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第四悪 気が付けば波乱(?)な学園生活!

 あれから数日経って…朝の教室にて一息。いやぁ~、ホント……マジでびっくりした。

まさかユリエルちゃんがあそこまで真っ直ぐすぎる女の子だとは思わなかった。

いやね、男冥利に尽きるとは思うよ?

けど俺様としては学校とかちゃんと卒業したいわけだよ。

いずれは全世界の皇帝ともなるこの俺様が学業を中途半端で終わらせるのは

美学に反するわけだから。とりあえずユリエルちゃんの突然求婚

(何となく略して突求)は珍しく妙に真剣で協力的なララルゥと

超必死すぎるイザベルを交えた説得で何とか先送りに出来たのは良かったが…


「しかし…それはそれで駄目だよなぁ…」


 ちなみに隣で珍しく机に突っ伏して眠っているイザベルと

俺様の関係は奴隷と主人から「同盟(ラリアンス)」関係に昇格せざるを得なかったので、

(その証として、大変遺憾だがイザベルには、

奪い返した『コカトリスの血晶石』を渡してある)

それについても対応を色々考えにゃならん。


「何がダメなんだ?」

「うおわ!?」


 梶取(かんどり)!? 貴様いつの間に!?


「(『いい人モード』緊急発動!)か、梶取くん? いつからそこに?」

「いつからって…ついさっき朝練終わってから着たばかりだぞ?」

「そうだったんですか…今日はちゃんと行ったんですね?」

「おいおい、それじゃまるで俺がいつもサボってるみたいじゃないか」

「いや、すみません…つい」

「ま、修吾だからいいけどさ。それより修吾。またまた耳より情報をゲットしたんだが」


 何だよ耳より情報って…そう言って貴様から聞かされた情報は

99%死ぬほどどうでもいい情報ばっかじゃねぇか。

最近色々考えなきゃならんことが多くてしんどいから対応したくねぇんだが?


「あんまり信憑性の無いゴシップなら今日は勘弁して欲しいんですけど…」

「ふっふっふ…甘いぞ修吾。今回のも、一味も二味も違うぜ」


 その自信に満ちた(どや)顔はウザイな…マジでいつかこいつ潰そう。


「まぁ。ここまでなら普通かもしれないんだが、二人目の外人の転校生が来るんだよ」


 まぁたしかに普通だな。机に突っ伏してるお隣さん(イザベル)がそうだったし。


「しかしここからが違う! 何と二人目の転校生は『飛び級』の年下美少女だ!

同い年も良いけど同学年でも確実に年下って何かグッと来るよな!?」


 よし、とりあえず今後の事は後々考えることにしよう。つーかそれを先に言えバ梶取。


「(メガネをクイッと)詳しい話をお願いします」

「お前のそういうところが俺は好きだぜ。修吾」


 野朗からそんな事を言われると凄まじく蕁麻疹(じんましん)が出そうなんだが、まあいい。


「それで、続きはありますか?」

「ああ、その転校生。言うまでもないがウチのクラスに来る」


 いいね。最高だね。洋モノって不思議な有難味(ありがたみ)があるよね。


「写真的なものはあるんですか?」

「……すまん、佐藤の奴がしくじったから無い」


 あのダ眼鏡! ここに来てそれかよ! あ、瑞穂先生来ちゃった!


「きりーつ」


 イザベルも飛び起きて起立する。なんか可愛かった。


「礼」

「「「おはようございまーす」」」

「着席」


 どうやら耳寄り情報がまだ浸透してないのか、

(俺様含む)ゲス野朗共はまばらな動きだ。

まぁ、今回は俺様ノーミスだから別にどうでも良いけど。


「はい、皆さんお早うございます。ではHRを始める前に皆さんにお知らせがあります」

「キター!」


 なんだこのデジャヴ。誰だか知らんが自重しろ馬鹿。


「…既に何人かの生徒の皆さんはご存知のようですが、

今日このクラスに二人目の転校生が来ます」


 いかん、メガネが右に4度ズレてる。前にも言ったが第一印象は存外重要だ。


「では、入って来て下さい」

「はいっ!」


 元気で可愛らしい声で入ってきた女の子は…ぬわあぁぁぁにぃぃぃッ!?


