世界の摂理
「まず、ランドクリエイト・オンラインにおける、レベルの概念について説明させていただきます」
ふわりと女神の体が浮き、ケイディアのもとを離れる。そして宙に手をかざすと、大きなスクリーンが現れた。
「ランドクリエイト・オンラインにはキャラクターレベルとジョブレベルの2つのレベルが存在します。キャラクターレベルはモンスターの討伐、クエストのクリアにより成長し、ステータスが上昇します」
女神の手の動きに合わせて、スクリーンの映像が切り替わる。
「ステータスは、筋力、技術力、体力、耐久力、敏捷性、魔力、精神力、運の8つです。レベルが上がると運以外の全ての能力が1ポイント上昇し、好きな能力に振れるボーナスポイントを3ポイント入手できます」
筋力はキャラクターの力である。重い武器や防具を装備したり、白兵戦での攻撃力にも影響する。
技術力はキャラクターの器用さを表す。弱点を正確に突いたり、素早い動きを可能にする。また、アイテムの生産能力にも補正がかかる。
体力はキャラクターのHPに直結する。それに加え、装備重量も多少上昇する。
耐久力はキャラクターの防御力である。物理防御力と毒や麻痺などの状態異常耐性、多少の魔法防御力が上昇する。
敏捷性はキャラクターの素早さだ。移動力はもちろん、キャラクターの総合的な身体能力が上昇する。
魔力はキャラクターの魔法を行使する力の量である。魔法の攻撃力、魔法の使用回数等に影響する。
精神力は魔法に対する干渉能力で、魔法防御力に影響する。また、魔法を細かに制御することも可能になる。
運はドロップ率やレアモンスターの遭遇率、ランダム要素に対し、若干の補正が入る。恩恵は微々たるものだが、レベルアップで他ステータスは上がるので、運にガン振りしても冒険は可能である。
「もう1つのレベルがジョブレベルです。こちらは武器や魔法の能力に影響し、モンスターとの戦闘や、対応する武器の使用、ジョブレベルの成長により習得するスキルの使用で、レベルを上げることが可能です」
ジョブには、片手剣、両手剣などの武器系と、火属性魔法、水属性魔法などの魔法系といった攻撃手段に関するジョブの他に、鍛冶や木工などの生産系や、斥候や学者などの補助系といった種類がある。
ジョブレベルが上がると、その武器や魔法の能力、成功率などに補正がかかり、スキルを習得することが可能になる。
「私が与えられる祝福は、ボーナスポイント10ポイントと、1つのジョブレベルを10まで、あるいは2つのジョブレベルを7まで上げることです。まず、使いたいジョブを決めてからステータスを振るとよいでしょう」
スクリーンには、いくつものジョブが浮かび上がっている。再び現れたタブレットをスクロールしていくと、いくつかの項目が目に留まり、質問を投げ掛けていく。
「聖職者ってのはなにができるんですか?」
「聖職者は神術という神の力を借りる術を使うことができます。魔法系に含まれ、魔力を神々に捧げることで使用できます。回復魔法が多いですが、光属性、雷属性の力を扱うことも可能です」
「錬金術師は?」
「そちらは生産系ジョブです。魔方陣と魔力により、物質を変化させることができます。材料等、初期投資が必要になりますし、低レベルのうちは失敗することが多いので、最初に取るのはオススメしません」
「武器で戦うのは難しくないですか?」
「スキルを使えば、オートモーション機能で自動的に体が動きますので、上手く扱えないときはご利用ください。武器によっては技術力によるダメージ補正が高いものもあります」
ふむふむ、と頷きながら自分のパーティでの役割を考える。
陽輝は、基本的に攻撃力に極振りで、足りないところはプレイヤースキルでカバーするタイプだ。おそらく大剣、あるいは二刀流等のダメージディーラーを目指すのではないだろうか。
黒瀬も案外前線で戦うタイプだ。他ゲームの様子を見ていると、雑魚敵を蹴散らしたり、ごり押しで突破するのが好きなようだ。なんにせよ前線要員だろう。
砂川はトリッキーなプレイを好む。昔戦ったカードゲームでは、デッキ切れにされて敗北した。どんなキャラを使うか読めない。
ちなみに圭馬は趣味プレイが好きだ。ロマンを求めたり、テーマを決めたりといったプレイスタイルになることが多い。結果よりも経過、勝敗よりも楽しむことを優先している。
足りていないのは遠距離攻撃、あるいは回復要員だろうか。そんなことを考えながら再度ジョブを見ていく。そして、圭馬がたどり着いた答えは、
「……弓使いでも目指してみるか?」
設定を詰め込んだら文字数が増えすぎました。キャラ完成まで行きたかった。