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ご主人様の縄 【翠3】  作者: 國村城太郎


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6/8

6.二人の初夜

今回は、濡れ場シーンになってしまいます。

性的な表現が出てきますが、ストーリーの都合上必要なものと思ってます。

苦手な方はごめんなさい。

   シンジSIDE

 夕方になりそろそろ翠の閉店時間が近づいてきた。昼間からやってる分終わるのも普段は早いのだ。このまま別れがたいと思った僕は、この後一緒に食事に行こうと誘い、快諾してもらった。

 

 それを聞いていた抄妓(しょうこ)さんが、マリコさんがトイレで席を外した隙に、耳元に唇を寄せてこっそり話してくれる。

 

「もしあの子をベッドに誘う事があったら、普通に愛してあげて欲しいの。ファーストキスの件でもわかると思うけどあの子の経験は凄く歪だから、無理にSMしようなんて考えなくて良いから、ひとりの女性として、まず愛してあげて。まさか童貞じゃないわよね?」とそうあけすけに聞いて来る抄妓(しょうこ)さんに苦笑しながら大丈夫わかりましたと答える。

 

 帰りに食事による。それ程贅沢でもないお店で普通の夕飯を食べながら談笑する。

 次の縄教室には一緒に参加する事を改めて約束する。

 

「それでこの後だけど、つきあったばかりで突然と思うかもしれないけど、今夜マリコさんと過ごしたいんだ」と勇気を出して誘う。

 

「は……はい、よろしくお願いします」


 何と言うか、押されると何でもハイって言っちゃいそうな雰囲気を感じて改めて確認する。

 

「無理に『ハイ』って言わなくて、断っても全然いいんですからね?改めて聞くよ。僕と今夜ホテルで一夜をすごしてもらえる?自分の心に正直に言って、行きたいって思う時だけ、ハイって言ってね。」とそう言って改めて問いかけてみる。

 

「はい、ちゃんと嬉しいっておもってますよ。心配しないでください」そう言ってぎこちなく笑ってくれる。

 

 返答に安心して、マリコさんを連れてホテルに入る。ソファにつれていって、そのままキスをする。

 

「キス、好きになった?」って聞いてみる。

 

「はい、好きです」って笑ってくれる。よかった。

 

「あの……この後どうしたら、えっと裸になればよろしいでしょうか?」と真顔で聞いて来るマリコさん。うん、そうか。本当に色々常識が違うんだなと思い。アドバイスに従って僕の思う普通を、今日は押し通そうと心に決めた。

 

 僕は無言のまま、マリコさんを抱き抱える、所謂お姫様抱っこの格好で、彼女をベッドまで運ぶ。

  

「あ、あの、これは、いったいどうしたら……」と困ってるマリコさんの唇を僕は抱いたまま自分の唇で塞ぐ。そのままベッドに身体を載せると、そのまま口内に舌を割り込ませる。ディープキスになすすべもなくトロンとした目になるマリコさん。可愛くてたまらなくなりキスしたままぎゅっと抱きしめる。


「愛してるよ」愛しい気持ちが、届くように、できる限り優しく、でも離さないよう力をこめて、抱きしめながらキスをした。

 

 その後は、ボタンを外して服を脱がせていく。下着姿にするともう一度キスをする。

 

 そのまま自分の服も脱いでいく。自分も下着姿になると、もう一度唇を奪った。

   SIDE END

   

   

   マリコ SIDE

 初めての事ばかりでどうしたら良いのかわからない。でもキスされるのも舌を絡め合うのも、幸せで気持ちいい。自分にはこんなものは関係ないとずっと思ってた。

 

 被虐される事が幸せだと思っていた。なのに心がぽかぽかして、幸せだと思うと、気持ちよくなる。

 私は欠陥品だから痛くされたり恥ずかしくされないと感じない、そのはずだったのに。

 

 お父さんもお母さんも私をいつも叱って、お仕置きをした。私が悪い子だから。悪い子の私は元ご主人様様に出逢って、罰を与えられてやっと救われたはずなのだ。なのに私はここでキスされて、ただの女として、ちゃんと幸せな気持ちになっている。

 

