???(OP)
はい、オープニングです。(掲載2014年6月)
嫌味が感じられるほど強い街の明かりの為、星が見えない夜空の下で、
仰々(ぎょうぎょう)しく照明に照らされた白地に紅い真ん丸のついた国旗が
するすると降ろされ、新しく上る国旗は、先ほど降ろされた国旗の
紅い真ん丸に横を向いた美青年の胸像とその手に鷲掴みにされた、
地球が追加されたものだった。
国旗の下にある建物は、『新国会議事堂』と呼ばれることとなった超高層建造物。
外観は議事堂と言うより空にそびえる黒金の城といったほうがしっくり来る意匠だ。
「案外早かったな」
国旗を見上げているドス黒いスーツ+マント姿に
特徴的なオールバックの二十代前半と思われる印象の男はそう呟く。
「私の計算では二年と半年に一週間、三日と十一時間三十分ほど
掛かるものとしておりましたが、これで予算の補正が幾分は不要となりました。
やはり旧政府関係者の一掃と洗浄処分が
予定より一年半で済んだ事が理由となりましょうか?」
男の傍には青みがかったセミロングに何故かメイド服姿の若い女はそう答える。
「そこはシューゴさんですから、予定より早くなるのは当然ですよ?
でも旧政府要人の人達って他国籍の方が多くて驚きました(笑)
けど皇族の方々には今までどおりという采配は、さすがシューゴさんです♪」
メイド服の女と対になる位置で、男の傍に佇む
車椅子に座った緑銀髪の若い女はそう返す。ちなみに男の傍には他にも数人立っており、
逆光ではっきりした見た目の印象は不明だが、
シルエットからはその殆どが若い女性であることが分かる。
「まだ残党が地下に潜伏したり国外逃亡を図った者がいるが…
そいつらの処分も時間の問題だ…何故ならば――」
男が勢い良く指を鳴らすと、夜空の何処からともなく
黒光りする巨大な飛行戦艦隊が軍隊バッタの如く轟々と議事堂の上空に現れる。
「この『黒金の鋼魔軍勢』も完成した…
…ククク…ようやく…この俺様の専制時代――」
男が叫びきろうとしたその瞬間。男の目の前の景色は一変した。
「が…来ぅ…とぅ…あァ?!」
都心が見下ろせるはずの屋上はそこには無く、
代わりに日本家屋にありがちな形の電灯と天井が広がるだけ。
「………ふっ…なんてクソったれな朝なんだろうなぁ畜生が…!」
ちなみに天井を見つめたまま愚痴り始めた男は十代後半の少年の姿に戻っている。
連投が続くかもしれませんが、それは書き溜めしてた分です。