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隣のあの子  作者: yui
5/14

*共学*

7月に入り、期末試験も終わって夏休みが始まった。天王山と呼ばれる高3の夏は受験生にとってとても大事な期間だ。昨年は部活をやっていたからこんなに長い休みを勉強に費やすのは初めてだ。

他校も夏休みが始まり、塾が午前中から開くようになる。7月中は普通に夕方授業があるため、それまで自習室で過ごす。ずっと制服だったみんなが私服で来るのを見ると、夏休みを実感する。

夏休みはみんな朝から来ているが、葛西の姿は見かけなかった。授業には出ているらしく、まだ制服を来てたから学校があるんじゃないかと村沢が言っていた。


夏休みが始まってから10日ほどたったある日の昼。休憩室で村沢や立石、さっちーこと白川祥子らなかいいやつらと昼飯を食べていた。すると突然ドアをばんっと開き、夏服のセーラー服姿の葛西が「わーここめっちゃ涼し〜」と言いながら入ってきて、空いていた白川の隣、俺の斜め向かいに座った。

「もーやっと期末終わったよー」と言いながら机に突っ伏すと、白川が笑いながら「おつかれー」と葛西の背中をぽんぽんと叩いた。

「今日終わったの?遅くね?」と俺が聞くと、

「だよねーみんな早くて羨ましい」と顔を起こして眠そうに葛西が答えた。

「まあ公立だからねー」と立石が流すように言った。

「え、公立なの?」

「え、小高知らなかった?向ヶ丘って公立だよ」

「はつみみ」

「まあでも公立だから遅いってわけでもないでしょ。どんまい七菜」

「いやーほんとつかれた」

「なあ公立ってことは…共学?」

「そうだよーって公立が全部共学かは知らないけど」

「え、葛西共学なの?」

「いまさら?」


てっきり葛西は女子校に行ってると思っていた俺は驚いて葛西をぼんやり見つめてしまった。

「そんな驚く?」

葛西は俺の前で手をひらひらさせて、笑った。


「ねー共学ってやっぱカップル多いわけ?」と立石が興奮して聞く。

「まあー多分おおいんじゃない?」

と適当に返事をしながら葛西はお弁当を開いた。



共学…

カップル…



「え、もしかしてだけどさ…」


白川まで興奮して聞く。


「七菜も彼氏いるの?」


葛西に彼氏…



気にしてない風を装いつつ、俺も村沢たちも答えをじっと待つ。



「はっ?」


「彼氏!いるの?七菜にも!!」


数秒の沈黙



「いないよ!」


慌てて、少し顔を赤くして否定する葛西に、


なぜだか少しほっとしてしまった。



「なんだー、つまんないの」


「ごめんねーリア充じゃなくてっ!笑」


「でも!恋はするでしょ?告ったり告られたりみたいな!」


「さぁ?どうだろうねー」

曖昧に笑って質問をかわした葛西に、


今度は胸がもやもやする。


「うわーいいなー共学!」

「恋なんて大学ですればいいじゃん」


「そりゃそうだけどさー」

「そういえばさ…」

葛西はまたうまく話題を変えたけど、

なんだか俺の心はすっきりしなかった。




葛西のこと、なにも知らないんだと改めて思った。















七菜はいま誰かと恋をしているんだろうか


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