 二人とも下着姿で唇を重ねている。

 被虐の興奮とは違う、高揚感を身体が包んでいる。暖かい肌が触れ合うこれも、知らない感覚。元のご主人様は脱がれる事は殆どなかったし頭を撫でられた事はあっても素肌で抱きしめられた事なかった。

 

 知らなかった人肌の温もりは、私の心を優しく包んでくれている。

 

 シンジさんの唇が私の口を離れて首筋を下がっていく。肌を唇と舌が這っていく。これも初めての感覚だ。

 

 下がっていく彼の顔が私の股間にやってくる……そして……。

 

「いけません、そんな汚いところ……ああ……」と敏感な部分を舐められる初めての感覚に思わず声が出る。

 

「大好きな人の身体に汚い所なんかないよ」とそう言って優しく微笑んでくれるシンジさんを見ていると、胸の奥から気持ち良さと一緒にこの人と一緒にいたいという溶岩のように熱い感情が溢れて来る……これが、好きってこと?愛しいってこと?

 

「ああ……愛してます」とそう口走る私の言葉は、あっという間に喘ぎ声に変わり……彼の舐陰で私は達していた。彼の愛情に包まれたまま、幸せを感じたままに。

 

 そしてその余韻のまま、私は彼と結ばれた。

 相手に快感を与える道具としてではなく、生まれて初めて、私は人して人と繋がったのだ。

 ただの男として、シンジさんは私を抱いてくれた。その時、私はただの女にやっとなれたのです。涙を流しながら、喜びと悦びに私の心と身体は揺れていました。

   SIDE END

   

   

   シンジ SIDE

 行為が終わって気怠い身体のまま、腕枕をしている反対の手で、彼女の髪を撫でている。

 

「私、今日は初めてのことばかり、これが普通ってものなのかしら?」

 

 僕は身体を起こして、今日何度目かわからない口付けをして、こう言った。

 

「何が普通かはわからないよ、僕にも。でも好きな人にするこういう事は僕にとっては普通だね。愛してるよ、マリコ……」とまたキスをする。

 

「ああ……私も、シンジさんを、愛してる……んだと思います。たぶん?って。ごめんなさい、歳上なのにこんな頼りなくて」

 

 経験豊富だと思っていたので、心配していたのだけど、満足してくれたような彼女の様子に心の中でほっと安心をする。

 気持ちよくなる事に貪欲で、こちらからの愛撫を求めて、いろいろと探求を繰り返した学生時代の元カノに心の中で感謝をする。

 

 それにしても、マリコさんは、本当に歪な経験ばかりしてきたのだなと改めて考えて、この人を大切にしたい。そう思って、僕はもう一度彼女を押し倒す。

 

「もう一度いいかい?」

 

「はい、嬉しいです。でも今度は私からさせてくださいね」

 

 能動的に僕のを愛してくれる彼女の技術は、確かに僕には対抗できない経験豊富なもので……。

 

 や、やっぱり歪だ……、あっさり僕は彼女の技術に降参させられて、果てさせられてしまう。

 でも、嬉しそうに、愛しそうに、そうしている彼女が愛しくて、夜遅くまで彼女と睦み合って夜を明かしたのだ。

   SIDE END

   

   

   マリコ SIDE

 目を覚まし、一瞬どこにいるのか、混乱して、隣にいる愛しい人の顔を見て、安心して、そして昨夜の事を思い出して赤面してしまう。

 

 彼をおこさないようにそっと身体を起こして、お風呂に向かうと、熱いシャワーをあびて身体と頭をおこす。

 

 身体にタオルを巻いて部屋にもどると、シンジさんが目を覚ました。

 

「やぁ、おはよう」

 

「おはようございます」

 

 二人でルームサービスの食事を食べて、部屋を出る前にもう一度、熱くて長い口づけをされて、私達は「またね」という次へ向けての挨拶を交わして家路についた。

 

 幸せ、好き、愛しい。上下関係というこれまで知っていた関係とはまったく違う、はじめての愛情を噛みしめる。昨夜の事を反芻しながら、家に帰ると、彼からのメッセージが届く。

 愛を語る彼のメッセージに、こちらも心をこめて返事をしているうちに、昨夜の疲れからいつの間にか昼まで二度寝をしてしまっていた。

   SIDE END


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