「それでは自己紹介をお願いします」

「はいっ! この度私立エリファス・レヴィ学園の高等部にて、

皆さまと学生生活を共にさせて頂くことになりました。

ユリエル・レーム・ド・ルミエルです。これから卒業までの間、

姉共々皆さん宜しくお願いいたしますっ!」


 ぺこりとお辞儀する、眼鏡越しには普通の髪だが、ユリエルちゃんその人である。


「(仏語です)お、おい、イザベル? どうなってんだ?」

「(右に同じく)この顔で察してください…」

「いや、目の下のクマで察しろと言われても…というかユリエルちゃんは日本語…」

「この数日でカンペキにマスターしたみたいです…」


 マジデスカ? 約二週間足らずで外国語マスターって…魔術云々抜きで?

俺様だって世界各国の主要言語を素で覚えるのには六年近く掛かったのに…。


「えー…彼女は名前からも分かると思いますが、イザベルさんの妹さんです。

本来でしたら一学年後輩なのですが、彼女の優秀な成績等の事項を踏まえて

特例で飛び編入と――」


 ユリエルちゃんってやっぱりただのいい子じゃなかったのか…。

精霊を使役してるっぽかったし…何より姉のイザベルを差し置いて

実家の家主みたいだったし…うーむ。

考えてみたらそんな女の子に命を救ったとは言え突求される俺様って…。


「――であるわけですので、彼女は私たちのクラスの一員となりました。

えー…それではユリエルさんの席ですが…」


 うおっと…考えてたら先生の話を聞いてねぇや。

ユリエルちゃんの席ってどうなんだ? 俺様の席は一番後ろだし、

ユリエルちゃんは小柄だし前の…


「黒網修吾君の隣で一番後ろの列ですが、大丈夫ですか?」

「はいっ! 大丈夫です♪」


 なにこのデジャヴ。つか出来すぎてね? いや空席に気付いてない俺様が悪いのか?

つーかまたこのプレッシャー!? 畜生! 二度目なのに慣れない!

…!? いや違う! この間のプレッシャーとは何かが違う!


…ちくしょう…なんで黒網の隣なんだ…

姉妹(スゥール)丼だ…奴は姉妹丼を狙っているんだ…

…あいつさえ居なければ今頃は…超猛毒電波を送信してやる…

…呪ってやる…七代先まで呪ってやるぅ…

…人間は平等なんかじゃ無ゐんだ…ちくせう…どちくせう…


 何か小声の呪詛がそこかしこから聞こえてくるんですけど!?


「(くどいようだが仏語)えへへ…来ちゃいました❤」


 語尾に愛が感じられるユリエルちゃん。

つかこの子は小柄に見えて出るトコ出てるな…だから制服のサイズが…

腕の裾が余ってる…なんかやばいよ。グッと来るよ。


「な、何でこっちに…?」

「もちろん、将来の旦那様と一緒にお勉強したいからです♪」


 そんなコト言うな! 俺様が俺様でなくなっちまいそうだよ!?


「…ユリエル…やっぱり…」

「この事に関してお姉ちゃんは私に意見する資格も権利も無い筈なんだけど…違うの?」


 ユリエルちゃんは笑顔です。でも俺様への笑顔と違うのは

明らかに怒気的な『何か』が! 恐ろしい『何か』が放たれていることだッ!


