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第7話 デート(1)




私がリトリシエになってから1ヶ月が経ちました。やっとここでの暮らしにも慣れてきました。


「お嬢様!!今日もスレン様からお菓子の贈り物が届いておりますよ!!!」


部屋でお茶でもと思っていたら、侍女の1人がお菓子を持ってきてくれました。この侍女はセレーナ。私の侍女の中で1番歳が近くて、お友達のような感じです。


「見てくださいお嬢様!!このお菓子、街で有名なカフェのものですよ!!予約がずっといっぱいで、お土産用のお菓子を買うのも難しいそうです!!あのカフェ、一度は行ってみたいです…!」

「そんなに有名なカフェなの?」

「お嬢様も興味ありますか?!?!」


セレーナがキラキラと目を輝かせてこちらを見てきます。実は私、甘党なのです。でも聖女の頃は好きなものを食べることは出来なくて、神からの贈り物とされている自然のお野菜とかを食べていました。甘いお菓子……。とても食べたいです……!!


「予約がいっぱいじゃなければ行ってみたかったですわ……」

「わかりましたお嬢様」


ん?わかりました?何がですか?


「このセレーナにお任せ下さい!!」


だから何を?!?!




―――――――――



「旦那様、昨日頂いたお菓子、ありがとうございました」

「気に入ってくれたか?」

「とても美味しかったです」


今日は4日ぶりに旦那様との夕食です。最近ご公務が忙しいらしいです。私もつい先日知ったのですが、現公爵家当主様、つまり旦那様のお父様は数年前から重い病気をお抱えしているそうです。先も長くないようなので、旦那様の今年の誕生日から、当主の継承をなさるそうです。あと数ヶ月で私は公爵夫人ですか?!今は婚約者ですが、その頃に私たちの婚姻もあるのでしょうね……。


「リトリシエ」

「はいっ!!」

「昨日の菓子なのですが、街にある有名なカフェのものなのです。もしお気に召したのなら、3日後に一緒にそのカフェに行きませんか?そろそろ暑くなる時期なので新しいドレスなども見てみましょう」

「い、いいのですか?!?!」


実は、そのカフェ、めちゃめちゃ行きたかったです。しかもドレスのお買い物?!お買い物は昔からの夢だったのです!!とても楽しみです。




―――――――――



3日なんて、経つの一瞬ですね。もう当日です。


「お嬢様、今日は初デートなのです!!!気合い入れますよー!!!」


セレーナはとても気合いが入ってます。というか、今日のこれ、デートなのですね?!なんかそう言われると緊張してきました…!


…と、思っていたのですが……その……


「お嬢様、ドレス、同じようなものしか無いですね………」

「暗いのしか、ないですね…」


なんと、ドレスが、暗い色のものしかなかったのです。


「どうしましょうお嬢様!!わたしはぜっったいに明るくてかわいいドレスがお似合いだと思うのです!!!なのに…黒と青ばっかりだなんて!!!」


私も明るい色のドレス、着たいです。



―――――――――



結局私は、辛うじて明るめの、水色のドレスを身につけることになりました。今は旦那様と馬車に2人きりです。出発する前に、セレーナにデートの感想楽しみにしてると言われたので、余計に緊張しています。


「他の色はないのですか?」

「…えっ?」

「ドレスです。屋敷で見かける時も、同じようなものしか見かけないので、もしかして、持っていないのかと」

「あっ…すみません。このような色のものしかなくて…」


もしかして怒ってらっしゃいますか!?と思い、恐る恐る旦那様を見上げました。

そこには思っていたのとは正反対の、穏やかな優しいお顔がありました。


「では今日はカフェに行ったあと、新しい色のドレスと、アクセサリーも買いましょう」

「はい!!」


とてもうれしいです!!ぱぁぁっと顔を輝かせると、旦那様も嬉しそうなお顔をされました。

この方、噂に聞いていたような、冷たい御方ではないみたいです。


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