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『報復の魔王は教壇に立たない ― 解析魔王ディルニアの例外的義務 ―』  作者: 夜櫻 雅織
第一章「日常の切れ目は突然に」

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第1話 いつだって、勝ち目のない勝負だから

【前回】独白

第1話 いつだって、勝ち目のない勝負だから


――何でいつもいつも。


 魔導王国リズヴェールズ。魔導、なんて大層な装飾語が付いたこの国は魔法及び魔術発祥の地と呼ばれ、過去には世界中が魔女狩りをしていた時代ですらもその魔女達を匿い、他国で狩られる魔女達との違いを明らかにする為にも当時の王族達は魔女達自身に自分達に適用されるルールを作らせた。

 殺傷能力のある魔法は戦争や王族の許可、公共機関の許可なく使わないとか。未熟な魔術師は敵よりも仲間を殺す事の方が多いから、必ず師の許可を得てからでないと魔法を自由に行使してはならず、また新たな魔法を創造してはならないなど、気付けばリズヴェールズ王国の法律よりも多くのルールが創設された。

 それは後に魔導憲法と呼ばれ、時代の流れと共に魔法使い達が創設し、王家が正式にそれを法律として。自国の法律と同等だと宣言した事により、他国では殺されるだけだった魔法使い達も自然とこの国に集い、魔法使いもまた魔法を使えぬ人々と同じだと世に知らしめた。

 世界中から目の敵にされ、偏見だけで命を狩られた魔法使い。彼らはこの国のお陰で復讐に染まらず、魔法使いとそうでない者の深い溝を埋めた。

 それに深く感謝した私達の祖先達は憲法の第1条第1項目としてこう遺した。


「“魔導王国リズヴェールズに所属する魔法使いの最も優れた魔王を9人、数多の同胞の中から選抜し、王家に仕え、王家に助力せよ。我らを敬い、我らを救いたもうた彼らを我らがお支えするのは我らの義務である”。」

「流石ディル。そこまで一言一句憶えてるなんて尊敬するよ。」

「お前は1回義務って言う言葉の意味を調べてこいよ。」

「まぁまぁそんな事より、さっきの提案だよ。僕と一緒に国内最高峰の学園で教鞭を執ってくれ。主軸になりたくないのであれば僕の補佐でも良い、この国で君以上の博識は居ないんだから。」

「古株が2人も居るだろうが。」

「君だって気付いてる癖に、僕達魔王の中で一番優れてるのは君だって。」

「んな訳あるか……。」


 王城の真横、何なら王城に建設された渡り廊下から直ぐに訪れる事の出来る9人の魔王の1人、《報復の魔王》の名を冠するディルニア・グラドルードが居城とし。彼女が設立した研究機関たる魔塔にもう1人の魔王が訪れた。

 変わらず目の下に深い隈を携え、女性と言うには穏やかさもお淑やかさも足らぬ、紫の煙管を咥えたディルニア。相も変わらず月明かりだけが差し込む彼女の研究室で、夜空をそのまま落とし込んだような夜空色の長い髪は彼女の研究室を訪れた《勉学の魔王》タルガ・ハーベントに顔を向けたのをきっかけに川のように流れて肩から背を撫でて。世にも美しい金色の瞳は不快に歪む。

 それでも、彼女と同期のタルガは怯まない。同じく魔王だけに許された夜が溶けたような魔法使いらしいローブに身を包み、優しい黄緑の瞳を隠すようにやんわり微笑みながら、茶色の短髪を揺らすように首を傾けてあくまで穏やかに事を済ませようとする。


「君は自分を過小評価し過ぎなんだよ、後輩君。」

「その手には乗らない。どーせまた私を褒めてやる気にしようって言う質だろ。大体な、何度も言ってるが私はお前に褒められたって」

「僕としても、貴方が極度の人間嫌いである事は百も承知です。……ですが、僕にとって貴方の知識量や技術力は最早宗教の崇拝対象と同等の存在だと言っても過言ではないくらいに尊敬と敬愛の限りを尽くしております。」

「はぁ、そう。ありがと。話が終わりなら」

「だからこそ折角発掘し、他でもない貴方が磨いたその技術や知識が埃を被ってしまうのは貴方としても本望ではないでしょう?」


(やっぱり、お前なんて大嫌いだ。)

――次回「第2話 もしかしたら凶人かもしれないが」


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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感想なども励みになります。


今後とも『報復の魔王は教壇に立たない ― 解析魔王ディルニアの例外的義務 ―』をよろしくお願いいたします。


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