「う…ごめんなさい…」


 姉妹の立場が逆っぽいけど…この二人の間には

まだまだ俺様の知らない事…それも踏み込んじゃいけなさそうなものが

あるような気がする…。


 さて、やってきちまったものはしょうがないので、そのまま過ごすわけだが、

ユリエルちゃんも本当にすごかった。俺様も五分以上考えたが、

よくよく考えたら大学受験レベルの数学の難問もユリエルちゃんは一瞬で解くし、

音楽の授業では素晴らしい歌声も聞いた。

まぁ体育は信じられないくらいの運動音痴だったけど、

(何がひどいって言えば…嗚呼! 窓に! 窓に…!)

それを除けばイザベルお姉さまも凌駕するだろう。

 で、休み時間。お約束の質問攻めに合うのだが、イザベルの時とは少し勝手が違った。

だってユリエルちゃんは俺様の傍から離れようとしないので…


「ところでユリエルさんは黒網何某とはどういう関係で?」


 何某とは何だこのモブ生徒A(ザコキャラ)が!


「え~っと…」


 ユリエルちゃんは俺様に目配せ。俺様は必死に目で訴える。笑顔だ。どうやら通じ――


「婚約者です。ちょっと事情があって予定ですけど♪」


 1%しか通じてねぇ! そしてイザベルは顔面蒼白だ! うを!? 殺気!


「あのさ…ユリエルちゃん…あくまで予定なんだから言わなくても…」

「でも、『卒業したら』って言ってくれたじゃないですか?

あんなに長い夜だったのに…」


 その言い方は激しく誤解を招きますよね!? もしかしてユリエルちゃんは天然か?!


「あっはっはっは…修吾、やるな!」

「ちょ、梶取くん!?」

「いや、やっぱお前は唯の『いい人』じゃなかったんだな。友達としてなんか安心したぜ」


 友達とか抜かすならその友達の危機を察しろよ! このバ梶取!!

俺様に注がれるこの純然たる憎悪と殺意しか篭ってない視線の数々がわからねぇのか!?


「そんなに…イヤですか…?」


 それ反則ユリエルちゃん!? 瞳を潤ませながらのそれは反則だって!!


「いやいやいやいやいや! そんな事は微塵もないから!」

「じゃあ、どうして…?」

「いやほら、僕らは日本の高校生だし…」

「父母どちらかの許可さえあればこの国でも問題なくできるじゃないですか…!」


 いや確かに可能っちゃ可能なんだけど…君の場合はね。


「シューゴさん…やっぱりお姉ちゃんの方が…」


 ダメ! ゼッタイ! そこで泣かないでくれ! てかイザベル! さっきからお前は…


「これは悪夢悪夢悪夢現実なんかじゃないの早く覚めて早く覚めて早く覚めて…!」


 って現実逃避だと!? 『刃の神子(アンファン・ド・ディユ・レーム)』の二つ名はどうした!?


「ユリエルちゃん! とりあえず落ち着いてくれ! 僕は(美少女に)嘘は吐かない!」

「ぐす…ホントですか?」


 よっしゃあ泣き止んだ! いやぶっちゃけ今の俺様が嘘のカタマリだけど!

んな事ぁ今はどうでもいい!


「ホントだよ! ただ今はまだやらなきゃいけない事があるから待ってて欲しいんだ!」

「信じて…いいんですよね?」

「信じて欲しい!(今は特に!)」

「えへへ…ありがとうございます♪」


 あああああああ! チックショウ! 今ので回避不能な絶対フラグが立った気がする!


 とりあえずあの後ユリエルちゃんは俺様の置かれている状況を察してくれたのか、

これ以上誤解を招く発言はしないでくれた。いや全然大丈夫じゃないけどな!

 打って変わって舞台は昼休みの屋上。

案の定俺様はレーム・ド・ルミエル姉妹と仲良く昼食なんだけどさ…


「シューゴさんは…いつも…こういうの食べてるんですか?」


 んな事ぁ無い! つーかこんな時に限ってララルゥの奴!

弁当の中身を食用サソリとかの不快害虫系のフルコースにしやがった!

