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隣のあの子  作者: yui
4/14

*帰り道*

六月。じめじめとした雨の日が続き憂鬱になる。


どこの学校もだいたい運動会が終わり、高三の初めての中間テストも終わり、塾もだんだん受験生モードになってくる。


あれから葛西とは仲良くなり、英語の休み時間に話したりするが、その週に1回の授業以外には全く会わない。見たとしても自習室だ。


今日は月曜日。文系は日本史で、理系は確か数学か化学。授業はたいてい理系の方が終わるのが早く、村沢たちを探して教室を覗いてみてもたいてい空っぽだ。

けれど今日は受付の前にまだ理系の女子たちがたくさんいた。教室を覗くとまだ人が残ってた。村沢たちはいなかったが、帰ったばかりだとふんで、急いで外にでる。

すると駅の方向に50メートルほど離れたところに、村沢と杉村と二人の女子が歩いていて、その片方はあのセーラー服だった。おれは全速力で走り、杉村の背中をどんっと押した。驚いてつまずきかけた杉村に驚いて、他の三人がぱっと振り向く。

「おう小高」

「小高くん!」

「よっ!今日理系遅くね?」杉村に謝りながら応える。

「のびたー」と葛西が頬を膨らませていうと、

「のびのびたー」と気力のない村沢が続く。

そんな村沢に葛西は笑って「のびのびたー」と言いながら二人は思いっきり伸びをする。そんな二人の後ろ姿が微笑ましくてつい笑みがこぼれる。

すると、「そんなこといってー、七菜今日1時間しか授業出てないでしょ」と言って、隣にいた女子が伸びをする葛西の頭を後ろから軽く叩いた。

「時間は関係ない。参加したことに意味があるのだ」と偉そうに唱えた葛西が面白くてみんなで笑う。

葛西がいるとどうしてこんなに穏やかな時間が流れるんだろう。村沢と杉村と三人でいるときとはまた違う落ち着きがある。夜10時近い駅前の道なのに、夕暮れの中砂浜を歩いているような、そんな感じがした。

「でも最近は月2回くらいだよね。」とまた隣の女子。

「え?」

「だって高二の時はほとんど遅刻だったじゃん」

「あーまあね」

葛西はあいまいに笑う。

「部活だっけ?」と俺は葛西に聞く。

「え、あぁまあそうとも言うかな」とまたあいまいな返事。

「なんだよそれ」

「あ、だからさっちー明日今日のノートコピーさして」葛西は話題を変えようとするかのように、急に隣の女子に必死に拝むポーズをする。

「わかったー」

「ありがと!」



そのあとは、葛西と村沢と杉村とさっちーとかいう女子が化学の先生ネタで盛り上がって、そのあと二人が楽しそうに聞くから俺らの学校の話をして、別れた。


一人になったあと電車の中で、この前立石からの一斉送信で知った葛西にメールしてみる。

「部活ともいうってやつ、今度教えてよ」


すぐに返信がくる。


「なに?そんなに気になる?笑」



「遅刻仲間としては知っておかないと」



「なにそれー(笑)わたし最近は遅刻してないし!」



「今日したじゃん」



「(´-ω-`)」



「似てる」



「(°Д°)」



電車の中なのに、思わず笑ってしまう。


「俺は野球部って知ってるのに不平等(°Д°)」



「ぱくり!笑



わかったよー今度いつかまたねー」



「ほい」




気づいたら最寄りの駅に着いていて、慌てて降りる。

なんだか、楽しい。










七菜、いまでも俺ら、あの時みたいにやりとりできるかな。

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