モンスターだったようです。
やっとこさ2話目を投稿です。
楽しんでいただけると嬉しいです。
こんにちは、獣化トリップした馨です。
突然の異世界トリップと獣化に驚きながらも、
探索中に出会った男の子ルーンに抱き抱えられながら出会ったもう一人の女の子サラとお母様のもとに行った。
けれど、ルーンが自分をお母様に見せた瞬間、今までニコニコとステキ笑顔でいた美人なお母様は笑顔のまま固まりました。
そして、
「もとの場所に戻してらっしゃい。」
目が笑っていない笑顔のまま明るい声でおっしゃっいました。
ええ、それはそれはとても綺麗な笑顔でしたよ。
震え上がりそうなほど。
それでも、ルーンは諦めずにお願いしてくれた。
「この子ひっかいたりしないし、すごくかわいいんだよ。かっちゃダメ?」
くいっと頭をかしげて涙目のルーンくん、
横では同じく涙目なサラちゃんが上目遣いでお母様を見ている。
まさかのダブルコンボ。
ごちそうさまです!
ですがさすがお母様そんな2人をものともせず。
「この子は、チャムキャットって言ってね。一匹なら弱いけどいつも群れで襲ってくるとても危ないモンスターなのよ。だからね、返してきなさい。」
今度は、やさしく諭すように2人の頭を撫でながら言った。
たしかにモンスターなんて危ないものは飼えないだろう。
自分だってごめんだ。
残念な事だが、今ので人に飼ってもらえなさそうなことがわかった。
それに、自分がチャムキャットというモンスターだと言うことや、単体では弱い群れで暮らす生き物だと言うことも。
しかしルーンはお母様の言葉を受け入れられなかったようで、
「いやだっ!」
っと叫んで自分を抱えたまま外に飛び出した。
「待って!!」
そのあとをサラがついてくる。
そしてその後ろには、お母様が。
「ルーン、サラ待ちなさい!」
『みにゃーにゃー(ルーンくん落ち着いて)』
一心不乱に走るルーンが森の中に入る。
お母様は踵の高いサンダルに長いスカートを履いているから走りにくそうだ。
そのうえ、森に入ったため石や木の根、枝などが邪魔でなかなか子供たちに追い付けない。
その時、なんとなく嫌な予感がして辺りをみまわす。
少し遠くの木を見た時、そのモヤモヤとした嫌な感じが強くなった。
『にゃんにゃにゃん!(ルーンくん戻ろう!)』
袖を引っ張ったりしてみるが必死なルーンは気づいてくれない。
そうこうしている間に嫌な感じがしたところまで来てしまい、ルーンは疲れたのか地面に座り込み、その横にサラが座り込んだ。
さらにモヤモヤが強くなる。
「ルーンにサラ今すぐにここからでるわよ。その子は置いてきなさい。」
いつの間にかお母様も追い付いていて、ルーンに声を掛けた。
「ガルルルゥゥ」
間髪入れずに獣の声がルーンの真後ろから聞こえてくる。
ばっ、と後ろを見るとサーベルタイガーのような牙を生やした狼型モンスターがいて、一匹の声を合図に森からぞろぞろとでてくきた。
同じように後ろを見た2人は震えていて、お母様はそんな2人を守るように抱き寄せる。
(あの時、止められていれば。私がしゃべれたら…)
目の前にはモンスターの群れ。
もし、なんて意味が無いのはわかってるけど頭にはそんな事ばかり浮かんでくる。
なんとか3人を守りたいけど、約10匹の中型モンスター対1匹の小型モンスターじゃ勝ち目がない。
『ヴー!ヴゥゥー!』
お母様の肩に乗り逆毛をたて低く唸り威嚇する。
けれど案の定相手は私をチラリと見て、邪魔にもならないと判断したのかすぐに3人に目を戻した。
「「ガルルルルゥゥゥゥ」」
モンスター達がゆっくりと私達に近付いてくる。
(何か、何かしなきゃ。殺される、何か、何か。)
近づくにつれて3人の震えは大きくなり、私も恐怖から心臓がドクンドクンと脈打った。
「「ガルゥゥッ」」
モンスターが一斉に飛び掛かってきたその瞬間、身体がいきなり熱くなり光を纏う。
その熱さから逃れようとおもいっきり飛び出すと、モンスターの1匹にぶつかりふっ飛ばし、身体に纏っていた光が周りのモンスターをふっ飛ばしながら散った。
1、2匹残っていたモンスターもそれを見て逃げ出す。
『ガルゥ?(何が起こったの?)』
さっきまでより目線が高い気がするし、声も低くなった気がする。
3人の方を見ると目が飛び出すんじゃないかと言うぐらい見開いていた。
ゆっくりと近づく行くとお母様は2人を先ほどモンスターにしたのと同じようにギュッと抱き寄せ、此方を睨んでくる。
私が困惑から抜け出そうと考えをめぐらせている間に、シューと煙のようなものを上げながら身体が小さくなっていくのがわかった。
(身体が大きくなったみたい…だな。恐がられているのは、大きくなった時の姿がよほど恐ろしいものなのか。それとも、モンスターを吹っ飛ばすほどのあの力が…いや多分両方か……。)
今まで暮らしてきて人から怯えられる事はなかったからどうすればいいかわからない。
不安と焦りでおどおどとする私をルーンがお母様の腕の中から見つめてくる。
群れでいたモンスターを一瞬でふっ飛ばすほどの力だ。
まだ、常識をあまり知らない子供だとしてもあんな力を見たら怖いだろう。
その証拠にサラは私を見て震えている。
「ありがとう」
ルーンは私に向かってにっこりと笑いかけながら感謝の言葉を言う。
『にゃあっ』
何か返事をしたくて鳴き声をあげたら、返事と同時に優しい目をしたルーンの顔。
しばらく見つめあってからルーンはお母様の腕をするりと抜けて、私を抱き上げる。
くるりと方向を変えてお母様の方を向くと穏やかな声で言った。
「この子はぼくたちのことたすけてくれたんだよ。平気だよ。怖くないよ。みて、こんなにおとなしくだっこされてるもん」
小さくて細いけど、しっかりと暖かい腕で抱き締めてくれる。
その後ルーンの必死の説得で、ルーンの家では飼えないけれど、王都の騎士団に話をしてみてくれることになった。
この国の騎士は強い力や魔力を持っている場合、モンスターと契約しパートナーとする事が多いらしい。
ほとんどは魔獣殿と呼ばれるところで生まれ育ち幼い頃から躾されたものだが、たまに野生のものをパートナーにすることもあるそうだ。
『にゃうー!(ありがとルーンくん!)』
王都は行くのに一日かかるため向かうのは明日になり、ひとまずルーンの家で保護されることになった。
私は感謝の気持ちを込めて一鳴きした後ルーンの頬っぺたをペロッとなめた。
今回は5000字目指して頑張ってみましたが約2500字で挫折してしまいました。次回こそ頑張りたいと思います。
ご覧くださりありがとうございました。