まぁ、衛生管理バッチリで旨いだろうから喰うけど文句あっか!?


「…あいつ、大分県の(はち)の子飯とか何でそんな郷土料理知ってんだ?」

「?」


 蜂の子飯も然る事ながら、(さそり)のから揚げ、ざざ虫

(清流に住むカワゲラ、トビケラといった水生昆虫の幼虫。長野県では食べられている)

で作った天ぷら、それから蝗の佃煮、冬虫夏草の煮物に

食用蚯蚓(みみず)の一口ハンバーグ…生野菜が入ってねえのが

男弁当って感じで良いが、嫌がらせにも程がある…!


「…嫌なら残せば良いんじゃないんですか…?」


 やっと喋ったかと思ったイザベルの目は死んでる気がする!

しかし! 俺様は喰う! 何だかんだでララルゥも美少女だ!

そして俺様は美少女の手料理は毒さえ入ってなきゃ残さず全部喰う!


「ぬおおおおおおおおおおおお!」


 眼をつぶって電光石火で完・食! 旨いけど! 素直に喜べない!


「……ちくしょう。メシを喰った気がしねぇ…!」

「あの…シューゴさん」

「ん? 何だ? ユリエルちゃん?」


 ユリエルちゃんは自分の…にしてはでかい弁当箱を両手に持って

もじもじしてる…こ、これはまさか…!


「あの…その…実は私も…シューゴさんに食べてもらいたくて…」


 これは天の恵みか何かだろうか? 神か仏か何かがゲテモノ弁当を完食した

俺様へのご褒美をくれたのか?


「よし、有難く頂こう!」


 ユリエルちゃんの笑顔が眩しい! 二重に美味しく楽しくいただきます!

さぁーて! 気になるお手製弁当の中身はぁ……あ!?


「えーと…何これ?」

「そ、その…オムレツと、目玉焼きと…ゆで卵…なんですけど…」


 まぁ、オムレツや目玉焼きは分かるが、どうやったらゆで卵まで極彩色にできるんだ?

つかコレ全部原材料が卵だったんだ……。


「あの…やっぱり…」

「俺様は有難く頂こうと言った! だから全部喰う!」


 普通なら死んでも御免だが、ユリエルちゃんの笑顔をおかずにすればきっといける!

ララルゥのパターンも期待できるしな!


「頂きます!」

「はいっ! どうぞ♪」


 とりあえずオムレツ…とユリエルちゃんが言った暗黒物質EXEを一口………グヲ!?


「ユリエルちゃん…味見、した?」

「ごめんなさい…最後の卵で作ったので…」


 そうかそうか…相当頑張ったのか…そしてコレか…いや、まだ二種類ある。


「うん…まぁ不味くは無い」

「……ホントですか?」


 嘘デス。ゴメンナサイ。スミマセン、死ヌ程キツイデス。


「よし、じゃあ次は目玉焼き(と言う名の有害物質ZX)を…」


 手が震えているのを悟られないように一口………ヲゴォ!?


「う、うーむ…ちょっと(どころじゃねぇが!)焦げてるな」

「あぅ…ごめんなさい」

「気にするな! 初めての料理は誰でもこんなものだ!」


 ユリエルちゃんの笑顔が最終無間地獄(ヘル・オブ・ヘル)に落ちようとしている

俺様の魂を引き止める!


「よっしゃ! つぎはゆで卵(とはとても思えない危険物αΩ)だ!」


 果たしてこれは一口で食うべきか否か三十刹那

(因みに六十刹那は指パッチン一回分の時間)ほど逡巡(しゅんじゅん)したが

ユリエルちゃんの笑顔は俺様の迷いをなぎ払う! …ムグボホォッ!?


「問題無い(嘘だッ!)けど、個人的には半熟が俺様の好みだな…」

「なるほど…勉強になります…!」


 いや、もうそんな次元ですら無いけどねッ! うおおお! ラストバトルッ!


