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隣のあの子  作者: yui
3/14

*会話

気づいたら五月も半ばになる。

あれから英語の授業は4回ほどあったけれど、進展なし。理系クラスはどんどん仲良くなってて、この前はテストのあとみんなで遊びに行ったらしい。


今日は日曜日で文系しか授業がない。授業は夕方には終わり、俺はしばらく受付でスタッフの人とだべっていた。すると、後ろから「こんにちはーってあれ、小高じゃん」という声がして振り向くと、理系だけどけっこう一緒に話す立石咲と、そのうしろにあの子がいた。突然の登場に驚きながらも「おー」と返事をしてスタッフを交えて4人で会話を再開する。話してる間、あの子はよく笑ってて、スタッフの林さんとすごく仲がいいみたいだった。俺がいつも立石と話すときみたいに学校の面白い話をすると、「えー!男子校ってすごいね!」と目を丸くしてたり、爆笑したり。表情をくるくる変えるあの子に嬉しくなってどんどん話していたら気づいたら2時間も経ってた。日曜日は塾が閉まる時間が早く、俺たちは追い出され、駅に向かう。

立石が違う線なので途中で別れ、まさかのあの子と二人きりになる。

「葛西ってどこの高校なの?」といきなり葛西と呼んでみる。もっと話したかった。

「向ヶ丘。知らないでしょ?」

「あんま知らん(笑)最初セーラーでびびったよ」

「あはは。目立つよね」

「しかもいつも遅刻するんでしょ?」

「え、なんで知ってるの!?」

「村沢と杉村が言ってた」

「あ、そうか同じ学校か!でもさ、小高くんもいつも遅刻するでしょ?」

葛西がいたずらっぽい顔で笑う。

「なんで知ってんの?」

「わたしが遅刻して受付に届け出すときいつも"小高知哉"くんの遅刻届けが出してあるのが見えるの」

「まあなー」

「まあなーって(笑)部活?」

「うん。野球」

「そうなんだ!私野球好きなんだよねー今度試合でも誘ってよ」

「受験生だろ」

「小高くんもでしょ」

二人でにやっと笑う。

「なんか葛西って変わってる?」

「え?」

「子供っぽい」

「うわーそれ言っちゃだめでしょー」

「ごめんごめん(笑)もしかして気にしてる?」

「よく言われるから慣れた。大学で大人デビューするし!」

ちょっとふてくされた葛西。

「あ、じゃあわたしこの駅だから。じゃーね」

セーラー服のうしろ姿が楽しそうに去っていく。

ついつい目で追ってしまうような感じ。

「高三には見えないな…」俺はそう呟いて微笑ましくてにやける口を手で隠した。












あの後ろ姿、今でも忘れられない。

七菜はまだあんなふうに無邪気な七菜のままだろうか。

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