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第6話 夢


こっ、、、この御方は何を言っておられるのですか?!上手なのは私ではなく.......!


「あっ、あの、ダンスはスレンさま.....んっ!」


がとても上手なのです。と言いたかったのですが、最後まで言えませんでした。旦那様にほっぺを掴まれています。むぎゅっと。話してください!と言おうとすると、先に旦那様が口を開けました。


「スレン様、じゃなくて だ ん な さ ま でしたよね?あと余計なこと言わないでください。」

「...え?あ、はい」


そこぉ?!いや、ほかのご令嬢の前ですよ!!旦那様のお隣を狙っておられる御方ですよ!?

そんな堂々とお呼びできません!!!

というか、何故そんなに呼び方にこだわられるのでしょう?特に何もないですのに.......。


「あの、スレン殿下。良ければ2曲目は私と踊って下さりませんか?」


このご令嬢、やはり旦那様を狙っているようです。でも、夜会では皆2曲は踊るというのが、最低限のマナーなのです。


「だ、旦那様...。私も2曲目のパートナーを探してきますわ。」

「.....何を言ってるんですか?」


えっ?!旦那様、このご令嬢と踊らないのですか?!最低2曲は踊らないとダメなのでは?!


「でも、夜会では2曲踊るのがマナーなのでは...」

「2曲目も私と貴方で踊ればいいだけじゃないですか」

「あ、そうですね。...って、え.......っ!?!だ、旦那様、その言葉の意味、分かって言っておられますよね!!」

「分かっていますが?」


途端に私は真っ赤になってしまいました。

ダンスを同じ人と連続で踊る、ということの意味は.......。


「私はリトリシエを離したくないですから。」



だから、耳元で囁くのは反則です。




―――――――――



無事に夜会は終わりました。今は旦那様と2人で馬車に揺られております。ただ、私たちが2曲連続で踊ったというのは、とても噂になっていたようです。お互い無口で、恋愛感情なんてないと思われていたのに、パートナーの瞳の色のドレスを来て、2曲連続で踊るなんてと思われていたのでしょう。やはり注目の的にされるのは慣れないです.......。


馬車の中ではもちろん、会話なんてありません。少し気まずいです.....。

旦那様は窓の外を見ておられます。横顔が大変綺麗です。それに、とても綺麗な銀色の髪が月明かりに照らされてキラキラしています。なんというか、神秘的です。


しばらく見つめていると、なんだか気が緩んできて、眠気が襲ってきました。

本当に、今日は疲れました.......。





―――――――――



『聖女様ですわ!!』

『聖女様ー!!』


皆さんがこちらに向かって笑顔で手を振ってくれています。皆さんとても幸せそうで私も嬉しいです。


見覚えのない街を歩いていると、とても素敵なお花屋さんを見つけました。


「まぁ!素敵なお花ですね!!何輪か買わせていただいてもよろしいでしょうか!」

「聖女様?!だめですよ!聖女様は神聖な御方、このような場所でお買い物しては行けないです!」


あら、そうなのですね。私は他の人たちと同じようにお買い物をしてはいけないのですね。


♢♢


道端で泣いている男の子がいます。なにかあったのかしら?声をかけてみようと思います。


「どうして泣いているのですか?私で良ければお話聞きますよ」


そう言いながら男の子前に屈みました。すると後ろから、その男の子の母親らしき方が来ました。


「聖女様?!聖女様はこのような平民とお話していい立場ではないのですよ!!それに道端でしゃがむなんて!!!」


私は.....お話するのもだめなのですか?


♢♢


その後も少し歩きましたが、どこに行っても、聖女様だからダメとばかり言われます。


聖女はとても素晴らしいもので、私も聖女として生きれて嬉しいです。


ですが、とても生きづらいです。


皆が私の事を持ち上げて、そのまま私はどんどん孤独になって行きます。


誰でもいいのです。誰か私を1人の女の子として、対等に話して欲しい、お買い物にも行きたい。『普通』に生きてみたい。


だから、私をひとりにしないで………。




―――――――――




―――はっ!!!!

私、寝てしまっていました!!!

頬が濡れています。泣いていたのでしょうか………。


何だか悲しい夢を見ていた気がします。ですがどうしても思い出せません。




「おはようございます」


不意に横から声が聞こえました。


「あ、おはようございます」


咄嗟にそう答えたあと、息が止まるかと思いました。


「すっ、スレン様?!?!?!?」


どうしてこの御方がこんなところに.......!?

驚きすぎてベッドから落ちそうになりました。


「昨日、馬車で眠っていたので、そのまま部屋にお運びして、僕は自室に戻ろうとしたのですが、リトリシエが、『1人にしないで』とか、『寂しい』とか、言っていたので、目が覚めるまでここにいることにしました。」


なるほど、つまり私が旦那様を引き留めた、と。

恥ずかしすぎます!!!私なんて事を………!!!


ちらっと旦那様の方を見ると、少し穏やかなお顔をしておられます。



………なにかいい事でもあったのでしょうか。


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