「ごちそう…さま…でした…!」


 駆け抜けた…! 俺様は死地を駆け抜けたんだ…!


「次はもっと頑張って美味しく作りますね!」


 是非ともそうしてくれ…これは俺様じゃなかったら、百八回は死んでいる…!


 とりあえずユリエルちゃんには後々うちの料理の鉄人(ララルゥ)にコーチさせるとして…

…今は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した俺様の腹

ぐがぁぁぁぁぁpぉきじゅhygtfrですぁq!


☣一人バイオハザード中にて、暫くお待ちください☣


 不浄なるものは清らかな水で洗い流された!


「…俺様は、ま~だ~生きている~…多分」


 この学園は昼休みが他校より15分ほど長い…

…そのおかげで俺様はこうしていられる。だから第二波に警戒しつつ腰掛けていると、

二人ほど洗面所に他の連中が用を足しに来た。


「なぁ、お前はもう入ったのか?」

「何の話だよ?」

「何だよ、お前『妖精姫騎士団』の事を知らないのか?」


 何だ『妖精姫騎士団』って…?


「え? もう出来たのか?『妖精の姫(プリンシス・フェリアーク)』のFC(ファンクラブ)?」

「遅れてんなー…もう会員数が三桁突破したぞ?」

「そんなのデマだろ?」

「何言ってんだ、これを見ろ! 俺の花のバッジの番号でもう237番だぞ?」

「マジかよ!? 姉妹揃ってすげぇなぁ~…」


 その言葉でもう分かった…つかFC結成すらも姉を凌ぐのかユリエルちゃん…。


「今ならキリ番取れるかな?」

「いや、無理だろう…俺も駆け込みで入団したんだが、

FCGHQは既に長蛇の列だ。仮に放課後に行っても恐らく500番以下になるな…」

「てかそれならもっと早く教えてくれよ!」

「無茶言うな! 俺だってついさっき入団したばっかなんだから」

「しかしこうなると親衛隊の連中も黙っちゃいないな」

「ああ、近いうちにこの学園は戦場になるに違いない」

「友よ…一緒に戦場を駆けよう!」

「ああ…!」


 イヤ待てコラ。戦場って何だ戦場って…つーかあの姉妹どんだけ人気なんだよ…。


「そしてあの黒網修吾暗殺計画も成功させよう! 我らが姫をお救いするのだ!」

「そうだな! あんな唯の『いい奴』なんかにゃ勿体な…もとい分不相応だ!」


 えぇぇぇぇ~? …それはそれでメンドくせぇから勘弁してくれよ…。


 いろんな意味でゲッソリな俺様はそれでも学園では『いい人』だから

生徒会執行部にもきちんと顔を出さねばならん。

今日は書記としての実務に徹しよう…と思って執行部室に入るとそこには…!


「あ、シューゴさん♪」


 素敵な笑顔で俺様の悩みの種になりつつある『妖精の姫』こと

ユリエルちゃんがそこに居た。

ついでに『銀騎士アルジェントシュヴァリエ』のイザベルも当然だが居る。昼よりは元気そうだ。


「ゆ、ユリエルちゃん…何故、ここに?」

「先生方や其方の執行部員の方々に勧めていただいたので、入っちゃいました♪」


 其方の……!? こいつら、制服に花のバッジつけてる!? 

ってことは『妖精姫騎士団』の回し者か…! ん?

よく見りゃ俺様と生徒会長の木皿儀都雄(みやお)(通称ミャオ会長)以外

皆銀剣か花のバッジつけてる! 既に戦争は始まっているというのか!?


「む、ようやくみんにゃ…ゲフンゲフン!

