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蝕む者

『蝕む者』のアジトが、王都の地下に広がる古代遺跡にあることを突き止めたカイたちは、満月の夜、そこに乗り込むことを決意した。騎士団の任を抜け出してきたブラム、魔導院の禁書庫から強力な魔導具を持ち出してきたエルザ。そして、英雄の覚悟を決めたカイ。三人の戦士が、再び集結した。

遺跡の内部は、邪悪な気配で満ち満ちていた。壁には失踪者たちのものだろうか、夥しい数の血痕がこびりついている。その最深部、巨大な祭壇の間で、彼らは標的と対面した。

そこにいたのは、黒いローブを纏った一人の男。その腕には、かつて『白銀』であっただろう階級印が、無残にひび割れ、黒く変色していた。

「来たか、偽りの英雄」

男はゆっくりとフードを取り、その顔を晒した。その顔には、階級制度への深い絶望と、世界そのものへの憎しみが刻まれていた。

「私はかつて、誰よりも神を信じ、努力を重ねた。だが、血統という越えられぬ壁の前に、全てを奪われた。この世界は、壊れているのだよ」

男は両手を広げる。すると、その背後から、捕らわれていた失踪者たちの悲鳴が響き渡った。彼らは祭壇の贄とされ、その魂と階級が、男の力へと変換されようとしていた。

「お前のような、神に愛された例外がいるから、我々のような絶望が生まれるのだ!お前の『黄金』を喰らえば、我らが主は降臨し、この腐った世界は新生する!」

男の体が、黒いオーラを放って変貌していく。失踪者たちから奪った複数の力が、その身に混じり合い、騎士の剣技と魔導師の魔法を同時に操る、異形の戦士が誕生した。

「さあ、英雄ごっこは終わりだ。絶望の味を教えてやろう」

カイは剣を抜き、ブラムは盾を構え、エルザは詠唱を開始する。王都の地下深く、世界の光と闇が、今まさに激突しようとしていた。

(続く)


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