8.二人の誓い
次の縄教室の日が来た。
その日は新しい生徒さん、まだ大学生になったばかりの若い男女が参加していた。
胸縄は合格と言われたシンジは、今日から下半身の縛り方を教わることになった。
脚のまとめかた、縛り方を2種類時間いっぱい繰り返し練習する。
シンジは、練習する時も縛る相手が大切な女性であること、それを意識しようとする努力はしているけど、うまくいってるのかどうかはわからないし、自分でもともすれば、縄を必死に見てしまっている自分に気づいて、落胆したりしていた。
シンジ SIDE
その日の教室が終わって、二人でその後のサロンまで居残る。
その中で、先生にあの時の事を相談してみる。
「どうやったら相手を見ながら縄ができますか?」そう聞く私に先生は少し考えてから話し始める。
「そうだねぇ、こないだも話したように、息をすうように、自然に、目をつぶっても縛れるようになれば、普通にできるようになるよ。でも、一朝一夕には無理な事だからねぇ。そのためには愚直に縛り続けるしかないね」
話を横で聞いていた抄妓さんが口を挟んでくる。
「別にきちんと緊縛しようと思う必要はないのよ。拘束感がある縛りをして、ちゃんと相手をみて愛し合えばいいんだから。緊縛でそのまま楽しめるようになるのはずっと先にできればいいの……とはいえ、簡単にできる縄をつかったプレイを覚えた方がいいわ。そうだ、あの子達も一緒に覚えてもらおうかしら」
そんな風に話をして納得すると抄妓さんは、声を張って人を呼ぶ。
「竜さん、トモくん、モコさん、ちょっとこっち来て」
「何ですか?抄妓さん」教室で先生と一緒に縄を教えてくれる竜さんがやってくる。
それから、今日来た大学生の二人、トモくんとモコさんもやってきた。
「この二組のカップルに、胸縄なしでも縄一本でいちゃ縄する方法、いくつかおしえてあげてくれる?」とそう抄妓さんは竜さんに頼んだ。
「ああ、なるほど、いいですよやりましょう」そう言って竜さんはいくつかのパターンを抄妓さんをモデルにして見せてくれた。
簡単に前でそろえた両手をぐるっと巻いて、間に縄を通して、そのまま頭の上にぐいっと持ち上げて、後ろから身体に縛って固定する。
「これは別にベッドサイドに何かあればそこに結んでもいいよ。簡単に拘束感がでる」そう竜さんが説明してくれる。
「それから、同じ事を足首でやって、うつ伏せにして、脚を折り曲げて、腰のあたりを巻いて固定する。これは、胸縄があるならそこにつないでもいいね。」と下半身の攻め方のパターンをひとつ。
「後は縄一本で胸縄の最初の上縄の部分だけやっちゃう。これならトモくんとモコちゃんでもできるよね。シンジも縄一本だけで手早く遊ぶならこれでも結構拘束感はでるね」と、3パターンの簡単な少ない縄での遊び方を伝授してくれた。
僕たち、トモくんとモコさんの二組は実際に、実践してみる。
これなら、僕たちでもできるね、そう3人で話し合った。
マリコさんもそんな僕達を嬉しそうにみていてくれた。
SIDE END
マリコ SIDE
土曜日の教室の後は、デートしてホテルというのが定番化していて、今日も二人で食事したあと、いつものホテルに入る。
私はシンジさんの縄を取ると、シンジさんに手渡す。
「ご主人様、今日こそ縛って私を愛してくださいますか?」そうお願いしてみる。
「わかった、リベンジするよ」
そう言った御主人様は、前回と違い、無理をしない簡単な縛り方で私を動けなくして、身体中を愛撫して愛してくれる。
「愛してます、ご主人様……」私はそんな言葉を何度も口走りながら彼のいっぱいの愛につつまれて、何度も何度も達して、疲れて抱き合って眠った。
翌朝、起きて朝食を食べながら、いちゃいちゃしている時間にシンジさんが、私に聞いてきた。
「いつかちゃんとした緊縛をしてもちゃんと愛し合えるように、これからも頑張るから、練習は練習で付き合ってほしいし、これからも愛し合いたい。いいかな?」
「はい、いつまでも一緒に、お付き合いしますね」そう言って、私はシンジさんにこちらから口づけする。
私からこうすることも、今は普通にできるようになった。
「それに、昨日の縄だって、もう充分に、シンジさんは、私のご主人様でしたよ。ご主人様の縄、これからもいっぱいくださいね」そうおねだりすると、シンジさんが私を抱きしめてきて……チェックアウト時間ギリギリに化粧も直せないまま、私達は二人して小走りに部屋を後にすることになった。
SIDE END
その後、二人は交際を続け、ついにはゴールインすることになった。
式に呼ばれた、先生と抄妓さんが、二人を見ている。
「病めるときも健やかなるときも……」神父さんの声がひびく。
「それでは誓いのキスを」
「愛してるよマリコ」
「愛してます……」シンジにだけ聞こえるように顔を寄せたマリコは、「愛してますご主人様」と囁いた。
最後に、ライスシャワーの中歩いて行ったマリコの投げたブーケトスは、先生と並ぶ抄妓さんの手に収まった。




