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第12話 昔話

これからスレン視点です!



「貴方、こんなところで何をしているの?」


桜色の髪をした少女に声をかけられた。森の妖精なのではないかと思った。それほどまでに可愛らしく綺麗な少女だった。





───


「スレン様ー!お昼のお勉強の時間ですよー!」


またか...。僕は少しため息をついた。勉強は嫌いだ。

幼い頃から1人で書物を読むのが好きだったから、ある程度の知識はついているのだ。だが最近の勉強は特に、舐めているのかと言いたいほど難易度が低い。正直時間の無駄だ。


そう思い僕は、家を抜け出した。


少し歩いた場所に森があるのを思い出し、僕はそこに向かった。何も無いただの森だったが、何故か無性に惹かれ、足を踏み入れた。


とても静かだけど、とても温かい。自分が何者か忘れられるような。将来の事なんて考えなくてもよくなるような。なんだかとても清々しい気持ちになった。


少し昼寝でもして帰ろうかと思い、寝転ぼうとしたとき、少し遠くから足音が聞こえた。


「貴方、こんなところで何をしているの?」


使用人が追いかけてきたのかと焦っていたが、そんなことはなくて少し安心した。


木の影から顔を覗かせたのは桃色の髪をした少女だった。


「こんな森にいるなんて、さては家出かしら?」


少女はふんわりと微笑む。彼女の仕草ひとつひとつから目が離せない。とてもきれいだった。


「貴方、返事をしないのね」


「あっ、えっと、すみません」


つい返事をするのを忘れていて、慌てて返した。

その後、少し話をした。

少女は聖女候補として神殿で暮らしていること。

彼女は他の人より聖力が強く、おそらく国の聖女として選ばれるだろうということ。

もっと自由に暮らしてみたいということ。


彼女はたくさん話してくれた。僕が普段話す相手なんて、みんな所詮僕の身分に媚びへつらっているだけで、会話なんて好きになれなかった。特に僕には、人の心を読める能力がある。相手に触れる度に思考が流れ込み、気分が良いことなんてあるわけがない。


だがこの時、初めて、人と話すことの楽しさを知った。


「僕が、君のことを自由にしてあげると言ったら、僕と一緒に来てくれる?」


僕はつい口にしてしまった。今日初めて出会った少年にそんなこと言われても本気にしないよな、と思い彼女の顔を見た。すると彼女は少し驚いた顔をした後、顔を綻ばせた。


「本当に自由なら、ついて行くのも悪くないわね」



───


それ以降その少女に出会うことはなかった。



数年後、国の聖女が決まったという報告があった。


美しい桃色の髪をした、クラウシアという少女だった。

僕はすぐに、彼女だ、と確信した。


僕はどうしても彼女を傍に置きたかった。

そこで父と契約を交わした。


公爵家の公務を請け負う代わりに、結婚は自由にさせて欲しい、と。


遅くなりました!

今日から少しずつ更新していきます!

ペースは遅くなりますが、よろしくお願いします!

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