞こえた。
そして、それは入ってきた。
「ひひっ...おはようございます...」
緑の髪はボサボサだがスーツを身にまといゴーグルを首に手は黒いグローブ、そして手に
M1911が手の中にあった。
「くっ...!」
俺はすぐさま銃を構えた。
「ひひっ...そ、それは豊和M1500だね...」
「な、なぜわかった?」
バンッ!
「ひひっ!君も僕と同じだねぇ...ひひ」
「は、はぁ?」
何でいちいち発砲するのか意味が分からない。
「ひひっ...じ、実は霧で迷って僕も訳が分からない所に来ちゃったんだよね...ひひ」
取りあえず、わかったことは一つ。
こいつは頭がおかしい。
「そ、そうか...取りあえず。もう、撃つなよ?」
「ひひっ...も、もう一回だけ...」
「わ、わかった...一回だけだぞ?それで当分撃つなよ?」
バンッ!
「ひひひっ...!いいよねぇ...!最高だよぅ...」
「と、とりあえず...仕舞ってくれ」
「ひひっ...わかったよ...」
腰のホルスターに銃を仕舞った。
「ひひっ...も、申し遅れたけど僕の名前は鬼柳...鬼柳芳華だよ...ひひ」
狂っているという点しか見ていなかったか、彼女は沢山銃弾を持っているようだ。
「俺は今宮、今宮涼治だ。猟友会に所属している」
「ひひっ...見た目で分かるよ。それに背中に書いてるし...」
「それよりも...沢山銃弾を持っているのか...?」
「ひひっ...それに僕は作れるよ...ひひ...見た感じ、その鍛冶屋のお姉さんに頼みに来たっぽいし...」
まさか、これで解決するとは...願ってもないチャンスだ。
「...どうにか、弾薬を貰えないか?」
ダメもとで頼んでみる。
「ひひっ...ど、どうしようかなぁ...ひひひっ...」
「ひひっ...も、もし...僕と一緒に行動してくれるなら...提供してもいいよ...ひひ」
つまり...仲間になってくれと言っているのか...?
「あ、ああ...いいぞ」
「ひひっ...よ、よろしくね...ほ、他に仲間は居るのかい...?」
「ああ、居る」
「ひひっ...た、楽しくなりそう...だね...ひひ」
「...あたし、空気なんだけど」
なんか、わからないが新しい仲間が出来た。
分かるのは、かわいくてとても狂っているという事だ。
新しく、来た子の方が濃くてホドさんが空気。