みんなそろったにゃ…ゴホン! そろったな」


 滑舌が悪いのかよく分からんがミャオ会長は『な行』がよく『にゃ行』になる。

んでもって名前が名前だから『ミャオ会長』って親しみを込められて呼ばれている…

ぶっちゃけ渋い声に『にゃ行』ってすげぇアレな気がするけど…まぁどうでも良いか。


「では、生徒会執行部の活動を始めるにょ…」


 ミャオ会長が一瞬泣きそうな顔をしたが無視した。


 今日は死ぬほど疲れた…唯でさえウザい『銀騎士親衛隊』に加えて

『妖精姫騎士団』という超メンドくせぇ連中が現れたし…


「ああ…家に帰ったら帰ったでウジ虫みかん居るんだもんなぁ…」


 もう今日はいっそのこと梶取の家にでも泊まりに…血迷うな俺様。

女の子の家ならともかく、死んでも野朗の家になんざ行ってたまるか!


「……今さらか」


 俺様の横を「まほろば運輸」のトラックが通り過ぎる…春先だしな…別に珍しくも…


「ん…?」


 ここは俺様の家に向かう一本道の道路だ…周りが田園地帯だから、

この先には俺様の家ぐらいしか人の住んでいる所はないはず…?


「いや…運輸だから、別に気にする必要も…」


 あった。だって今、俺様の家の玄関前にそのトラック止まってるし!

んでもってそのトラックからは馬鹿でかい荷物が

ドカドカと俺様の家に運び込まれてるし!

しかも配送人の兄ちゃんになんかサインか判子か母印か分からんがしてる奴は…!

とりあえず爆走!


「うおい!? イザベル!? ここで何してんだ!?」

「あら、シューゴ…随分遅い帰宅でしたね?」

「いや、まぁ、あのお前等のFCの連中と一悶着あってな…というかそれよりもだ」


 気のせいかイザベルは執行部の活動中よりは元気な気がする!


「じゃあどうしたんですか?」

「ここは俺様の家! お前は学生寮だろうが!?」

「ああ…それですか…」


 今一瞬イザベルの眼が死んだような…?


「シューゴが帰ってきましたよ?」

「シューゴさんが!?」


 何だと!? この声はまさか…! いや、わかってる!

分かりきってるんだ! だが!


「おかえりなさい! シューゴさん♪」


 見目麗しい…分かりきってるがユリエルちゃんも俺様の前に…!


「これは一体…どういう事だ…? ユリエルちゃん?」

「えっと…“おしかけ”で合ってますか?」


 いやいやいやいやいや! 合っているけど間違っている!


「私、決めたんです。シューゴさんのお弁当を見たときに」

「………」


 …そういう事か…ララルゥ…貴様はこれを計算していたんだな…この悪逆CPUめ!


「…ん?」


 噂をすれば影が刺す…玄関の引き戸から顔を半分だけ出して

こちらを覗き込むララルゥの眼は…あれ? 嘲笑(わら)ってない!? ん?

こ・の・×××…貴様の計算じゃないのか!?


「あんなのばっかり食べてるからシューゴさんの心が荒んじゃうんです。

だから私が一緒に暮らしてシューゴさんを正しい世界に導いてあげますからね♪」


 続けざまに色々のたまうユリエルちゃんをちょっと気が引けるが

無視して俺様はこの妹ちゃんを止められなかった愚姉の方をジト目。


「私は…全力を尽くしました…」

「…そうか、ご苦労さん」


 姉妹ってのも大変だな、イザベル。俺様はもっとアレだけど…。


「ねぇシューゴさん? 聞いてますか?」

「……もう、好きにしてくれ…」

「! シューゴさん! 私、がんばりますね!」


 ユリエルちゃん…君のその底無しの前向きさがちょっと羨ましいよ。

やろうと思えばGGR先生と協力して翻訳した文章を打ち込んで雰囲気を作れるのですが、

それで文字カウント数を増やすってのも気が引けたので

雰囲気作りで余程の事がない限り仏・英・独語訳は控える方向にしました。

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